著者
山内 健生 鈴木 大
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.345-349, 2008
被引用文献数
1 5

ヌマエラビルは日本と中国に分布し,淡水性のカメ類を宿主とする蛭である.本種の日本国内における記録は乏しく,その分布域はよくわかっていなかった.そこで,本州,四国,九州においてヌマエラビルの分布状況を調査した.その結果,本種が本州(石川県以南)と四国(北部)に分布することを確認した.本種の宿主はクサガメとイシガメであった.大部分のヌマエラビルは宿主の背甲と腹甲の間の柔らかい皮膚に付着していたが,眼窩と背甲に付着していた個体も確認された.宿主の背甲上には,しばしば,本種の卵塊が付着していた.
著者
山内 健生 渡辺 護 沢邉 京子
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.101-104, 2020-06-25 (Released:2020-06-25)
参考文献数
12

From 2013 to 2014, ixodid ticks (Acari: Ixodidae) were collected by flagging at seven sites of two areas, Noto and Kaga, in Ishikawa Prefecture, Honshu, Japan. As a result of the survey, the following four ixodid species were collected: Haemaphysalis flava, Haemaphysalis longicornis, Ixodes ovatus, and Ixodes turdus. This is the first record of I. turdus from Ishikawa Prefecture. Haemaphysalis flava was the dominant species in Noto area. On the other hand, Haemaphysalis longicornis was predominant in Kaga area.
著者
山内 健生 高野 愛 丸山 宗利 川端 寛樹
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 = Journal of the Acarological Society of Japan (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.143-148, 2012-11-25
参考文献数
15
被引用文献数
8

A Japanese male repeatedly infested with <I>Amblyomma testudinarium</I> in Malaysia was reported. He visited to Ulu Gombak, Malay Peninsula, Malaysia on April and May 2007, and he recalled three times of tick bite during traveling. The first tick bite was by one nymph infested on the inner side of the brachium of the patient. After a few days, erythema with a diameter of 2 cm was found at the site of tick attachment. Pain of the site remained for 20 days. The second tick bite was by larvae infested on the skin surface of the abdomen, basal portion of the thigh, and scrotum of the patient. He felt a pain at the moment of tick infestation. The pain remained for 15 days. The third tick bite was by a larva, and the tick was found in the phyma of his back immediately after his return Japan.
著者
山内 健生 中谷 友美
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.239-242, 2016-12-25 (Released:2017-10-12)
参考文献数
19
被引用文献数
5

2010~2015年に富山県で経験したマダニ人体刺症10例を報告した.それらの内訳は,ヒトツトゲマダニ3例,タカサゴキララマダニ2例,およびキチマダニ,ヤマトチマダニ,フタトゲチマダニ,ヤマトマダニ,シュルツェマダニがそれぞれ1例ずつであった.これらのうち,ヤマトチマダニによる1例は,北海道で刺咬されたものと推定された.今回2例を報告したタカサゴキララマダニによる人体刺症は,富山県では1976年に1例が確認されて以来の症例である.富山県では,近年のイノシシの定着にともなって,イノシシと関係の深いタカサゴキララマダニによる人体刺症が発生していると考えられる.
著者
山内 健生 田原 研司 金森 弘樹 川端 寛樹 新井 智 片山 丘 藤田 博己 矢野 泰弘 高田 伸弘 板垣 朝夫
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.297-304, 2009
被引用文献数
18

島根県で唯一の日本紅斑熱汚染地域である弥山山地(島根半島の西端)とその周辺地域において,マダニ相の調査を実施した.旗ずり法では7,497個体が採集され,次の12種に分類された:タカサゴキララマダニ,タイワンカクマダニ,ツノチマダニ,キチマダニ,タカサゴチマダニ,ヤマアラシチマダニ,ヒゲナガチマダニ,フタトゲチマダニ,オオトゲチマダニ,タネガタマダニ,ヤマトマダニ,アカコッコマダニ.弥山山地ではヒゲナガチマダニとフタトゲチマダニがそれぞれ12〜4月と5〜8月に優占し,両種の採集頻度は弥山山地から離れるにつれておおむね低下した.弥山山地は島根県で唯一のニホンジカ生息地であるため,ニホンジカの体からもマダニ類を採集した.その結果,819個体が採集され,次の4種に分類された:フタトゲチマダニ,オオトゲチマダニ,ヤマトマダニ,タヌキマダニ.ニホンジカから4〜6月に採集された全マダニ個体数の87.6%をフタトゲチマダニが占めていたことから,弥山山地のニホンジカはフタトゲチマダニの主要な宿主であると考えられた.
著者
山内 健生
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.13-17, 2014-05-15

屋久島の原生的照葉樹林とその近隣のスギ人工林とで,Townes型マレーズトラップとIBOY式ウインドウトラップを用いてカミキリモドキ類を調査した.マレーズトラップでは5種61個体が捕獲された.個体数がもっとも多かったのはカトウカミキリモドキで,全個体数の53.6%を占めた.フタイロカミキリモドキがこれに次いだ(29.0%).オオサワカミキリモドキ,オキナワカミキリモドキ,ホソカミキリモドキは少数が採集されたのみであった.カトウカミキリモドキはスギ人工林で多くの個体が捕獲された.カトウカミキリモドキは3月下旬から7月下旬に捕獲され,性比は雌に偏っていた.ウインドウトラップではカトウカミキリモドキ8個体のみが捕獲され,性比は雄に偏っていた.
著者
山内 健生 有山 啓之 向井 哲也 山内 杏子
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.223-229, 2006-12-01 (Released:2008-03-21)
参考文献数
30
被引用文献数
3

2002年の5-6, 10-12月に, 島根・鳥取県境に位置する中海において, オゴノリGracilaria asiatica とスジアオノリEnteromorpha prolifera に生息するヨコエビ相の調査を行った。その結果, 7科10種3117個体のヨコエビ類を確認した。これらのうち, Eogammarus possjeticus, Apocorophium acutum, アリアケドロクダムシMonocorophium acherusicum, トンガリドロクダムシMonocorophium insidiosum, ツルギトゲホホヨコエビParadexamine setigera, アゴナガヨコエビPontogeneia rostrata, ヒゲツノメリタヨコエビMelitasetiflagella, シミズメリタヨコエビMelita shimizui の8種は中海における新記録種であった。なお, これらの種が採集された水域の塩分濃度は9.99 psuから25.9 psuの範囲内であった。中海のオゴノリ葉上ヨコエビ相においてはモズミヨコエビAmpithoe valida が優占種であり, スジアオノリ葉上ではトンガリドロクダムシが優占した。
著者
山内 健生 尾崎 清明
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.97-99, 2007-03-20 (Released:2009-03-20)
参考文献数
6
被引用文献数
2

2005年8月21-22日に沖縄島国頭村西銘岳で2雌の Ornithoica exilis(ハエ目:シラミバエ科)を2個体のヤンバルクイナ Gallirallus okinawae 幼鳥の体表から採集した。宿主のヤンバルクイナはいずれも良好な健康状態であった。今回の記録は沖縄島における O. exilis の初記録であり,ヤンバルクイナは O. exilis の新宿主記録となる。