著者
山本 晴彦 岩谷 潔 鈴木 賢士 早川 誠而 鈴木 義則
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.424-430, 2000
被引用文献数
2

1999年9月24日早朝, 九州西岸に上陸した台風18号は, 九州を縦断し周防灘から山口県に再上陸し西中国地方を通過した後, 日本海に抜けた.台風の経路上および経路の東側に位置した気象官署では最大瞬間風速40m/s以上の強風が吹き, 最大風速も九州中南部を中心に20m/s以上を観測した.九州や西中国地方では台風の通過と満潮が重なり, 有明海沿岸や周防灘では高潮により堤防が決壊し, 農作物に塩害が発生した.台風に伴う九州7県の農作物および農業用施設の被害総額は914億円, 被害面積20万haにも及んだ.また, 山口県の小野田市や宇部市の消防本部では最大瞬間風速が52.0m/s, 58.9m/sの強風を観測した.宇部港では最高潮位が560cmを観測し, 推算満潮位351cmを209cmも上回る著しい高潮であった.このため, 周防灘に面した山口県内の市町では高潮災害が相次いで発生し, 農林水産被害は高潮に伴う農耕地の冠水と塩害, 強風に伴う農作物の倒伏, ビニールハウスや畜舎の損壊, 林地の倒木など約100億円に及んだ.山口市秋穂二島でも堤防の決壊により収穫直前の水稲や移植直後の野菜苗に約100haにわたり塩害が発生し, 収量が皆無となった.
著者
高橋 劭 鈴木 賢士 織田 真之 徳野 正巳 De la Mar Roberto
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.509-534, 1995-06-15
被引用文献数
4

西太平洋における大気・海洋結合系国際観測プロジェクト(TOGA-COARE)の一環として西太平洋赤道域マヌス島(2°S,147゜E)で21個のビデオゾンデを飛揚、降水機構の研究を行った。観測は1991年11月24日〜12月5日と1992年11月20日〜12月9日の2回にわたり行われた。観測期間中多くの異なった雲システムが発達、それらの出現は水蒸気の高度分布に著しく依存し、台風による水平風の変動が水蒸気分布に大きな影響を与えていることが示唆された。降水系には2種あり、強い降雨をもたらすレインバンドでは"温かい雨"型で雨の形成が行われ、厚い層状の雲では小さい霰の形成が活発に行われていた。0℃層で霰の雪片が初めて観測された。降雪粒子分布がカナトコ雲や台風の層状雲内でのものと著しく異なることから、観測された厚い層雲はレインバンドからの延びた雲ではなく0℃層以上での一様な大気の上昇で形成されたのかも知れない。他の熱帯域と比較して氷晶濃度が赤道で極端に少なかった。
著者
高橋 劭 鈴木 賢士 Wang Caiwei Guo Changming
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.1191-1211, 1995-12-25
被引用文献数
1

「黒河流域における地空相互作用における日中共同研究」HEIFE プロジェクトの一環として中国・平凉での半乾燥地域に発達する夏の雲の降水機構の研究を行った。ビデオゾンデによる降水粒子の映像、レーダ、ゾンデ上昇速度、地上電場の測定から雲内での降水粒子の成長過程について解析を行った。この地域においては降水機構の全く異なる2つの降水雲システムが観測された。1つは電気的に活発な霰形成が主な雄大積乱雲で他は梅雨前線に伴う雪片形成で雨を降らす層状雲である。Hobbsの主張する "Generation Cell" の降水への役割については、本地域に現れた梅雨前線帯の層状雲では当てはまらないようである。
著者
山本 晴彦 岩谷 潔 鈴木 賢士 早川 誠而 鈴木 義則
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.424-430, 2000-09-05
参考文献数
23
被引用文献数
5

1999年9月24日早朝, 九州西岸に上陸した台風18号は, 九州を縦断し周防灘から山口県に再上陸し西中国地方を通過した後, 日本海に抜けた.台風の経路上および経路の東側に位置した気象官署では最大瞬間風速40m/s以上の強風が吹き, 最大風速も九州中南部を中心に20m/s以上を観測した.九州や西中国地方では台風の通過と満潮が重なり, 有明海沿岸や周防灘では高潮により堤防が決壊し, 農作物に塩害が発生した.台風に伴う九州7県の農作物および農業用施設の被害総額は914億円, 被害面積20万haにも及んだ.また, 山口県の小野田市や宇部市の消防本部では最大瞬間風速が52.0m/s, 58.9m/sの強風を観測した.宇部港では最高潮位が560cmを観測し, 推算満潮位351cmを209cmも上回る著しい高潮であった.このため, 周防灘に面した山口県内の市町では高潮災害が相次いで発生し, 農林水産被害は高潮に伴う農耕地の冠水と塩害, 強風に伴う農作物の倒伏, ビニールハウスや畜舎の損壊, 林地の倒木など約100億円に及んだ.山口市秋穂二島でも堤防の決壊により収穫直前の水稲や移植直後の野菜苗に約100haにわたり塩害が発生し, 収量が皆無となった.
著者
山本 晴彦 岩谷 潔 鈴木 賢士 早川 誠而 鈴木 義則
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.315-328, 2000-11-30
参考文献数
17
被引用文献数
8

Typhoon 9918 (Bart) passed through the Kyushu and the western part of Chugoku districts on September 24,1999. The strong wind and storm surge disasters were caused by the typhoon 9918 in western part of Japan. During the typhoon passing, the peak gust speed recorded at Ushibuka weather station in Kumamoto Prefecture was 66.2 m/s, which was the maximum value in Kyushu district (exclusive of islands). The peak gust speed recorded at the Onoda fire station and the Hofu north base were 58.9 m/s and 61.2 m/s, respectively. The sea level recorded at Moji was 372 cm at 8 : 10,which was 140 cm higher than the calculated value (232 cm). The loss money by the strong wind and storm surge disasters in Yamaguchi Prefecture by the typhoon 9918 exceeded 41 billions yen.
著者
中北 英一 鈴木 賢士 坪木 和久 大石 哲 川村 誠治 橋口 浩之 高橋 劭 城戸 由能 田中 賢治 中川 勝弘 岩井 宏徳 市川 温 杉本 聡一郎 鈴木 善晴 出世 ゆかり 若月 泰孝 相馬 一義 大東 忠保 山口 弘誠
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2010-04-01

集中豪雨やゲリラ豪雨による水災害軽減のための総合的基礎研究を実施した。最新型偏波レーダーとの同期フィールド基礎観測実験においてビデオゾンデ観測の汎用化をはかることでこれまで夢に描いてきた積乱雲内の多地点連続観測を実現するとともに、ヒートアイランドの影響を受ける都市域での積乱雲形成・発達過程のマルチセンサー同期観測の緒も開いた。それらを土台に積乱雲のモデル化と豪雨予測手法の開発を行い、加えて早期警戒情報提供や水位予測などの水管理に重要な手法をも構築した。特に、開発したゲリラ豪雨の早期探知・危険性予測手法は国土交通省で現業化され試験運用が開始されており、科学的にも社会的にも意義深い貢献を果たした。
著者
山本 晴彦 岩谷 潔 鈴木 賢士 早川 誠而
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.199-211, 1999-08-31
参考文献数
17
被引用文献数
2

Gust Disaster was caused by the typhoon 9807 in Kinki District of Japan on September 22,1998. For the typhoon 9807,the peak gust in the Nara Meteorological Observatory was 37.6 m/s, which was the 3 rd record since 1953's. The Gust was observed many fire offices in western part of Nara Prefecture, the peak gust in Nishikatsuragi Fire Station of Shinjyo Town was recorded as 59.5 m/s, which was the maximum value in Nara Prefecture. Many loss in the agriculture and the forest of Nara Prefecture by this gust associated with the typhoon 9807 exceeded 34.6 billion yen.
著者
山本 晴彦 丸山 敬 岩谷 潔 鈴木 賢士 早川 誠而
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.453-463, 2001-02-28
参考文献数
15
被引用文献数
5

Typhoon 9918 (Bart) passed through the Kyushu and the western part of Chugoku district on September 24,1999. As the typhoon passed, a tornado occurred in Onoda City of Yamaguchi Prefecture. The recorded peak gust speed was 52.0 m/s at the Onoda fire station, 150 m away from the path of the tornado. The air pressure had decreased by 3.6 hPa at 7 : 59,while the minimum value was recorded as 961.6 hPa. The width of the tornado's path estimated from damags of houses was 50-150 m and its length was 5.1 km. The number of seriously injured persons was 13,and the number of houses damaged was about 650. Fujita and Piason scales were estimated to be F2 and P2 (length : 1.6-5.1 km, width : 51-160 m), respectively.
著者
中北 英一 田中 賢治 坪木 和久 大石 哲 中川 勝広 鈴木 善晴 大石 哲 坪木 和久 鈴木 賢士 川村 誠治 高橋 劭 田中 賢治 中川 勝弘 市川 温 杉本 聡一郎 鈴木 善晴 出世 ゆかり 大東 忠保 山口 弘誠
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

豪雨災害の軽減を目指して、次世代型偏波レーダーの降水量推定・降水予測への利用を目的に、偏波レーダーとビデオゾンデの同期集中観測を実施し、その結果、降水粒子の粒径と種類の推定手法を構築することに成功した。さらに、モデル予測への応用や現象の理解を深めることで降水量推定・降水予測の高度化を実現した。
著者
鈴木 賢士
出版者
山口大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

梅雨や台風によりもたらされる集中豪雨は災害の防止・軽減という点からその予測は重要である。しかし、集中豪雨は短時間で狭い領域に大量の雨をもたらすため既存の観測網では捉えることが難しく、そのためその雲内での水の集中化メカニズムの理解は重要な課題となったままである。本研究では狭い領域をできるだけ密な地上観測網で捉えることが出来るようになることを目指して安価でかつ簡易的な観測機器の開発を目的に簡易雨滴粒径分析計の開発を行い、それを用いて観測研究を行った。今年度は昨年度開発・製作した簡易雨滴計のプロトタイプを小型・軽量化し、さらに将来の地上気象観測網の構築を念頭に地上気象観測ステーションに組み込むことを試みた。既存の気象観測ステーションと組み合わせることにより雨滴粒径分布のほか気温、湿度、気圧、風向風速、雨量といった一般気象データも同時に観測ができる。また、この雨量計からの電気信号を受けて雨滴粒径分析計の計測を開始・終了できるようにしたことで観測の無人化が可能になった。このシステムにより得られるデータは一般気象データに関してはデータロガーにより10分ごとの測定で約2週間の連続観測が可能である。雨滴粒径データは改良型ではデータの記録方法を2通りにし、1つは昨年度と同様のビデオによる映像の録画、もう1つは赤外線センサーを雨滴が横切る際の電気信号の変化を電圧としてデータロガーに記録する方法である。前者は解析に時間がかかるが実際の粒子を見ることが出来、後者はデータを簡単に処理できるという長所をもっておりこれらの組み合わせにより効率よい観測・解析が出来るようになった。将来的にはこのシステムを狭い領域で多地点に設置することで、集中豪雨における雨滴形成(降雨形成)の平面的な観測が可能になる。さらにレーダー等のリモートセンシングと組み合わせることで立体的な構造の理解に役立つであろうと期待される。本研究で開発した簡易雨滴粒径分析計を用いて昨年秋に山口を直撃した台風18号からの降水を観測した。また、鳥取大学乾燥地研究センターにおいて冬季日本海側に発達する雪雲からの降水、さらに山口大学において梅雨前線に伴う降水システムからの降水の観測を行った。台風18号に関する成果については第13回国際雲・降水学会において発表された。これらの観測はそれぞれ雲形成メカニズムの異なる雲からの降水の観測で、これらの観測結果を比較すると、一般に雨滴粒径分布はN=N_0exp(-λD)で表されるが、台風の場合は大量の雨をもたらす割に分布の傾きλがそれほど変化しないことがわかり、前線や低気圧に伴う降水とは異なる性質を持っていることが明らかになった。レーダーデータ等との関連を詳しく調べる必要があるが、非常に興味深い結果であり、本研究で開発された簡易雨滴粒径分析計が十分に利用可能であることが確かめられた。