- 著者
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吉岡 一男
Kazuo Yoshioka
- 雑誌
- 放送大学研究年報 = Journal of the University of the Air (ISSN:09114505)
- 巻号頁・発行日
- no.12, pp.137-150, 1995-03-30
おうし座RV型変光星は,F型からK型にわたるスペクトル型をもつ超巨星の脈動変光星で,その変光はセファイドほど規則的ではなく,しばしば変光周期や変光の振幅が変化している.この変光星の特徴は,深い極小光度と浅い極小光度を交互に示すことで,相次ぐ2つの主極小光度の間の変光周期は,30日から150日の範囲にある. この変光星の可視域のスペクトルに基づいた分類によれば,A,B,Cの3つのグループに分類されている.A,Bグループはそれぞれ酸素過剰と炭素過剰のスペクトルを示し,CグループはCH,CN等の吸収帯が見えない点を除き,Bグループと似たスペクトルを示している.一方,星周圏の放つ赤外放射のエネルギー分布により,この変光星は酸素過剰および炭素過剰な星周圏ダストの放射を示す2種類に大別されている.ところが,Bグループの星の中に,酸素過剰な赤外放射の分布の特徴を示すものが観測されている. そこで,両分類の関係を調べるために,国立天文台堂平観測所の91cm反射望遠鏡の多色偏光測光装置を用いて,13個のおうし座RV型変光星を観測した.ここでは,その内の7個の星の解析結果を報告する.得られた主な結論は,次のとおりである.1)多くのおうし座RV型変光星は,固有の偏光成分を示す.2)観測された偏光度は,極大光度時よりも極小光度時の方が大きい傾向を示す.3)B,Cグループでは、観測された偏光度が,とくに極小光度時近くで0.6μmあたりで極大になる傾向を示す.4)Aグループに属するふたご座SS星では,固有の偏光度や偏光位置角が,極小光度時近くで波長とともに増す傾向がわずかに見られる.