著者
元村 愛美 中村 裕美 池松 香 五十嵐 悠紀 加藤 邦拓
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2022-UBI-76, no.21, pp.1-6, 2022-11-01

本稿では,食品表面に食用の金箔の導線や電極を形成し,回路の一部として機能させることで食体験を拡張する手法を提案する.また提案手法の応用例の一つとして,電気刺激により味覚の提示や抑制・増強(電気味覚)を実現する回路を試作したので報告する.従来の電気味覚の提示手法では,食品自体が電気回路の一部となるため,水分含有量が少なく電気を通さない食品への適用は困難であった.提案手法では,食品の表面に金箔で作成した電極を貼り付け,電源装置を接続した手袋型デバイスを通じて電流を印加した食品をユーザが口にすることで,電極から直接,口内に電気刺激を与える.これにより,クッキーやチョコレートなどの水分含有量の少ない食品を用いた電気味覚が提示可能となる.
著者
松村 耕平 尾形 正泰 小野 哲雄 加藤 淳 阪口 紗季 坂本 大介 杉本 雅則 角 康之 中村 裕美 西田 健志 樋口 啓太 安尾 萌 渡邉 拓貴
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2017-HCI-174, no.13, pp.1-8, 2017-08-16

ACM CHI に採録された論文を読み合う勉強会,CHI 勉強会 2017 を開催した.勉強会では ACM CHI2017 に採録された 599 件の論文を参加者が分担して読み合う.これによって,参加者は先端の HCI 研究を概観することができる.本年度は,勉強会をスムースに実施し,また,参加者の支援を行うために支援システムを導入した.システムの分析から,CHI 勉強会がどのような特徴を持っているのか,そして今後どのようにデザインされていくべきなのか議論する.
著者
森岡 隆 手島 和典 吉嶺 絵利 中谷 正 高橋 佑太 倉持 宗起 橋本 貴朗 林 信賢 中村 裕美子 中溝 朋美 高橋 智紀 若松 志保 楠山 美智子 成田 真理子 油田 望花 川口 仁美 安生 成美
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

源兼行ら11世紀半ばの3人の能書が分担揮毫した『古今和歌集』現存最古の写本である「高野切本古今集」について、巻五・巻八・巻二十の完本3巻を除く17巻を復元した。このうち巻一・巻二・巻三・巻九・巻十八・巻十九の6巻は零本・断簡が伝存するものの、他の11巻は伝存皆無だが、各々の書風で長巻に仕上げて展示公開するとともに、それらを図版収載した研究成果報告書を刊行した。なお巻五についても、後に切除された重複歌2首の各々の当初の位置を特定し、復元し得た。
著者
鳥居 誠志 石岡 俊之 小池 祐士 濱口 豊太 中村 裕美
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.654-662, 2019-12-15 (Released:2019-12-15)
参考文献数
23

我々は,脳卒中患者の排泄動作のうち,ズボンを上げる工程の練習方法を考案したいと考えた.脳卒中片麻痺者を対象に,その工程の自立群15名と,監視群7名のズボンを上げる工程中の足圧中心動揺を測定した.足圧中心動揺の速度や範囲を,自立群と監視群で比較したところ,監視群の左右方向への動揺範囲が,自立群の動揺範囲より有意に大きかった.監視群では,左右方向に大きい動揺が生じる結果,転倒の可能性があると推測された.それにより,生活場面の排泄動作に監視を要していると考えられた.この結果をもとに,本研究が提案する練習方法には,左右方向への重心動揺を制御する支援があげられた.
著者
中村 裕美 宮下 芳明
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1_65-1_75, 2013-01-25 (Released:2013-03-25)

食メディアに関する研究には,料理情報の共有や調理工程の分析と支援,食事内容の記録や分析,健康維持のための食事環境支援,共食におけるコミュニケーションの分析,支援,味情報の計測や提示などが含まれる.本論文では,近年活発に展開されるようになった情報科学技術を活用した味情報の提示手法を対象に,該当する研究や技術展開を直接提示型と間接提示型の2つに分類し,各分類の特性を議論したうえでサーベイを行った.また,これらの研究領域や技術の今後の動向と食メディアへの貢献について議論した.
著者
森川 美絵 中村 裕美 森山 葉子 白岩 健
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.313-321, 2018-08-31 (Released:2018-10-26)
参考文献数
21

目的:日本では,利用者視点やケアの社会的側面を考慮したアウトカムの把握・測定尺度の開発と,それをケアシステムやケア事業の運営につなげていくことが大きな課題である.本稿では,著者らが本邦初の試みとして取り組んでいる社会的ケア関連QOL尺度the Adult Social Care Outcomes Toolkitの利用者向け自記式 4 件法(ASCOT SCT4)の日本語版開発に関して,特に,設問項目の日本語翻訳の言語的妥当性の検討に焦点をあて,その概要を報告する.方法:翻訳プロセスは「健康関連尺度の選択に関する合意に基づく指針」(COSMIN)に依拠し,順翻訳・逆翻訳・精査と暫定日本語版の作成,事前テスト,事前テスト結果および臨床的観点をふまえた修正と最終承認,の3段階で実施した.実施期間は2016年 7 月〜2017年12月である.事前テストでは,第一段階で生成された暫定日本語翻訳版について,2地域の潜在的利用者を対象とした認知的デブリーフィングを実施した.認知的デブリーフィングは,設問項目の意味の理解や文化的な許容を確認するための構造化されたインタビュープロセスである.結果:事前テストの結果,尺度を構成する 8 領域のうち「日常生活のコントロール」領域および「尊厳」領域の 3 つの設問項目で,暫定翻訳語への違和感や設問文の言い換え困難が報告された.事前テスト結果をふまえた原版開発者・日本の研究チーム・翻訳会社の 3 者による修正案の検討,さらに臨床的観点からのより簡潔で日常用語に近い表現にむけた微修正を経て,最終的な日本語翻訳版が承認された.結論:社会的ケア関連QOL尺度であるASCOT SCT4について,翻訳手続きの国際的指針に適合し,原版開発者から承認を受けた日本語翻訳版を世界で初めて作成した.翻訳の言語的妥当性を確保する上で,潜在的利用者から直接的なフィードバックを得ることの重要性が確認された.「日常生活のコントロール」「尊厳」領域の設問項目の翻訳には,翻訳先言語での日常会話における通常用語に照らした,注意深い検討が必要となることが示唆された.今後は,尺度の妥当性の統計的検討や,ケアのシステムや実践のアウトカム評価におけるASCOT日本語翻訳版の応用手法の検討を進める必要がある.
著者
森谷 ★ 小田 史郎 中村 裕美 矢野 悦子 角田 英男
出版者
日本バイオフィードバック学会
雑誌
バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.61-70, 2002-09-22 (Released:2017-05-23)

芳香のセラピー効果の判定には,主観的な感情による評価と客観的な生理的効果の両面から確認する必要がある.私たちは,クレペリンテストを45分間負荷した後,カモミール茶(または同量・同温の白湯)を飲ませ,自律神経機能(心電図R-R間隔データと体温)と感情指標(質問紙MCLによって測定した快感情,リラックス感,不安感)の変化を同時に測定した.カモミール茶を飲んだ後にリラックス感得点が上昇した.一方,自律神経機能では心拍数と交感神経活動の指標とされるLF/HF比の低下が大きく,末梢皮膚温の上昇が大きかった.カモミール茶を飲んだ後のリラックス感得点の変化量と自律神経機能の変化量の間に,有意な相関が認められた.これらの結果から,客観的に評価される生理指標の値と主観的な感情得点がかなり良く対応すると考えられる.
著者
中村 裕美 宮下 芳明
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.2_43-2_55, 2016-04-22 (Released:2016-06-22)

本論文では,電気味覚を用いて味覚情報を提示するソフトウェアやハードウェアを構築する際に参考となる生理学的知見を紹介する.味覚メディアの構築には,化学物質の受容に関する知見,他感覚が味覚に与える感覚間相互作用に関する知見が活用されているが,近年電気刺激によっておこる電気味覚も用いられつつある.電気味覚を活用した味覚メディアの構築を進めるためには,インタラクティブシステムの構造設計や刺激のデザインの参考となる知見を,生理学分野で250年超にわたり蓄積された研究群から効率的に探し出し,取り入れる必要がある.そこで本論文では,電気味覚の機序や他感覚との比較例を紹介した上で,刺激の制御とシステム構成を軸に工学的応用の助けとなる生理学的知見を紹介する.そして,工学分野における電気味覚メディアの方向性について議論する.