著者
斉藤 昭彦
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.43-47, 1996 (Released:2007-03-29)
参考文献数
7

この論文の目的は,徒手理学療法におけるイリタビリティーの概念について解説し,イリタビリティーの評価の実際およびイリタビリティーと検査・治療との関係について記述することである。イリタビリティーとは種々の動作によって患者の状態悪化が引き起こされる可能性の程度であり,1)痛みを引き起こす活動量,2)出現した痛みの強度,3)出現した痛みの回復時間の3つの要素から決定される。イリタビリティーはまず,病歴聴取の段階で患者の訴えに基づいて決定され,身体的検査,治療を通して修正される。イリタビリティーの評価により患者の許容量を考慮した適切な検査,治療が可能となる。また,イリタビリティーは治療効果の指標あるいは臨床教育におけるコミュニケーションの手段としても有用である。
著者
石原 哲 小林 覚 前田 真一 斉藤 昭弘 兼松 稔 栗山 学 坂 義人 河田 幸道 小口 健一 小林 克寿 出口 隆 北島 和一
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.24, no.9, pp.1291-1295, 1991-09-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
15

血液透析患者における膿尿, 細菌尿の実態を知る目的で, 尿路感染症の急性症状を示さない時期に尿検査を実施した結果を報告する.尿沈渣白血球数は5コ/hpf以上が59.7%, 10コ/hpf以上が43.5%, 細菌尿は104CFU/ml以上が29.8%, 105CFU/ml以上が21.0%と, いずれも高頻度であった. 膿尿, 細菌尿の頻度に有意な性差はなかった. 腎炎群, 糖尿病腎症群間にも有意差は認められなかったが, 多発性嚢胞腎が原疾患である症例では, 膿尿, 細菌尿の程度が高い傾向が認められた.1日尿量と膿尿および1日尿量と細菌尿の分布および統計学的検討より, 少なくとも1日尿量400ml以下の場合には通常の基準を用いて感染尿の決定をすることは好ましくないと考えられた.
著者
寺坂 由紀 原 ゆかり 藤井 恵美子 斉藤 昭子 上條 陽子
出版者
信州大学医学部附属病院看護部
雑誌
信州大学医学部附属病院看護研究集録
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.133-138, 2009-03

助産師外来では妊娠生活指導、分娩に向けた準備などの他に精神的な関わりが必要になってくる場面が多くある。無脳症と診断され妊娠継続を希望した妊婦と関わり、妊娠生活を送っていく上で気持ちの変化や児への愛情が日々大きくなっていく様子を傍で見て、感じ、児を迎えるための準備を妊婦の気持ちに寄り添いながら行ってきた。助産師外来から関わりを持つことで、妊婦のニーズを把握し、看護に生かすことができ、それが満足のできる分娩にもつながっていく。今回の関わりを通して、助産師外来からハイリスク妊婦と関わっていくことの必要性や、外来での関わりが病棟での満足できる分娩につながっていくと考えられた。
著者
斉藤 昭
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

2017年度の目標として(1)より単一モードに近い放射パターンを有するアンテナの開発継続、(2) 受信メカニズムの解析 (3)集中定数素子を用いたOAMモード次数の制御の3点を挙げた。(1)のモード単一性改善に関しては、電流分布をフーリエ展開した展開係数を単一にする検討を行った。この展開係数は、OAM各次数に関する自己インピーダンスの絶対値の逆数に比例することから、自己インピーダンス虚部が0となるようにすることで単一に近づくが、さらに実部も低下させると一層単一性が改善する。4素子ループアンテナアレイに5mm間隔で近接して反射板を設けた構成を解析し、所望のOAMモードと他のモードの放射電力比が27dB以上とほぼ単一モードとなることを、下記(2)の項目で開発した解析プログラムを用いて示した。また、この1対の4素子アレイを送信・受信に用い、通信距離3cmで所望のモードの通過が他モード(干渉波)と比べ、シミュレーションで28dB以上、実測でも19dB以上大きいことを確認した。(2)の受信メカニズムの解析に関しては、ループアレイ間の通過特性を次数ごとに解析できる、一般化Z行列の手法を用いて解析した。数値計算ソフトMathematica上にこの解析プログラムを作成した。また一般化Z行列の解析から、OAM多重度はループ半径が同じでも2つの自由度があることを導出し、数値計算でループ半径数の2倍のOAM多重度が実現できることを解明した。(3)の集中定数素子を用いたOAMモード次数制御に関しては、ループアンテナ内に容量を複数配置した構成をシミュレーションで検討した。容量を最適化することで、異なるループ半径で通過が大きくできた。しかし、容量がなく同じループ半径間の通過と比べると通過量が小さく性能が劣った。来年度は、性能とループ半径制御性の両面を勘案し有用性を判断する。
著者
塩川 和夫 小川 忠彦 西野 正徳 大塚 雄一 湯元 清文 斉藤 昭則
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

・平成13年7月に全天カメラ1式をアレシボ観測点(プエルトリコ)に持ち込み、アレシボにある大型レーダーと全天カメラによるTIDの同時観測を約2週間行った。この観測から、真夜中の赤道付近の電離層からやってくる1000kmスケールの大規模波動構造、200kmスケールの中規模伝搬性電離圏擾乱のそれぞれにっいて、レーダー・カメラ同時観測に成功した。・平成13年10月に、日本の磁気共役点にあたるオーストラリアのダーウィンに、上記のカメラを設置し、定常観測を開始した。同年10-11月にかけて、赤道域で発生したプラズマバブルが、日本の鹿児島県佐多観測点とダーウィンで同時に観測された。詳細な解析から、この構造が日本とオーストラリアでちょうど鏡像の関係になっていることが見出され、赤道プラズマバブルの構造が、南北の磁力管をつないだ非常に大規模な構造であることがわかってきた。・信楽・陸別で大気光イメージに観測された中規模伝搬性電離圏擾乱(MSTID)を統計的に解析し、その伝搬特性の季節変化、緯度変化を初めて明らかにした。さらに、DMSP衛星との同時観測例を詳しく調べることにより、MSTIDの波状構造に伴って電離層中に分極電場が生じていることを世界で初めて示した。・平成14年8月9日に鹿児島県佐多岬とオーストラリアのダーウィンで、MSTIDの大気光イメージング観測に初めて成功した。その結果、MSTIDが磁気赤道をはさんで南北半球でちょうど対称の形をしており、南北半球で1対1に対応することがわかった。この事実は、MSTIDが電離層の分極電場の構造を持っており、その電場が磁力線を通じて南北に投影されていること、を示している。さらに平成15年5月21日から6月7日に第3回FRONTキャンペーン観測を行い、オーストラリア中央部のRenner Springs(滋賀県信楽町の磁気共役点)に新たに1台の大気光全天カメラを設置したほか、国内外計7カ所で全天カメラによる伝搬性電離圏擾乱の総合観測を行った。この観測から、中規模伝搬性電離圏擾乱が、非常に良い南北共役性をもち、南半球と北半球で対称な構造を保ちつつ伝搬していることがわかった。
著者
増栄 成泰 斉藤 昭弘 河田 幸道
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.93, no.4, pp.588-591, 2002-05-20

患者は28歳,男性.1998年6月24日,両下肢の皮膚潰瘍を主訴に当院整形外科を受診.下肢の血流障害が疑われたため同6月30日両下肢の動脈造影を施行したところ,左背側趾動脈の先細り像を認め,Buerger病と診断された.以降,禁煙およびプロスタグランディンI_2(PGI_2略す),血小板凝集抑制剤にて潰瘍は消失したが,同年11月に施行した腹部CTで,両側水腎症を認めたため12月9日当科を紹介された.点滴腎盂造影(DIP),逆行性腎盂造影(RP)等の所見から原因は後腹膜線維症と考えらた.プレドニゾロン(PSLと略す)を投与したが水腎症は改善しないため,両側尿管にステントを留置した.