著者
慶田 雅洋 伊藤 誉志男 小川 俊次郎
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.31, no.10, pp.T86-T90, 1982 (Released:2010-02-16)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

輸入品の酢酸ビニル樹脂製ふうせんペースト(幼児用おもちゃ)について,衛生的な安全性確保の目的でペースト中の有機溶剤のガスクロマトグラフィー(GC)及びマススペクトロメトリー(MS)による定性,定量法を検討した.試料をN,N-ジメチルホルムアミドに溶かし,GC(FID付き)条件を検討したところ,輸入者が自主検査で用いたPEG 20Mカラムではペーストより五つのピークが認められたが,分離が良くなかった.新たにChromosorb 101カラムを用いた条件を設定したところ,七つのピークを得,GC/MSにより主ピークはエタノールと酢酸エチル,微量ピークはメタノール,アセトアルデヒド,アセトン,酢酸メチル及び酢酸ビニルモノマーと同定できた.本条件を用い輸入品12検体の実態調査を行ったところ,エタノールが主成分{(15.4~19.8)%}のものと酢酸エチルが主成分{(24.9~28.3)%}のものがあり,又,メタノール含有量には大きな変動(3%~N.D.)が認められた.
著者
慶田 雅洋 津郷 友吉
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.59-67, 1969-04-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1

ジメチルニトロソアミンなどの低級ニトロソアミンの強い発がん性についてはすでに確かめられている. これらのニトロソアミンは食品中で亜硝酸と第二級アミンの反応によって生成する. ノルウェーにおける1957年のにしん飼料中毒事件はニトロソアミンによって起こったものであることが明らかにされている. 亜硝酸塩を肉色の発色剤として使用する肉製品のニトロソアミン含量について測定した結果はドイツにおいて多くとも1ppm以下であるという漠然とした成績が得られているにすぎない. チーズの製造の際に原料に添加した硝酸塩より熟成中にキサソチンオキシダーゼの作用で亜硝酸の生成することが確認されている. しかしながら現在までのところでは添加した硝酸塩よりニトロソアミンの形成されることは証明されていない. 小麦粉中にも検出したという報告もあるが, いずれの食品においても現在のところではまだ検索の初期の段階であって今後の成果が期待される. ただその中でも国際酪農連盟を中心としたチーズ中のニトロソアミンに関する組織的な活動が注目される. 現在のところでは0.5μg以上のニトロソアミンを検出する方法が開発されているが, 将来さらに精度を高めることが期待される.
著者
慶田 雅洋
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.31-40, 1967-01-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
50
被引用文献数
1
著者
豊田 正武 伊藤 誉志男 一色 賢司 大西 和夫 加藤 丈夫 神蔵 美枝子 白石 美子 原田 行雄 深澤 喜延 横山 剛 米田 孟弘 平山 佳伸 山本 芳子 藤井 正美 慶田 雅洋
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.489-497, 1983 (Released:2009-11-16)
参考文献数
13
被引用文献数
3 4

1) 1982年11月上旬~中旬に, 厚生省の食品添加物1日摂取量調査方式 (マーケットバスケット方式) に従い, 各種食品を, 東京で大手スーパーより, 東京, 大阪で中堅スーパーより, 仙台, 和歌山, 北九州で中小スーパーより, 札幌, 山梨, 長野, 島根で地元小売店より購入し, 1人1日喫食量に相当する試料量を採取し, 8食品群ごとに集め, 各種食品添加物含量を分析し, 1日摂取量を求めた。2) 48品目の各種食品添加物の10機関の平均1日総摂取量は119.8mgであり, 個々の食品添加物の平均1日摂取量は, プロピレングリコール43mg, ソルビン酸36.3mg, 硝酸35.5mg, 安息香酸1.44mg, グリチルリチン酸1.39mg, サッカリンナトリウム0.91mg, プロピオン酸0.60mg, パラオキシ安息香酸エステル類0.23mg, デヒドロ酢酸0.19mg, 合成着色料0.096mg, 亜硫酸0.073mg, BHT0.023mg, 亜硝酸0.018mg, BHA0.001mgであった。3) 各種食品添加物の1日摂取量のADIに対する割合は, 天然由来も含む硝酸以外0~3%の範囲内にあり, 購入先の規模別では, 地元小売店の食品で保存料, 甘味料が多く, 中堅スーパーでは添加物含量が若干低い傾向が見られた。