著者
中島 義博 前田 貴司 今石 喜成 岩佐 聖彦 原野 裕司 荻野 美佐 志波 直人 山中 健輔 松尾 重明 田川 善彦
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.235-242, 2000-06-15 (Released:2016-12-05)
参考文献数
10

Purpose Exercise of patients was carried out to maintain and improve their body functions. The load on the hip joint during exercise was analyzed using the integrated EMG and force measurement of agonist and antagonist muscles. Method Experiment 1: The relationship between the integrated EMG and the muscle force of hip abduction was examined to identify their linearity up to 100% MVC using a Cybex 6000. Twelve lower extremities of six healthy males were used. Experiment 2: The load on the hip joint was estimated through this experiment, using twenty lower extremities of ten healthy males. Exercises such as straight leg raising (SLR), hip abduction, and knee extension were performed. The integrated EMG at 100% MVC and the muscle force of agonist and antagonist were measured. Then the integrated EMGs of agonist and antagonist were measured to determine the muscle force in proportion to the force at 100% MVC. Mathematical models were used to analyze the load on the hip joint in each exercise. Results Experiment 1: The integrated EMG and the muscle force of the hip abduction showed a strong linearity up to 100% MVC. Experiment 2: In SLR, the resultant force on the hip joint was 908 N and 1.4 times body weight at 10 degrees hip flexion. It was 765 N and 1.2 times body weight at 20 degrees, and 657 N and equal to body weight at 30 degrees. In hip abduction in the lateral position, it was 1.8 times body weight at 10 degrees hip abduction, and it decreased with increasing hip abduction. In knee extension with sitting, it was 127 N and 0.2 times body weight at a 60-degree knee flexion angle, and it increased gradually with knee extension. Conclusion The analyzed values showed good agreement with those from sensorized prostheses. The proposed method in this study was considered appropriate for evaluating the load on the hip joint during exercise. In SLR, the load was 1.4 times body weight, which was unexpected. Our approach will be applicable to other exercises in a rehabilitation protocol.
著者
河上 淳一 後藤 昌史 松浦 恒明 寄谷 彩 政所 和也 永松 隆 今井 孝樹 烏山 昌起 原田 伸哉 工藤 憂 志波 直人
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11783, (Released:2020-09-08)
参考文献数
26

【目的】本研究の目的は,腱板断裂患者に対し患者立脚評価を用いた治療方針の予測をすることである。【方法】対象は腱板断裂患者229 名で,初診1 ヵ月以降の治療方針(手術または保存)を目的変数,患者立脚評価を説明変数とした決定木分析と傾向スコア分析を行い,治療方針のオッズ比を算出した。【結果】決定木分析にてもっとも手術療法が選択される手術療法傾向群と,もっとも保存療法が選択される保存療法傾向群に分け,それ以外を中間群とした。傾向スコア分析を考慮したオッズ比は,保存療法傾向群に対して手術療法傾向群で11.50 倍,中間群に対して手術療法傾向群で3.47 倍の手術療法が選択された。【結論】腱板断裂患者の治療方針の予測には,SST における4 つの質問の重要性が示唆された。
著者
有岡 美佐 野口 蒸治 志波 直人 中島 義博 柳 東次郎 久保 学 樋口 富士男 井上 明生 田川 善彦
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.1344-1349, 1998-09-25 (Released:2010-03-16)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

There were 89 revision cases among 1315 total hip replacement (THR) until December 1996 at the Kurume University, and the rehabilitation of these revision cases was evaluated. The mean revision age was 65 years old, and the average period from the previous THR was 10 years and 6 months. Allobonegraft was used for significant osteolysis, and the Kerboull cross plate for such acetabulum. The Dall-Miles cable grip system was used for the re-attachment of the greater trochanter. The Sarmient brace was applied in the cases with weak femora, and hip abduction brace was also applied for easy dislocation cases. The details of rehabilitation should be decided according to the biomechanical characteristics of each operative device, technique, and individual bone condition.
著者
松瀬 博夫 志波 直人 名護 健 荻野 美佐 梅津 祐一 永田 見生
出版者
社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.537-541, 2006 (Released:2006-10-26)
参考文献数
20
被引用文献数
2 1

下肢外傷により,治療上患側下肢免荷を余儀なくされた入院患者20 名,平均年齢39.2(20~61)歳を対象とし,DXA法を用いて大腿骨頸部,転子部の骨密度を測定し,健側骨密度に対する免荷側骨密度の低下率を用いて,免荷による骨萎縮率の評価を行った.免荷期間の平均は28.8(7~82)日で,大腿骨頸部の平均骨萎縮率4.9 %,大腿骨転子部は平均3.5 %であった.大腿骨頸部の骨萎縮率と完全免荷期間との相関係数は0.50(p <0.05),同じく大腿骨転子部では0.63(p<0.01)で,回帰直線の傾きは,大腿骨頸部では0.09,大腿骨転子部では0.13と,大腿骨近位部は免荷により1 日で約0.1 %の骨萎縮を来たしていた.
著者
田川 善彦 新田 益大 増山 智之 松瀬 博夫 志波 直人
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.225-236, 2014 (Released:2017-02-15)
参考文献数
55

微小重力下にある国際宇宙ステーション (International Space Station : ISS) では生体の筋骨格系が減弱する. このため種々の対策が実施されているが, 大掛かりな設備となっている. そこで簡便で効果的な訓練法が模索され, 我々のグループではヒトへの電気刺激によるハイブリッドトレーニング (hybrid training : HT) 法を提案し, 地上や微小重力模擬下で効果を検証してきた. 本論文ではHTのISS 内実施に伴い想定される以下の事項を取り上げた. まずシステムの電気刺激条件と含水性刺激電極, 刺激装置と人体通電時の電磁適合性 (electro-magnetic compatibility : EMC) について検討した. 次にHTと人体浮遊時の身体揺動, 日本実験モジュール (Japanese Experiment Module : JEM) に上体を固定した時のISSへの振動的加速度の影響について検討した.
著者
國武 真史 胤末 亮 井戸川 友樹 篠原 道雄 井上 雅文 白濵 正博 志波 直人
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.474-476, 2019-09-25 (Released:2019-12-17)
参考文献数
7

大腿骨頚部骨折に対するTresLock(以下T群),Prima Hip Screw(以下P群)を用いた骨接合術の治療成績を比較検討した.対象は2016年8月から2018年3月に手術を行ったT群7例,P群16例である.平均手術時間はT群:43.1分,P群:24.9分で統計学的に有意差を認めた(P<0.001).Garden Alignment Index変化量や歩行再獲得率に有意差はなかったが,平均telescoping量はT群で少ない傾向を認めた.術後合併症はP群で大腿骨転子下骨折を2例認めた.2群間で統計学的な差があったのは手術時間のみであったが,T群でtelescoping量が少ない傾向を認めた.TresLockは強固な固定力があり,日本人の大腿骨頚部骨折に対して,有用な内固定材料であると考えられた.
著者
田中 康嗣 後藤 昌史 光井 康博 後藤 雅史 吉川 英一郎 久米 慎一郎 大川 孝浩 樋口 富士男 永田 見生 志波 直人
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.673-675, 2013-09-25 (Released:2013-11-26)
参考文献数
5

50歳,女性.アレルギー疾患の既往はなし.右肩石灰沈着性腱板炎に対し鏡視下石灰摘出および腱板縫合術施行.腱板縫合には2個のチタン製金属アンカーを使用した.術後3週目より顔面,体幹および手指の皮疹と著明な掻痒感が出現.抗アレルギー剤内服,外用等で経過観察するも症状は改善しなかった.術後6カ月目で金属アレルギーを疑い,パッチテストを行ったが陰性であった.患者の同意を得て初回手術後より7カ月目に,ミニオープン法下にアンカー抜去ならびに腱板再縫合術を施行.手術時,特に異常所見は認めなかった.アンカー抜去後2日目より皮疹と掻痒感は消失し,再手術後から2年の現在,肩関節痛,可動域制限は認めず腱板修復状態も良好である.金属製アンカーを用いた腱板縫合術後,長期にわたるアレルギー様反応が生じた際は,例えパッチテストが陰性であったとしても金属アンカーの抜去を考慮すべきかもしれない.
著者
河上 淳一 後藤 昌史 松浦 恒明 寄谷 彩 政所 和也 永松 隆 今井 孝樹 烏山 昌起 原田 伸哉 工藤 憂 志波 直人
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.587-592, 2020 (Released:2020-12-18)
参考文献数
26

【目的】本研究の目的は,腱板断裂患者に対し患者立脚評価を用いた治療方針の予測をすることである。【方法】対象は腱板断裂患者229 名で,初診1 ヵ月以降の治療方針(手術または保存)を目的変数,患者立脚評価を説明変数とした決定木分析と傾向スコア分析を行い,治療方針のオッズ比を算出した。【結果】決定木分析にてもっとも手術療法が選択される手術療法傾向群と,もっとも保存療法が選択される保存療法傾向群に分け,それ以外を中間群とした。傾向スコア分析を考慮したオッズ比は,保存療法傾向群に対して手術療法傾向群で11.50 倍,中間群に対して手術療法傾向群で3.47 倍の手術療法が選択された。【結論】腱板断裂患者の治療方針の予測には,SST における4 つの質問の重要性が示唆された。
著者
大本 将之 志波 直人
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.27-30, 2017-01-28 (Released:2017-03-28)
参考文献数
8
被引用文献数
1

微小重力により,宇宙飛行士の筋骨格系は著しい廃用性変化をきたす.火星探査では狭い宇宙船内での運動が必要となるが,従来の宇宙飛行士用の訓練装置は大型で使用が困難である.ハイブリッドトレーニング装置は,運動時に動作を妨げる拮抗筋を電気刺激して得られる筋収縮を運動抵抗とし,小型で自身の体内で運動抵抗を発生させることから,このような制約が大きい環境下での使用が可能である.2009年,国際宇宙ステーション利用研究に採択され,本装置を1名の宇宙飛行士の非利き腕に装着し,週3回4週間,計12回のトレーニングを行い,廃用予防改善効果を検証した.同時に5年間の産学協同研究により,下肢用トレーニング装置が市販された.
著者
古賀 唯礼 本多 弘一 後藤 昌史 中村 秀裕 久米 慎一郎 志波 直人 大川 孝浩
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.540-543, 2019
被引用文献数
1

<p>〈目的〉拘縮肩に対するサイレントマニピュレーション(SM)の治療成績を検討した.〈対象と方法〉拘縮肩症例26肩(平均年齢57.5歳)に対し,皆川らの方法に準じSMを施行し,経時的に評価した.〈結果〉術前/術後6ヵ月後の各平均値は,屈曲:109±25.4°/148±12.2°(P<0.0001),外転:96±38.8°/152.9±23.9°(P<0.0001),外旋:26.4±14.3°/43.8±18.7°(P<0.0001),内旋:L5±3.3/Th11±2.7椎体(P<0.0001)といずれも改善を認めた.またJOAスコア:40.9±9.6/65.6±9.6(P<0.0001),UCLAスコア:15.9±3.9/27.3±5.5(P<0.0001),およびVisual analogue scale(VAS)はVAS rest:26.3±33.8/5.1±10.9(P=0.0123),VAS night:38.1±33.6/4.7±8.9(P=0.0007),VAS motion:67.5±24.7/17±15(P<0.0001)といずれも改善した.〈結語〉SMは拘縮肩に対して有効な治療法と思われる.</p>
著者
古賀 唯礼 本多 弘一 後藤 昌史 中村 秀裕 久米 慎一郎 志波 直人 大川 孝浩
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.540-543, 2019-09-25 (Released:2019-12-17)
参考文献数
10
被引用文献数
1

〈目的〉拘縮肩に対するサイレントマニピュレーション(SM)の治療成績を検討した.〈対象と方法〉拘縮肩症例26肩(平均年齢57.5歳)に対し,皆川らの方法に準じSMを施行し,経時的に評価した.〈結果〉術前/術後6ヵ月後の各平均値は,屈曲:109±25.4°/148±12.2°(P<0.0001),外転:96±38.8°/152.9±23.9°(P<0.0001),外旋:26.4±14.3°/43.8±18.7°(P<0.0001),内旋:L5±3.3/Th11±2.7椎体(P<0.0001)といずれも改善を認めた.またJOAスコア:40.9±9.6/65.6±9.6(P<0.0001),UCLAスコア:15.9±3.9/27.3±5.5(P<0.0001),およびVisual analogue scale(VAS)はVAS rest:26.3±33.8/5.1±10.9(P=0.0123),VAS night:38.1±33.6/4.7±8.9(P=0.0007),VAS motion:67.5±24.7/17±15(P<0.0001)といずれも改善した.〈結語〉SMは拘縮肩に対して有効な治療法と思われる.
著者
村岡 康博 木原 俊之 安河内 春彦 陶山 三千也 高野 裕光 今村 裕行 志波 直人 田川 善彦
出版者
Japanese Society for Mastication Science and Health Promotion
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.37-45, 2001-11-30 (Released:2010-07-21)
参考文献数
44

本研究は, 柔道の競技力に繋がる平衡機能に, 咬合状態がどの様に関与しているかを知るための基礎的資料を得ることを目的とし, 日本代表柔道選手を対象に, 重心動揺と咬合状態との関連性について検討した.1. 咬合状態咬合面積, 咬合力及び咬合バランスの値には, 個人差が大きかった.2. 咬合状態と重心動揺との相関1) 咬合面積と重心動揺主観的に強い噛み合わせでは, 総軌跡長, 単位軌跡長に相関が見られ, 安静状態での噛み合わせでは, 外周面積, 矩形面積及び実効値面積に相関が見られた.2) 咬合力・咬合バランスと重心動揺噛み合わせに関係なく外周面積, 矩形面積及び実効値面積に相関が見られた.3. 噛み合わせ条件の違いによる重心動揺の差の検定総軌跡長と外周面積では, 統計的に有意な差を示した.以上の結果により, 咬合状態と重心動揺には密接な関係が有ることが示唆された. また, 主観的に強いクレンチングは, 重心動揺の成績を向上させることが示された.
著者
児玉 陽子 宮本 一樹 斉藤 弘道 文 哲也 岩佐 親宏 長 綾子 志波 直人 広畑 優
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 第33回九州理学療法士・作業療法士合同学会 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
pp.142, 2011 (Released:2012-03-28)

【はじめに】 Paced Auditory Serial Addition Task(以下PASAT)の課題成績は高次の注意機能を反映すると言われているが、難易度が高く対象者のストレスを伴うことがあり、FosらはPASATの変法として視覚的に数字を提示することで難易度を減じたPVSATを報告している。そこで今回、PASAT-1秒・2秒(以下PASAT-1・2)を元にPower Point(Microsoft社)でPVSAT-1・2を作成・使用し、他の注意機能検査と比較検討したので報告する。なお、本研究は大学倫理委員会より承認を得て実施した。【対象】 当院脳神経外科病棟入院中の患者40名(男性16名、女性24名、平均年齢54.0±18.0歳)。【方法】 PVSAT-1・2、PASAT-1・2、及びWisconsin Card Sorting Test(以下WCST)、Trail Making Test partB(以下TMT-B)を施行し、PASAT及びPVSATの結果をWCSTの達成カテゴリー(CA6・CA5・CA4・CA3以下)別・TMT-Bの結果別(正常・要時間・不可)に分けて比較検討した。【結果及び考察】 PASATとPVSATには高い相関があり(PASAT-1とPVSAT-1:r=0.75、p<0.001、PASAT-2とPVSAT-2:r=0.77、p<0.001)、PVSATにおいて有意に値が高く、難易度が低いと考えられた。PASAT-1・2及びPVSAT-1・2各々にWCST別での比較では特にCA6群とCA3以下群の間で有意差を認めた(p<0.001)。TMT-Bの結果別では、正常群・要時間群と不可群の間で有意差(p<0.001)を認めた。TMT-B正常群13名の内、PASAT-1で92.3%(12名)、PASAT-2では76.9%(10名)が年齢平均値以下であった。また、不可群10名の内PASAT-1は30%(3名)、PASAT-2では40%(4名)、PVSAT-1・2では共に90%(9名)が施行可能であった。全体では、PASAT-1で77.5%(31名)、PASAT-2は85%(34名)、PVSAT-1・2では共に97.5%(39名)が施行可能であった。 臨床においては、PASATだけではなくTMT-BやWCSTも理解や運動機能、注意の転導性を要する場合等では施行困難なこともしばしばある。また、PASATはTMT-BやWCSTの注意機能と類似しており、PVSATがPASATとの相関を認められたことから、他の検査が施行困難な場合に注意機能の検査として適応できるのではないかと考えた。また、難易度としては他の注意機能検査と比べPVSATが低いと考えられるため、トレーニングとしての応用も検討していきたい。