- 著者
-
宮川 義隆
- 出版者
- 一般社団法人 日本血栓止血学会
- 雑誌
- 日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
- 巻号頁・発行日
- vol.31, no.1, pp.28-36, 2020 (Released:2020-02-22)
- 参考文献数
- 25
血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura: TTP)の標準的治療は,永らく血漿療法であった.後天性TTPに対する抗体医薬リツキシマブが,Phase 2医師主導治験の成績をもとに,2018年8月に保険収載された.海外のシステマティック・レビューによれば,リツキシマブは再発・難治例の9割に有効性を示す.欧米では,後天性TTPにカプラシズマブが承認された.カプラシズマブは,フォンビルブランド因子に対する低分子抗体である.カプラシズマブは,重篤な血栓症,死亡リスク,血漿交換の回数を減らす効果がある.先天性TTPを対象に,遺伝子組換えADAMTS13製剤の臨床試験が進められている.本稿では,TTPに対する分子標的治療の幕開けを中心に紹介する.