著者
今中 哲二 川野 徳幸 竹峰 誠一郎 進藤 眞人 鈴木 真奈美 真下 俊樹 平林 今日子 高橋 博子 振津 かつみ 木村 真三 七沢 潔 玉山 ともよ
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

代表者の今中は以前よりチェルノブイリ原発事故の調査を行ってきた。福島原発事故の長期的問題を考えるため、広島・長崎原爆被害やセミパラチンスク核実験被害の調査を行っている川野徳幸、マーシャル諸島での核実験被害調査を行っている竹峰誠一郎らとともに、原子力開発がはじまって以来世界中で発生した様々な核災害の後始末について調査を行った。核災害は、放射線被曝や放射能汚染といった問題にとどまらず、社会的に幅広い被害をもたらしており、その多くは災害が起きてから50年以上たっても解決されないことが示された。得られた成果は2017年11月12日に東京で開催した報告会で発表し、12編の報告を含むレポートにまとめた。
著者
野村 大成 足立 成基 笠井 文生 梁 治子 振津 かつみ
出版者
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

ロシア連邦小児放射線防護研究センター(センターと略す)が実施しているチェルノブイリ原発事故による汚染地域住民とその子ども(約97000人)の健康診断、治療データおよび野村によるマウス継世代影響研究試料を、臨床、病理学的、分子遺伝学的に調査し、放射線被ばくと未来世代における健康との相関を調査・研究した。1. 放射線被ばくの次世代に及ぼす健康影響調査:被ばく住民およびその子孫におけるがん、先天異常、その他の疾病ついて、センター研究者の協力を得て調査を開始し(野村、連携研究者;振律、吉田、研究協力者;センター・Baleva, Sipyagina, Karakhan, Potrohova, Saakyan)、被ばく住民の子供には小児特有のがんの上昇が初めて見られた。マウス実験においても、原子炉放射線により、マイクロサテライト突然変異が誘発され、5GyのX線を♂マウスに1回照射したことにより、次世代以降にがん、発生異常を好発した2系統の34~54代目マウスを調べたところ、マイクロサテライト突然変異がほぼ全例に蓄積していることを発見した(非照射マウスでは2%以下)(野村、梁、足立)。国際学会発表、国際誌共同発表を行った。また、10月にモスクワ、3月に大阪において共同研究集会を行った。2. 分子レベルでの継世代影響調査:被ばく住民の家族から末梢血を採取をセンター研究協力者が開始した。次世代シークエンサーIon Torrentのシステムに対応した試薬を用いてシークエンスライブラリーを作製し、Ion PGMにてシークエンスを行えば、変異を特定するために十分なデータ量が得られる見込みであることがわかった(笠井、梁、足立、野村)。また、マイクロサテライト変異、遺伝子発現変化とがん遺伝子変異の検出についても、当研究所において解析する。実施内容についてはすでに当研究所の倫理委員会の承認済である。
著者
振津 かつみ BERTELL Rosalie LAURENCE Glen BEIVERSTOCK Keith MOHR Manfred JAWAD Al-ali OMRAN Habib DOUG Weier RIA Verjauw GRETEL Munroe 佐藤 真紀 豊田 直己
出版者
兵庫医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

「非人道的無差別殺傷兵器」のひとつである劣化ウラン兵器の国際規制について、国際社会が進むべき方向性を決めるための根拠となる、同兵器の環境・健康影響の科学的知見と社会学的論点について、調査研究を行った。以下がその成果である。(1)劣化ウラン兵器が使用されたイラク南部バスラの医師らによる癌登録の整備と疫学調査に協力した。また、現時点での同地域の癌の特徴と動向を確認した。(2)劣化ウラン兵器に関する「国連決議」の議論を調査し、国際規制における意義を確認した。(3)劣化ウランの健康影響に関する科学論文のレビューを行い、広く国際社会が共有できる資料としてまとめた。(4)予防原則の軍縮分野での適用について、文献調査を行い、劣化ウラン問題に即した予防原則のあり方について考察を行った。