著者
秋山 一文 斉藤 淳
出版者
獨協医科大学
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.207-212, 2006-10-25
被引用文献数
1

脳には視床下部-下垂体-副腎皮質系(hypothalamiic-pituitary-adrenocortical axis, HPA系)とノルアドレナリン系というストレス反応を担う2つの系が存在する.急性のストレス反応を終焉させるためにHPA系全体に負のフィードバックが作動する.しかしストレス反応は長期化すればいわば「両刃の刃」としての性質をもつようになる.その引き金になるのがストレスの反復による海馬神経細胞への障害で,これにはbrain derived neurotrophic factor(BDNF)の減少が関与しているかもしれない.またストレスの反復によって脳内ノルアドレナリンの放出は感作される.精神障害は何らかの意味でストレスの影響を被るが,特にストレス反応を担うHPAの制御の障害が示唆される精神障害としてうつ病.外傷後ストレス障害(posttraumatic stress disorder, PTSD),摂食障害を取り上げた.いずれも遺伝的要因を含む脆弱性を有する個人に何らかのストレス負荷が加わり発症するという図式に共通点がある.しかしデキサメサゾン抑制試験で評価したHPAの制御障害の方向性はうつ病では非抑制,PTSDでは過剰抑制と相反している.MRIによるうつ病の画像研究では海馬の萎縮を認めた報告が多い.これがいつから始まるかという問題はストレスによる海馬神経細胞への障害の時間的経過という点で興味深いが更に今後の検討が必要と考えられる.近年,児童虐待が社会問題化しているが,被虐待児が後年になってうつ病,あるいはPTSDなど深刻な精神障害を高率に発症することが見いだされている.このようにストレスと精神障害との関係は大きな広がりを見せつつある.
著者
斉藤 淳 浅羽 祐樹
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.114-134, 2012

比較優位を失った農産物の保護政策を自由貿易と整合的にどのように実施するかは先進工業国に共通する重要な政策課題である。日韓はコメ保護農政において価格統制から出発し強大な農業者団体を有するなどの類似点にもかかわらず,日本は与党への支持と減反への協力と引き換えに公共事業を選択的に提供する恩顧主義から脱却しきれず,TPPに対する態度を保留している半面,韓国は裁量の余地がないプログラム型の直接支払制へと移行し,米国やEUとFTAを締結した。権限が強く,農村部が過大代表されたままの第二院を抱える両院制議院内閣制の下,衆参ねじれが常態化し,与党に対する規律が弱く,日本の首相は執政権が制約され,現状点が維持されたままである。他方,韓国の大統領は,都市部の消費者や国民経済全体の厚生により敏感で,任期半ばで迎える議会選挙の公認権を通じて与党を統制することで,政策転換が可能になった。
著者
桜井 英幸 高橋 満弘 鈴木 義行 清原 浩樹 斉藤 淳一 石川 仁 原島 浩一 北本 佳住 秋元 哲夫 中山 優子 長谷川 正俊 中野 隆史
出版者
Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
雑誌
The Journal of JASTRO (ISSN:10409564)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.187-191, 2003-09-25 (Released:2011-07-11)
参考文献数
14
被引用文献数
1

【目的】子宮頸癌放射線治療後の性生活の変化について, 調査を行ったので報告する.【対象と方法】子宮頸癌の告知後に放射線治療を受け, かつ治療当時パートナーを有していた33例を対象とした. 治療時の年齢鮮平均50.5歳 (26.1~80.5), 調査時の年齢は平均54.3歳 (31.3~80.9) であった.子宮頸癌の病期は, I期8例, II期14例, III期9綱, IV期2例であった. 放射線単独例は20例, 術後照射例13例であった。【結果】治療前の性交の頻度は, 治療前から全くなしと答えた5例を除いた場合, 性交頻度が減少したのは21例, 頻度が変わらないのは5例, 増加したのは2例であった.治療法別では, 放財線単独群で減少例が多い傾向がみられた. 子宮癌になったことで精神的に性交がいやになったと回答したのは21例 (65.6%) であった.パートナーが性交を嫌がっている, または遠慮していると回答したのは9例 (31.0%) で, パートナーのために我慢して性交に応じていると回答した症例は, 9例 (32.1%) であった.また, 17例 (63.0%) が, 治療後に挿入困難となったと回答していた. 性交による出血が心配であると回答した症例も, 24例.(75.0%) と高頻度に認められた. 性交痛に関しては, 17例 (63.0%) が疼痛ありと回答していたが, 我慢できない痛みであると答えたのは3例のみであった. 性交によって治療前よりも快感が得られなくなつたと回答したのは13例 (52.0%) であった.【結語】子宮頸癌放射線治療後には性交頻度が減少する例が多く, その理由は, 挿入困難, 出血, 性交痛などの器質的障害だけでなく, 子宮頸癌を経験したことによる性交への意欲の喪失であった.
著者
荒 邦章 斉藤 淳一 永井 桂一
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

ナトリウムは優れた伝熱・流動性などを有し、高速炉の冷却材として使用されている。一方、酸素や水との化学的反応が活性であるという欠点を有する。本研究ではナトリウム中にナノ粒子を分散させて、ナトリウム自身の化学的活性度を抑制させることを目的としている。本発表では、そのアイデアとこれまでの試験データからの抑制メカニズムについて述べる。
著者
秋山 一文 斉藤 淳 Kazufumi Akiyama Atsushi Saito 獨協医科大学精神神経医学教室 獨協医科大学精神神経医学教室
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.207-212, 2006-10-25

脳には視床下部-下垂体-副腎皮質系(hypothalamiic-pituitary-adrenocortical axis, HPA系)とノルアドレナリン系というストレス反応を担う2つの系が存在する.急性のストレス反応を終焉させるためにHPA系全体に負のフィードバックが作動する.しかしストレス反応は長期化すればいわば「両刃の刃」としての性質をもつようになる.その引き金になるのがストレスの反復による海馬神経細胞への障害で,これにはbrain derived neurotrophic factor(BDNF)の減少が関与しているかもしれない.またストレスの反復によって脳内ノルアドレナリンの放出は感作される.精神障害は何らかの意味でストレスの影響を被るが,特にストレス反応を担うHPAの制御の障害が示唆される精神障害としてうつ病.外傷後ストレス障害(posttraumatic stress disorder, PTSD),摂食障害を取り上げた.いずれも遺伝的要因を含む脆弱性を有する個人に何らかのストレス負荷が加わり発症するという図式に共通点がある.しかしデキサメサゾン抑制試験で評価したHPAの制御障害の方向性はうつ病では非抑制,PTSDでは過剰抑制と相反している.MRIによるうつ病の画像研究では海馬の萎縮を認めた報告が多い.これがいつから始まるかという問題はストレスによる海馬神経細胞への障害の時間的経過という点で興味深いが更に今後の検討が必要と考えられる.近年,児童虐待が社会問題化しているが,被虐待児が後年になってうつ病,あるいはPTSDなど深刻な精神障害を高率に発症することが見いだされている.このようにストレスと精神障害との関係は大きな広がりを見せつつある.
著者
深谷 潤 斉藤 淳二 平野 裕
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.2, 1996-03-11

1987年に初めてGaAs FETを使用した携帯電話用PA(Power Amplifier)モジュールが登場した。GaAs FETはバイポーラトランジスタ、MOS FET等のシリコン系デバイスに比べ高利得、高効率という利点を有している。その為GaAs FET PAモジュールの採用によって長時間動作が可能な非常に小型の携帯電話機が次々と発表され現在のブームに至っている。最近では従来のアナログ方式からより応用範囲の広いディジタル方式への移行が進みつつある。ディジタル携帯電話機の開発には現在も多大な努力が続けられているが最も力が注がれているのは小型軽量化と低動作電圧化である。以下に開発の動向及び、技術的ポイントについて述べる。