- 著者
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岡部 徹
野瀬 勝弘
- 出版者
- 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
- 雑誌
- 廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, no.6, pp.403-411, 2011 (Released:2016-12-26)
- 参考文献数
- 9
- 被引用文献数
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金属鉱物資源,特にレアメタル鉱物は,何万年,何億年とかけて,きわめて特殊な自然現象により,偶然にも地表近くに濃縮された,地球がもたらした奇跡 (Miracle of the Earth) の産物である。地球科学的に特異かつ希少な現象によって生成したレアメタル鉱石の本質的な価値 (Value of Nature) はきわめて高い。しかし,現在の社会システムでは,レアメタルの本質的な価値についてはほとんど評価されることなく,鉱山開発や採掘・製錬に伴う経済的なコストのみが評価されている。一方,経済性を追求するあまり採掘に伴う環境破壊コストや製錬時の環境汚染コストは発生しても計上されない場合もある。また,製品の素材として利用した後は,リサイクルのコストがかかるため,循環利用せずに廃棄されるレアメタルが多い。本稿では,Value of Natureという概念を導入して,レアメタル資源の物質フローに関する中長期展望について述べる。