著者
山本 晴彦 岩谷 潔 鈴木 賢士 早川 誠而
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.199-211, 1999-08-31
参考文献数
17
被引用文献数
2

Gust Disaster was caused by the typhoon 9807 in Kinki District of Japan on September 22,1998. For the typhoon 9807,the peak gust in the Nara Meteorological Observatory was 37.6 m/s, which was the 3 rd record since 1953's. The Gust was observed many fire offices in western part of Nara Prefecture, the peak gust in Nishikatsuragi Fire Station of Shinjyo Town was recorded as 59.5 m/s, which was the maximum value in Nara Prefecture. Many loss in the agriculture and the forest of Nara Prefecture by this gust associated with the typhoon 9807 exceeded 34.6 billion yen.
著者
張 継権 早川 誠而 山本 晴彦 岡田 憲夫 多々納 裕一
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.239-249, 2002-06-05
参考文献数
7
被引用文献数
2

1991年台風17号・19号と1999年台風18号の三つの台風は,9月中・下旬に九州北部西岸及び九州中部の熊本県に上陸し,九州及び中国地方を通り抜けるという,ほぼ同一時期に,同一経路をたどり,九州,中国・四国地方を中心に大きな農業災害を引き起こした.とくに,水稲,野菜,果樹,飼料作物等の農作物は,倒伏,落果,折損等による災害が発生し,農地や農業施設などの被害を含めて九州,中国・四国地方では,台風9117号・9119号による農業被害の総額は2811億円に達し,台風9918号による農業被害の総額は1135億円に及んだ.台風9117号・9119号では農作物,樹体,家畜,施設等が大きな被害を受けたが,台風9918号では樹体,家畜がほとんど被害を受けなかった.作物別被害状況をみると,最も大きい作物では,台風9117号・9119号の場合は果樹であり,作物被害総額の34%を占めているが,台風9918号では水稲であり,作物被害総額の43%を占め,被害状況に大きな違いが見られる.これは三つの台風の上陸後の勢力,台風による災害現象および被害機構などが異なったためである.
著者
山本 晴彦 丸山 敬 岩谷 潔 鈴木 賢士 早川 誠而
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.453-463, 2001-02-28
参考文献数
15
被引用文献数
5

Typhoon 9918 (Bart) passed through the Kyushu and the western part of Chugoku district on September 24,1999. As the typhoon passed, a tornado occurred in Onoda City of Yamaguchi Prefecture. The recorded peak gust speed was 52.0 m/s at the Onoda fire station, 150 m away from the path of the tornado. The air pressure had decreased by 3.6 hPa at 7 : 59,while the minimum value was recorded as 961.6 hPa. The width of the tornado's path estimated from damags of houses was 50-150 m and its length was 5.1 km. The number of seriously injured persons was 13,and the number of houses damaged was about 650. Fujita and Piason scales were estimated to be F2 and P2 (length : 1.6-5.1 km, width : 51-160 m), respectively.
著者
山本 晴彦 本條 均 早川 誠而 鈴木 義則 河田 尚之
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.207-213, 1996-06-05
参考文献数
13
被引用文献数
1

暖地において水田裏作の基幹作物である二条オオムギ(品種: ニシノチカラ)を対象に, 個体群の太陽エネルギー利用効率(Eu, %), 太陽エネルギー転換効率(Ec, %)ならびに日射吸収量から乾物への変換効率(Cs, g MJ^<-1>)を算出し, 二条オオムギの乾物生産を太陽エネルギーの利用の面から評価した. 節間伸長期から出穂期までの個体群日射吸収量は全天日射量の約56%, 登熟期間中の個体群日射吸収量は約70%であった. 全生育期間の個体群日射吸収量は865.02 MJm^<-2>で, これは生育期間中の個体群に投下された日射量の積算値の約40%に相当した. 節間伸長期から出穂期までの生育中期のEcは3.94%で, 高い値を示した. また, 登熟期間中のEuは1.47%, Ecは2.13%で, 全生育期間におけるEuは1.09%, Ecは2.71%であった. これは, 表作における暖地水稲のEu, Ecに匹敵する値であり, 寒冷地のリクゼンムギに比べてかなり高率であることがわかった. 播種期直後から出穂期までの栄養生長期における乾物生産と積算日射吸収量の関係は直線関係が成り立ち, Csは2.32gMJ^<-1>であった. さらに, 登熟初期および中期は, 1.79gMJ^<-1>, 1.179MJ^<-1>になることが示された.
著者
山本 晴彦 早川 誠而 岩谷 潔
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.226-232, 1998-06-05
参考文献数
14
被引用文献数
8 1

1997年台風9号に伴い山口県北部および島根県西部では7月26日から28日にかけて豪雨に見舞われた.むつみ村では, 7月26日〜28日に582〜782mmの降水を記録し, 7月27日の日降水量は429〜547mmを観測した.本豪雨は, むつみ村の周辺に位置する気象庁の4カ所の観測地点を大きく上回る局地的豪雨であった.この影響により, むつみ村にある4カ所の農業用溜池が決壊して土砂災害が発生した.とくに, 麻生溜池では下流域に氾濫水や土砂が大量に流出して水田内に堆積したため, 水稲が埋没する被害が発生した.現地調査の結果, 土砂堆積深と地上部乾物重および玄米重との関係は2次曲線で近似でき, 地上部乾物重は土砂堆積深が50cm, 玄米重は35cmで重量がほぼ皆無になることが明らかになった.
著者
山本 晴彦 早川 誠而 鈴木 義則
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.167-178, 1997-11-30
参考文献数
15
被引用文献数
2

The typhoons 9210 and 9612 damaged crops and green houses in western parts of Japan, in the early and the middle of August. For the typhoon 9210,the maximum instantaneous wind speed in Makurazaki city was 57.0 m/s, the maximum wind speed was about 15〜33 m/s in middle and southern parts of Kyushu districts. The loss money in the agriculture of Kyushu district by typhoon 9210 exceeded 19.8 billion yen. For the typhoon 9612,the maximum instantaneous wind speed in Kagoshima city was 58.5 m/s, this value was the maximum record since 1940. The precipitation of the Ebino meteorological station in August 14,1996 was 372 mm and many area in western parts of Japan were suffered by strong wind and heavy rainfall. The loss money in the agriculture of Kyushu district by typhoon 9612 exceeded 13.7 billion yen.
著者
飯田 文雄 月村 太郎 辻 康夫 網谷 龍介 早川 誠 渋谷 謙次郎 津田 由美子 淺野 博宣 浪岡 新太郎
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、世界各地で展開されつつある多文化共生社会形成のための多様な政策を巡って、2000年代以降に生じた新たな議論の特質について、教育政策・福祉政策・人権政策という具体的な3つの政策類型に即して、北米・西欧・東欧各国の事例を手がかりに詳細な国際比較を行い、多文化共生社会の在り方に関する体系的・総合的な知見を獲得することを目指すものである。
著者
早川 誠
出版者
立正大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

討議民主主義の実践の度合いを見るため、品川区議会の議事録を材料に、発言の内容の検討・評価を行った。基準としては、海外の研究者によって提唱されている「討議の質指標」(DQI:Discourse Quality Index)を用い、発言内容を主観的に評価するのではなく、客観的に評価することにつとめた。その過程で、本会議と委員会での討議の質が異なることが判明し、広範な政策分野に関連する予算委員会審議での指標の検討が有意義であるとの結論が得られた。
著者
鈴木 義則 早川 誠而
出版者
山口大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989

盆地、傾斜農地などの複雑地形で発現する局地的低温は、放射冷却条件の下で卓越するとともに、温度の垂直分布が逆転層で特徴づけられるものとなる。このとき下降してくる気流の熱的特性の解釈が異なり、凍霜害の恒久的対策方法に対する考え方が正反対となる混乱が現存する。筆者らは「斜面下降気流の低地部に対する熱的作用の性格は時刻によって変わり、日没前後は冷気流として、夜半以降は放射による冷却を抑制する作用を果たすことが多い」という仮説をたてている。そこで仮説の検証と低温発現機構を解明するために、主観測対象地として宇部市の傾斜茶園、副対象地として学内の山地を選び,現地に下降気流の動きや地中熱流を人為に方化させる種々の実験装置もセットした上で、赤外放射温度計(熱映像装置)と通常のデ-タロガ-により気象観測を行った。これまでの解析結果は我々の仮説を裏付けるデ-タが多く出ており、特に重要な点である夜半の下降気流が低地部に対しては冷却緩和に作用している場合が多いことを見いだした。次に、地被の構造がモザイク的である場所の表面の冷却について実験とシミュレ-ション解析から、熱容量と熱拡散係数の差が冷却に寄与することが大であることを明らかにした。そこでは、植物、例えば蒲鉾状の茶株の存在は地中から熱補給を遮断するため、とくに表層部の冷却が進み、冷熱源となることが示された。また、斜面を上下に直線的に結ぶ裸地面の道と水平方向に茶株の間を抜ける道との上で、気温の垂直分布を測定した結果、下降気流の強い方が高温であった。風速が弱まる所の冷却の強まりが確認された。初年度に表面温度分布の中に「ゆらぎ現象(ロ-ル状対流)」を世界で初めて検出したが、今年も再確認できた。ただし、この興味ある事実をさらに詳細かつ定量化するには、新たな測器の準備と研究の展開が必要である。
著者
山本 晴彦 早川 誠而 鈴木 義則
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.163-170, 1998-03-31
被引用文献数
2

近年の凶作年および豊作年の気象的特徴、水稲収量を比較するとともに、水稲の豊凶作を夏季平均気温の気温偏差から解析を試みた。1993年の夏の1980年以来の異常低温であり、福岡市では夏季平均気温の気温偏差-1.4℃、暑冷指数-36日の大冷夏年で、福岡県の水稲単収は363kg、作況指数74の大凶作年であった。1994年の夏は記録的な猛暑で、福岡市では夏季平均気温の気温偏差+1.8℃、暑冷指数56日で高温・少雨年であった。福岡県の水稲単収は過去最高の545kg、作況指数111の大豊作年であったが、潅漑用水の不足した地域では生育遅延、稔実障害などが発生し、高温年にもかかわらず単収が大きく低下した。福岡管区気象台管内の気象官署を対象とした夏季の平年気温の偏差と水稲の平均収量との比率との関係から、とくに冷夏年で夏季の気温偏差が著しいマイナスを示す年は水稲収量平年比が大きく低下した。