著者
平田 豊誠 片井 ふく実 小川 博士
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 44 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.461-462, 2020 (Released:2020-11-27)
参考文献数
7

河床堆積物の上流から下流にかけての細粒化の成因について,流水による砂礫の選択運搬作用が支配的要因だという説(選択運搬説)と流送砂礫の破砕・摩耗作用が支配的要因だという説(破砕・磨耗説)の2つの対立する要因があげられている.本研究では教員がそのどちらに依った認識を保持しているかの実態調査を行った.その結果,礫の粒径分布成因の認識は破砕・摩耗作用が優位を占め,要因として大きいと考えられている選択運搬作用があまり重要視されていないことが推察された.
著者
廣木 義久 藤井 宏明 平田 豊誠
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育 (ISSN:00093831)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.119-128, 2016-03-31 (Released:2017-05-31)
参考文献数
18

岩石の風化作用による土砂の形成の理解における土に関する学習の効果を,中学生を対象に検証した.土には花崗岩の風化物である粘土質のマサを用いた.授業では,生徒は次の二つのことを学んだ.土はさまざまな粒径の粒子,すなわち,礫・砂・泥(粘土を含む)の混合物であること,土は岩石の風化作用により形成されること,である.単元終了直後には,89.3%の生徒が砂の形成を風化モデルで説明し,その割合は,単元終了から3カ月後でも70.7%と高い値を維持していた.
著者
小川 博士 髙林 厚志 池野 弘昭 竹本 石樹 平田 豊誠 松本 伸示
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.345-356, 2019-03-25 (Released:2019-04-12)
参考文献数
32
被引用文献数
3

我が国の理科教育では,科学や理科学習に対する態度の低迷が問題となっている。本研究は,実社会・実生活との関連を志向する真正の学習論に着目し,中学校理科において,単元開発及び実践を行い,科学や理科学習に対する態度の向上に有効であるかを明らかにすることを目的とした。この目的を達成するために,中学校第2学年の生徒132人を対象として,「電流と磁界」の単元開発を行い,授業を実施した。学習効果を検証するために,「科学や理科学習に対する態度」に関する質問紙を用いて事前事後調査を行った。また,単元後の生徒の感想記述を分析した。その結果,「科学に関する全般的価値」や「科学に関する個人的価値」などにおいて,事後の平均値の方が事前のそれよりも有意に高かった。また,生徒の感想記述を計量テキスト分析し,コード化した。コード間のJaccard係数を算出したところ,「科学の内容」と「日常生活」や「日常生活」と「有用感」などの関連度が高かった。以上のことから,実社会・実生活との関連を志向する真正の学習論に着目した中学校理科授業が,生徒の科学や理科学習に対する態度の改善に一定の効果があることが明らかとなった。
著者
廣木 義久 山崎 聡 平田 豊誠
出版者
日本理科教育学会
雑誌
日本理科教育学会理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.47-56, 2011-07

砂の形成に関する小・中・大学生の理解を調査し,小・中学校における岩石の風化作用に関する学習の問題点を議論した。小学5学年の単元「流れる水のはたらき」の学習前の児童においては,砂の形成メカニズムに関する考えは極めて多様であるが,「流れる水のはたらき」の学習後は,侵食モデル(砂は川で石や岩が水流によって削れてできる)で説明する児童と,衝突モデル(砂は川で礫同士がぶつかり合って砕けてできる)で説明する児童が増加する(それぞれ29.9%,25.6%)。そして,中学校における単元「活きている地球」の学習後は,侵食モデルが52.5%と増加する一方,風化モデルで説明する生徒の割合は8.8%にとどまった。これらの結果から,侵食モデルと衝突モデルは小学5学年の「流れる水のはたらき」の学習で獲得され,侵食モデルは中学1年の風化・侵食作用の学習後に強化されていることがわかる。岩石の風化作用による砂の形成を理解させるための方策としては,中学校における岩石の風化作用の授業に土の学習を取り入れることが有効であると考えられる。
著者
平田 豊誠 多賀 優 吉川 武憲 小川 博士
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.383-389, 2020-11-30 (Released:2020-11-26)
参考文献数
10

深成岩が「ゆっくり冷えて固まる」とは一体どれくらいの時間なのか?という問いかけを小学校教員・中学校理科教員を対象に行った。本研究の目的は,深成岩の冷却固結の時間についての認識調査を小学校教員および中学校理科教員に行い,認識の比較検討を行い,冷却固結の時間に関する時間的スケールを獲得している状況を考察することである。調査は小学校教員41名,中学校理科教員155名を対象に認識調査・分析を行った。その結果,深成岩の冷却固結の時間の地質学的時間スケールにおいて,妥当な回答を行った小学校教員は7.3%,中学校理科教員は11.6%だった。中学校理科教員と小学校教員間での比較検討を行った結果,妥当な回答について有意差は認められなかった。また,中学校理科教員間での比較分析の結果,学生時代における地学専門だったかそれ以外だったか,および教員の使用している教科書会社の違いそれぞれについての有意差は認められなかった。
著者
廣木 義久 山崎 聡 平田 豊誠
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.47-56, 2011-07-05 (Released:2021-06-30)
参考文献数
26

砂の形成に関する小・中・大学生の理解を調査し,小・中学校における岩石の風化作用に関する学習の問題点を議論した。小学5学年の単元「流れる水のはたらき」の学習前の児童においては,砂の形成メカニズムに関する考えは極めて多様であるが,「流れる水のはたらき」の学習後は,侵食モデル(砂は川で石や岩が水流によって削れてできる)で説明する児童と,衝突モデル(砂は川で礫同士がぶつかり合って砕けてできる)で説明する児童が増加する(それぞれ29.9%, 25.6%)。そして,中学校における単元「活きている地球」の学習後は,侵食モデルが52.5%と増加する一方,風化モデルで説明する生徒の割合は8.8%にとどまった。これらの結果から,侵食モデルと衝突モデルは小学5学年の「流れる水のはたらき」の学習で獲得され,侵食モデルは中学1年の風化・侵食作用の学習後に強化されていることがわかる。岩石の風化作用による砂の形成を理解させるための方策としては,中学校における岩石の風化作用の授業に土の学習を取り入れることが有効であると考えられる。