著者
山岸 俊男 山岸 みどり 高橋 伸幸 結城 雅樹 石井 敬子
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

実験室に設定された「実験社会」を用いて、関係の固定化による「安心」の提供が不可能な状況を作り出し、関係の固定化を媒介しない形での自発的な社会秩序の形成を可能とする原理を明らかにすることをめざした。そしてこの最終目的を達成するために、一連の実験研究を通して、まず第1に、機会主義的関係の信頼関係への変換に際してリスクテイキングが不可欠の役割を果たすこと、そして更に、この変換のために必要とされる社会関係的および社会制度的な条件を明らかにすることを明らかにした。具体的には、以下の諸点を明らかにした。◆信頼関係の形成に際してはリスクテイキングが重要な役割を果たす。◆信頼関係形成においては、信頼行動と協力行動とを切り離し、信頼に伴うリスクを最小限に抑えつつ協力行動をとる戦略が極めて有効である。◆情報非対称性が生み出すエージェンシー問題の解決に際して評判が果たす役割は、社会ないし市場の開放性・閉鎖性に応じて異なってくる。閉鎖的社会ではネガティブ評判が、開放的社会ではポジティブ評判が有効である。◆相互協力を達成するための集団内での非協力者に対する罰行動と、他集団の成員に対する罰行動は、異なる心理メカニズムに基づいている。◆1回限りの囚人のジレンマにおける協力行動の説明原理としての効用変換モデルの限界を克服するためには、ヒューリスティック・モデルが有効である。◆内集団成員に対する協力行動は、集団内部での一般交換に対する期待が欠かせない。この証拠は、最小条件集団においても国籍集団においても存在する。ただし、集団内で相互作用が存在する場合には、この期待は内集団成員に対する協力行動にとって必要ではない。◆集団主義的社会制度の経験は、集団主義的(ないし相互協調的)自己観と原因帰属(すなわち集団主義的信念システム)を顕在化する。
著者
山岸 敬弘 戸川 望 柳澤 政生 大附 辰夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.171, pp.31-36, 2008-07-21
被引用文献数
5

近年,携帯電話の普及に伴って移動通信サービスが大きく展開され,実用化が進んでいる.しかしながら実用段階まで進んでいる歩行者ナビゲーションサービスの研究は屋外環境に限ったものである.本稿では,屋外と比較して複雑な構造を持つ屋内環境におけるナビゲーションサービスに着目し,各ユーザに特化した最適な経路を提供することを目的として,ユーザの嗜好を反映させた経路探索手法を提案する.まず可視グラフを利用して対象とする屋内環境に特化したネットワークデータを提案する.次に,取り入れるべき嗜好項目を調査し,「最短経路」への要求は70%強,階段やエレベータ,エスカレータ等の「階層移動手段」に対し,特に高齢者から80%以上の要求があることを示す.これに加えて人混みを避けた経路に対し60%強の要求があった.そこで「最短経路」,「階層移動手段」さらに「混雑状況」という時間的因子を考慮した経路探索手法を提案する.提案手法の有効性を示すために実地調査を実施し,数種類に及ぶシミュレーション実験の結果から各ユーザにとって最適な経路が出力されることを示す.
著者
山岸 明彦 矢野 創 奥平 恭子 小林 憲正 横堀 伸一 田端 誠 河合 秀幸
出版者
日本宇宙生物科学会
雑誌
Biological Sciences in Space (ISSN:09149201)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.67-75, 2007 (Released:2007-12-26)
参考文献数
21
被引用文献数
15 13 2

TANPOPO, dandelion, is the name of a grass whose seeds with floss are spread by the wind. We propose the analyses of interplanetary migration of microbes, organic compounds and meteoroids on ISS-JEM. Ultra low density aerogel will be used to capture micrometeoroid and debris. Particles captured by aerogel will be used for several analyses after the initial inspection of the gel and tracks. Careful analysis of the tracks in the aerogel will provide the size and velocity dependence of debris flux. The particles will be analyzed for mineralogical, organic and microbiological characteristics. To test the survival of microbes in space environment, microbial cells will be exposed. Organic compounds are also exposed to evaluate the possible denaturation under the conditions. Aerogels are ready for production in Japan. Aerogels and trays are space proven. All the analytical techniques are ready.
著者
鷺坂 由紀子 二村 英幸 山岸 建太郎
出版者
経営行動科学学会
雑誌
経営行動科学 (ISSN:09145206)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.153-159, 2001-03-31
被引用文献数
1 1

This study provides the information of reliability and implications of narrative essay tests for measuring achievement motive as a part of employee selection processes. To develop the key achievement motive explicit and concrete rating criterion, the TAT scoring method was applied to data (n = 100) of essay tests gathered from seven raters. Three raters were chosen from entry level workers and the other four were professional writers of verbal testing items, forming two contrast groups. The reliability of the achievement motive ratings was calculated for each group by the interrater reliability approach, resulting that there was no significant difference between the groups. Coefficients of each grouo's achievement motive, general mental ability and personality traits were calculated, suggesting the possibility that the achievement motive ratings thus derived from essay tests implies individuality.