著者
新山 龍馬
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

人体の特長を備えた筋骨格ロボットを工学的に実現し,それを用いて筋骨格系を基盤とした身体運動の原理を明らかにすることを目指して研究を行った.最終年度は,筋骨格系を工学的に実現する設計論と筋骨格系のための運動制御手法を確立し,開発した筋骨格ロボットによって走行を実現した.具体的な内容は以下のとおりである.筋骨格系の力学特性を記述し,筋指令を単純な基底関数の組み合わせによって表現する"SCA(Sparse Coding of Activation)"と呼ぶ手法を提案し,筋骨格ロボットに適用し,筋骨格系を基盤とした俊敏な身体運動(跳躍・走行)について調べた.走行の運動制御では,まず,ヒト筋骨格系と対応がとれることを活かして筋賦活パターンの原型をヒトの走行中のEMG(筋電図)を単純化することで得た.次に,計算機シミュレーション上での走行実験および運動学習によって筋賦活パターンを改良し,実機に適用する筋賦活パターンを得た.実機実験では,各筋の賦活によって理論値と一致する方向の床反力ベクトルが得られることを示した.また,計算機シミュレーションと同様に,下腿ブレードの弾性を利用した約1mのストライド(1歩あたりの距離)による3歩の走行を実現した.さらに,床反力の方向制御によって,体幹の姿勢を調節できることが示された.生体と同様に筋の応答遅れがあることから,予測的な筋指令が重要であることがわかった.
著者
山田 胡瓜 福地 健太郎 大澤 博隆 宮本 道人 江渡 浩一郎 倉本 到 渡邊 淳司 前田 太郎 中村 裕美 寺島 裕貴 加藤 淳 米澤 朋子 塩見 昌裕 新山 龍馬 宮本 隆史 水野 雄太 櫻井 翔
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.71-77, 2019-12-15

研究者に,漫画家・山田胡瓜流のSF作劇手法を学んでもらった上でSF作品を書いてもらうという『情報処理』特集記事「『AIの遺電子』に学ぶ未来構想術」に寄せられた内の12作品を対象に,山田胡瓜氏を囲んで実施された講評会の様子を記す.各作品に対して,山田氏に加えて講評会に参加した研究らが,その意義や現実の社会に与えうるインパクトについての議論がなされた.議論の中で,『AIの遺電子』に描かれなかった設定についても山田氏本人から語られる場面があった.
著者
新山 龍馬
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.49-53, 2019-12-15

ヒト型ロボットが人工筋肉で動くようになり,ロボットが機械よりも生物に近づいた近未来を舞台としたSF短編.あるロボット研究室で,主人公は亡くなった恋人を人造人間として蘇らせることを目指す.それは,単にリアルな外見を持ったヒト型ロボットではなく,魂が一時的に乗り移ったかのように,どんな人の姿や動きでも再現できる変身ロボットであった.主人公はロボット自体の開発には成功するものの,故人の人格を再構成することができずに試行錯誤を繰り返す.