著者
長谷川 健人 戸川 望
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.4-6, 2018-12-15

ハードウェア製品において,設計時に存在しなかったICチップが挿入された事例が報告された.このように,悪意をもって挿入されたハードウェアはハードウェアトロイと呼ばれる.近年のハードウェア設計・製造工程では多くの設計・製造業者が関わっており,こうした工程のうち随所にハードウェアトロイ挿入のリスクが存在する.本稿ではハードウェアトロイ挿入のリスクを明らかにするとともに,ハードウェアトロイを検知するための手段を紹介する.
著者
宇佐見 友理 石川 和明 高山 敏典 柳澤 政生 戸川 望
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.32-42, 2018-06-27

自動車 ・ バイクの挙動認識に基づいて危険運転を予測し,事故を未然に防げるようになった.しかし,自転車の挙動認識に目を向けた研究は少ない.自転車はバイクと同じ二輪車であるが,バイクと異なり車道以外を走行する可能性があるため歩行者や電柱といった障害物を回避する動作が多くなる.そのため,バイク向けの挙動認識手法を自転車に適用すると回避動作を正確に認識することは難しい.既存の自転車の挙動認識手法として,スマートフォンを後輪軸横に設置することでセンサのノイズを低減し,自転車の挙動を比較的正確に認識する手法が提案されているが,この手法では,自転車が遅い速度で曲がった際,角速度の変化を十分に認識できず,直進状態と右左折状態でのセンサの値に違いが現れにくくなり誤認識につながるという問題点がある.さらにユーザが停車中にスマートフォンを利用できず実用的ではない.一方,スマートフォンの設置位置をハンドル部分にすると,センサがノイズの影響を受けやすくなり自転車の挙動認識そのものが難しくなる.本稿では,スマートフォンに搭載された 3 軸加速度センサと 3 軸ジャイロセンサを用いた自転車の挙動認識手法を提案する.提案手法では,スマートフォンをハンドル部分に取り付けることで,ハンドルの回避動作の認識を可能とし,ユーザが停車中にスマートフォンを利用可能とする.自転車走行の際にバランスをとるために行う周期的なハンドル操作に着目しこれに基づくセンサのノイズを除去し,また機械学習により自転車の挙動を学習することで,正確な自転車の挙動認識を可能とする.提案手法を用いて自転車の挙動 (停止 ・ 直進 ・ 右折 ・ 左折) を認識したところ,既存手法の F 値が 0.6 を超える程度であったのに対して,4 つの挙動全てについて F 値が 0.8 を超える高い精度となった.
著者
石川 遼太 多和田 雅師 柳澤 政生 戸川 望
雑誌
DAシンポジウム2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.169-174, 2017-08-23

近年,ビット誤りに耐性を持ち,簡易な回路で算術演算を実現するストカスティック数による演算手法が注目されている.値の等しいストカスティック数が複数現われる演算回路では,ストカスティック数を複製する必要がある.ところが,複製により非独立なストカスティック数を生成すると,目的の演算結果が得られないため,いかに独立性の高いストカスティック数を複製するかが,最大の問題である.本稿では,非独立なストカスティック数の複製を防ぐため,乱数によるビット並び替えに基づくストカスティック数複製器を提案する.提案するストカスティック数複製器では,乱数を導入し,乱数に応じてバッファされたストカスティック数のビット列を並び換えることで入力ストカスティック数と値の等しい,独立なストカスティック数を複製する.複数個のストカスティック数の複製器を持つ演算回路を実装 ・ 評価した結果,再収斂のある回路では,提案手法は既存手法と比べ出力の平均二乗誤差 (MSE) を 54 % 削減した.
著者
柴田 修一 鵜飼 薫 戸川 望 佐藤 政生 大附 辰夫
出版者
一般社団法人 エレクトロニクス実装学会
雑誌
回路実装学会誌 (ISSN:13410571)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.241-246, 1997
被引用文献数
7

BGA (Ball Grid Array) パッケージの平面配線問題は, ピンーパッドのマッピング問題として定式化される。本論文では, 位相レイアウトモデルに基づいたスケッチレイアウトシステムにおけるBGA配線手法を提案する。提案手法は, 各配線を対角線上に存在するピンから離れたピン間を通過させることにより, 最大混雑度および最大配線長の減少を可能とし, 同一周上のピン列におけるピッチを通過する配線本数の差を1に抑えることができる。提案手法を計算機上に実装し, 評価した結果を報告する。
著者
田中 翔 柳澤 政生 戸川 望
雑誌
研究報告システムLSI設計技術(SLDM)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.4, pp.1-6, 2012-02-24

半導体の微細化技術の向上に伴い,ソフトエラーによる信頼性低下が問題となっている.そのため,LSI にエラー検出機能を組み込むフォールトセキュア設計の必要性が高まっている.一方,微細化技術の向上によりゲート遅延より配線遅延が支配的となったため,高位合成段階で配線遅延を予測する必要が生じている.配線長が不定である従来のレジスタ集中型アーキテクチャに対し,レジスタをチップ内に均等に配置することで配線長を一定とする RDR アーキテクチャが提案されている.本稿では RDR アーキテクチャを対象とした,部分 2 重化によるフォールトセキュア高位合成手法を提案する.提案手法では入力 CDFG の演算ノードを一部 2 重化することで,レイテンシ制約内で信頼性を最大化する.RDR アーキテクチャで生じる空き領域をフォールトセキュア設計に利用することで面積効率を向上させると同時に,2 重化可能な演算ノード数を増加させる.続いて,挿入比較ノード数を最小化するスケジューリング・バインディングを行うことで余分な演算器動作を抑制し,信頼性向上を図る.計算機実験により提案手法は,フォールトセキュア設計を利用しない手法と比して最大 57% 信頼性を向上させるフォールトセキュア高位合成が可能であることを確認した.As device feature size decreases, the reliability improvement against soft errors becomes quite necessary. A fault-secure system, in which concurrent error detection is realized, is one of the solutions to this problem. On the other hand, the average interconnect delay exceeds the gate delay which leads to the timing closure problem. By using regular-distributed-register architecture (RDR architecture), we can estimate interconnection delays very accurately and influence of their interconnect can be much reduced even in the behavioral level. In this paper, we propose a partial redundant fault-secure high-level synthesis algorithm for an RDR architecture. In fault-secure high-level synthesis, a re-computation CDFG a part of normal-computation CDFG must be scheduled and bound to functional units. Firstly, our algorithm re-uses vacant areas on RDR islands to allocate new function units additionally for the re-computation CDFG.Secondly, we propose a scheduling algorithm which minimize the number of insert comparator nodes. We show the effectiveness of the proposed algorithm through experimental results. Our algorithm reduces the soft error rate by an average of 57% compared with the non fault-secure approach.
著者
戸川 望
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
1997

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1172号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:1997-03-15 ; 早大学位記番号:新2409 ; 理工学図書館請求番号:2036
著者
田中 真 内田 純平 宮岡 祐一郎 戸川 望 柳澤 政生 大附 辰夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.1383-1394, 2005-06-15
被引用文献数
11

演算器ごとに専用のローカルレジスタを持たせるレジスタ分散型アーキテクチャを用いると,レジスタ間データ転送を利用することによって配線遅延が回路の性能に与える影響を削減することが可能である.しかし,高位合成のスケジューリングの段階からフロアプラン情報を考慮する必要がある.本論文では,レジスタ分散型をターゲットアーキテクチャとし,(1) スケジューリング,(2) レジスタバインディング,(3) モジュール配置,の工程を繰り返し,(3) から得られたフロアプラン情報を(1),(3) の工程にフィードバックすることによって,解(合成結果)を収束させる高位合成手法を提案する.フロアプラン情報をスケジューリングに反映させるために,フィードバックされた配置情報とタイミング制約に基づいて,レジスタ間データ転送を利用することができるスケジューリング手法を提案する.また,レジスタ分散型に対応したレジスタバインディング手法を提案する.提案バインディング手法では,ローカルレジスタを入力側と出力側で区別し,出力側レジスタで可能な限りデータを保持することにより,総レジスタ数を削減する.提案手法により,フロアプランを考慮したレジスタ間データ転送を用いた回路を解として得ることが可能となる.計算機実験によって,提案手法の有効性を示す.By using a distributed-register architecture, we can synthesize the circuits with register-toregister data transfer, and can reduce influence of interconnect delay. In this paper, we propose a high-level synthesis method targeting a distributed-register architecture. Our method repeats (1) scheduling, (2) register binding, (3) module placement processes, and feeds back floorplan information from (3) to (1) in order to decide which functional units use registertoregister data transfers. Our scheduling algorithm can use register-to-register data transfer based on floorplan and timing constraint. We also propose a register binding algorithm on a distributed-register architecture. We show effectiveness of the proposed methods through experimental results.
著者
平野 大輔 史 又華 戸川 望 柳澤 政生
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. SLDM, [システムLSI設計技術] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.10, pp.1-5, 2015-05-07

近年,暗号回路への攻撃手法として,故障解析が脅威となっている.回路への故障の発生方法には,レーザー照射や電圧変動,クロックグリッチなどの方法があるが,実装や制御の容易性からクロックグリッチが注目されている.対策手法として,回路を三重化して比較する空間冗長化手法や,同じ処理を 2 回行って比較する時間冗長化手法が存在する.しかし,これらの手法は面積オーバーヘッド或いは時間オーバーヘッドが大きいという問題点がある.本稿では,故障解析の誘因となるクロックグリッチを高速に検出可能で,面積オーバーヘッドを 4.9% に抑えた AES 暗号回路を提案する.
著者
田中 真 内田 純平 宮岡 祐一郎 戸川 望 柳澤 政生 大附 辰夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.1383-1394, 2005-06-15
参考文献数
13
被引用文献数
11

演算器ごとに専用のローカルレジスタを持たせるレジスタ分散型アーキテクチャを用いると,レジスタ間データ転送を利用することによって配線遅延が回路の性能に与える影響を削減することが可能である.しかし,高位合成のスケジューリングの段階からフロアプラン情報を考慮する必要がある.本論文では,レジスタ分散型をターゲットアーキテクチャとし,(1) スケジューリング,(2) レジスタバインディング,(3) モジュール配置,の工程を繰り返し,(3) から得られたフロアプラン情報を(1),(3) の工程にフィードバックすることによって,解(合成結果)を収束させる高位合成手法を提案する.フロアプラン情報をスケジューリングに反映させるために,フィードバックされた配置情報とタイミング制約に基づいて,レジスタ間データ転送を利用することができるスケジューリング手法を提案する.また,レジスタ分散型に対応したレジスタバインディング手法を提案する.提案バインディング手法では,ローカルレジスタを入力側と出力側で区別し,出力側レジスタで可能な限りデータを保持することにより,総レジスタ数を削減する.提案手法により,フロアプランを考慮したレジスタ間データ転送を用いた回路を解として得ることが可能となる.計算機実験によって,提案手法の有効性を示す.By using a distributed-register architecture, we can synthesize the circuits with register-toregister data transfer, and can reduce influence of interconnect delay. In this paper, we propose a high-level synthesis method targeting a distributed-register architecture. Our method repeats (1) scheduling, (2) register binding, (3) module placement processes, and feeds back floorplan information from (3) to (1) in order to decide which functional units use registertoregister data transfers. Our scheduling algorithm can use register-to-register data transfer based on floorplan and timing constraint. We also propose a register binding algorithm on a distributed-register architecture. We show effectiveness of the proposed methods through experimental results.
著者
小原 俊逸 史 又華 戸川 望 柳澤 政生 大附 辰夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.506, pp.25-30, 2008-02-27
被引用文献数
5

本稿ではASIPを対象としたハードウェア/ソフトウェア協調合成システムにおける命令メモリビット幅削減に基づく低エネルギー化手法を提案する。VLIW型プロセッサは並列に命令を発行可能だが,命令メモリのビット幅が長くなり,消費電力・消費エネルギーを無駄に増加させてしまう.したがって,VLIW型プロセッサの命令メモリのビット幅の削減は,高性能でエネルギー効率の高いプロセッサを実現可能にすると考えられる.命令メモリのビット幅は命令エンコーディング形式に依存し,それはオペコードとオペランド群で構成される.オペコードのビット幅は命令セットにおける命令数に,オペランドのビット幅は汎用レジスタ数に依存する.また,我々はオペコードのビット幅を削減するために,結合命令の概念を導入した.結合命令は各VLIWスロットで同時に発行される複数の命令を1つの命令として取り扱った命令である.我々は,オペコードビット幅削減アルゴリズム,オペランドビット幅削減アルゴリズム,エネルギー最小化アルゴリズムの3つのアルゴリズムで構成されるASIP合成システムを構築した.実験結果では,メモリを含むプロセッサ全体で,9%〜12%の消費エネルギーを削減することを確認した.
著者
涌井 達彦 戸川 望 柳澤 政生 大附 辰夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.473, pp.89-94, 2000-11-23
被引用文献数
13

本稿では, CAM(一致検索機能を有する機能メモリ)を使用したプロセッサを対象とするハードウェア/ソフトウェア協調合成システムを提案する.本システムではC言語で記述されたCAM機能を使用したアプリケーションプログラムおよび面積/時間制約を入力とし, 制約を満足するCAMとマイクロプロセッサユニットで構成されるCAMプロセッサの論理合成可能なハードウェア記述およびCAMプロセッサ上で動作するバイナリコードを出力する.本システムCAMの並列処理を担う各機能モジュールをハードウェアで実現するか, ソフトウェアで代替するかを分枝限定法により決定する.計算機上に実装した本システムにアプリケーションプログラムおよび時間制約を入力した結果, 制約を満足するCAMプロセッサのハードウェア記述およびバイナリコードが得られた.
著者
本間 雅行 田村 亮 戸川 望 柳澤 政生 大附 辰夫 佐藤 真琴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.224, pp.7-12, 2008-09-22

近年のディジタル機器においては,多種多様で,膨大なデータを短時間で処理することが要求されている.このような要求に応える新たなアーキテクチャとして,多数の演算器を並列に動作させることができる再構成型プロセッサがある.ここでは,ディジタルメディア処理向け動的再構成プロセッサFE-GA(Flexible Engine/Generic ALU array)に注目する.現在,FE-GAの開発ツールに関してはまだ確立されていない.そこで本稿では,FE-GAへの設計を容易にし,開発コストを軽減するFE-GAマッピングアルゴリズムを提案する.このアルゴリズムは特定のデータフローグラフ(DFG)を入力とすることで,FE-GAへのマッピング結果を生成,変換し,FE-GA専用のアセンブリ言語を自動生成するものである.この自動生成したアセンブリ言語をFEEditorと呼ばれる専用ツールに読み込ませることでマッピング自動化を実現する.提案手法では,DFGの入力側から出力側に向かってレベル順にノードを一つ一つFE-GAの演算セルアレイに配置配線していく.最初にマッピングするノードを優先的に左上にマッピングすることとし,それ以降のノードは,マッピングしたいノードの入力データを出力するノードの位置により,その位置を決定する.この過程を繰り返すことでマッピングを実現する.8つのDFGに対し提案手法を適用しサイクル数および実行時間を算出した.すべてのDFGでマッピングを実現することができた.
著者
田中 真 内田 純平 宮岡 祐一郎 戸川 望 柳澤 政生 大附 辰夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.478, pp.127-132, 2004-11-25
被引用文献数
4

レジスタ分散型アーキテクチャを用いると,レジスタ間データ転送を利用することによって配線遅延が回路の性能に与える影響を削減することが可能であるが,高位合成のスケジューリングの段階からフロアプラン情報を考慮する必要がある.本稿では,レジスタ分散型をターゲットアーキテクチャとし,(1)スケジューリング,(2)レジスタバインディング,(3)モジュール配置,の工程を繰り返し,(3)から得られたフロアプラン情報を(1),(3)の工程にフィードバックすることによって,解(合成結果)を収束させる高位合成手法を提案する.提案手法により,フロアプランを考慮したレジスタ間データ転送を用いた回路を解として得ることが可能となる.また,計算機実験によって,提案手法の有効性を示す.
著者
松本 和也 戸川 望 柳澤 政生 大附 辰夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.171, pp.25-30, 2008-07-21
被引用文献数
5

携帯電話の高性能化・小型化により,GPSやナビゲーションシステムを用いた地図サービスの利用が拡大し,都市部から郊外部にわたって需要が増加すると考えられる.しかし表示画面が狭く処理能力の低い携帯端末で地図を表示させるには,携帯端末画面に適した略地図を生成する必要がある.本稿では,主に直線から構成される都市部だけでなく,直線・曲線を含む郊外部にも適用可能な略地図生成手法を提案する.提案手法は,エリア全体の道路ネットワークをいくつかのグループに分割し,各グループごとに間引き処理すると同時に直線化曲線化することで,都市部や郊外部に適応した略地図生成を図る.都市部と郊外部各10箇所の入力データを用いて提案手法を適用した結果,都市部ならびに曲線の多い郊外部でもデータ量削減と見やすい略地図が生成されることを確認した.
著者
山岸 敬弘 戸川 望 柳澤 政生 大附 辰夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.171, pp.31-36, 2008-07-21
被引用文献数
5

近年,携帯電話の普及に伴って移動通信サービスが大きく展開され,実用化が進んでいる.しかしながら実用段階まで進んでいる歩行者ナビゲーションサービスの研究は屋外環境に限ったものである.本稿では,屋外と比較して複雑な構造を持つ屋内環境におけるナビゲーションサービスに着目し,各ユーザに特化した最適な経路を提供することを目的として,ユーザの嗜好を反映させた経路探索手法を提案する.まず可視グラフを利用して対象とする屋内環境に特化したネットワークデータを提案する.次に,取り入れるべき嗜好項目を調査し,「最短経路」への要求は70%強,階段やエレベータ,エスカレータ等の「階層移動手段」に対し,特に高齢者から80%以上の要求があることを示す.これに加えて人混みを避けた経路に対し60%強の要求があった.そこで「最短経路」,「階層移動手段」さらに「混雑状況」という時間的因子を考慮した経路探索手法を提案する.提案手法の有効性を示すために実地調査を実施し,数種類に及ぶシミュレーション実験の結果から各ユーザにとって最適な経路が出力されることを示す.
著者
児島 伴幸 戸川 望 柳澤 政生 大附 辰夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.171, pp.37-42, 2008-07-21
被引用文献数
5

GPSの普及により歩行者ナビゲーションシステムが可能になったが,都市部においてGPSは電離層やマルチパスなどの影響により数100m程度の測位誤差が生じる可能性がある.都市部において数100mの測位誤差は道路数本分の誤差に対応するため,歩行者に混乱を与えかねない.数m以下の測位誤差にするために,我々は既存インフラである道路標識と携帯カメラを用いたGPS位置補正システムを提案している.我々の提案では,携帯電話で受信したGPS座標からユーザの大まかな位置を把握し,携帯カメラで撮影した標識と地図データベースを照らし合わせ,詳細な位置を求める.GPS位置補正システムの中で重要なサブシステムの一つに道路標識認識システムがある.道路標識認識システムは,自動車向けのシステム開発が進行しているが,携帯電話向けのシステム開発はほとんど始まっていない.本稿では,我々のグループで開発を進めている2種類の道路標識認識システムを用い,実際に携帯カメラで撮影した画像を元に道路標識を解析し,撮影状況に依存した道路標識の認識度を調査する.とくに,夜間における携帯ライト・天候による逆光の影響が道路標識認識システムの認識度に変化を与えることを示した.