著者
中村 明弘 飯盛 直樹 須藤 茂俊 三上 重明 伊藤 清 石川 雄章
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.114-119, 1990-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

焼酎白麹菌Aspergillus kawachii IFO 4308を使用した清酒醸造を実施し, 次の知見を得た。1. 清酒醸造において乳酸の代わりに白麹に含まれるクエン酸の抗菌力を利用した清酒醸造の可能性が示唆された。2. 白麹のα-アミラーゼ力価は黄麹菌の1/16であったにもかかわらず, 発酵に支障を及ぼすことなくもろみの溶解は進行した。この理由としてAspergillus kawachii由来のα-アミラーゼはもろみ中で蒸米に無効吸着されにくい・ことが考えられた。3. 対照として実施した黄麹仕込が糖化優先型の並行複発酵であったのに対し, 白麹を使用した場合は全般的に糖化と発酵がパラレルに進行した。4. 白麹仕込で得られた清酒はクエン酸のさわやかな酸味を呈するとともに, 黄麹仕込で得られた清酒と比べて遊離アミノ酸がやや少なく, またペプチドを構成するアミノ酸数はやや多い傾向にあった。
著者
塩見 浩人 井上 和恵 中村 明弘
出版者
福山大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

Komodaらによってラット脳より内因性睡眠促進物質として同定された物質が酸化型グルタチオンであったことから、中枢神経系におけるグルタチオンの新たな生理作用が注目される。本研究においては、睡眠誘発作用と抗侵害作用が密接に関連していることに着目し、グルタチオン(酸化型グルタチオン:GSH、還元型グルタチオン:GSSG)の抗侵害作用の作用機序解明を中心に研究を遂行した。【結果】(1)側脳室内に投与したGSSG、GSHは、釣り鐘型の用量依存性を持つ抗侵害作用を発現させた。最大の抗侵害作用を示す至適用量はGSSGでは0.41nmol/mouse、GSHでは0.82nmol/mouseであった。(2)GSSG、GSHの抗侵害作用はモルヒネ同様ネピオイド拮抗薬ナロキソン(0.5mg/kg s.c.)の前処置で完全に抑制された。(3)GSSG、GSHの抗侵害作用はNMDA受容体拮抗薬MK-801(0.3nmol/mouse i.c.v)の併用投与でも完全に抑制されたが、モルヒネの抗侵害作用全く影響を受けなかった。(4)GSSG、GSHの抗侵害作用はアスピリン(555nmol/mouse i.c.v.)、あるいはプロスタグランジンD2の選択的な合成阻害薬であるSeCl_4(9nmol/mouse i.c.v.)の前処置で優位に抑制されたが、モルヒネの抗侵害作用はこれらの薬物の前処置では全く影響を受けなかった。(5)GSSG、GSHは自発睡眠を優位に増加させたが、ネピオイド拮抗薬ナロキソンを処置することによりその効果が抑制された。以上、本研究において、中枢適用されたGSSG、GSHが、NMDA受容体に働き、プロスタグランジン系(プロスタグランジンD2)→オピオイド系を介して抗侵害作用を発現させることを明かにした。GSSG、GSHの睡眠促進作用もネピオイド拮抗薬で抑制されたことから、GSSG、GSHの睡眠作用にも抗侵害作用機序と同様のプロセスが関与している可能性を強く示唆することができた。
著者
市川 あゆみ 市村 卓也 中村 明弘
出版者
愛知県農業総合試験場
雑誌
愛知県農業総合試験場研究報告 = Research bulletin of the Aichi-ken Agricultural Research Center (ISSN:03887995)
巻号頁・発行日
no.38, pp.175-180, 2006-12 (Released:2011-01-18)

遺伝子診断による性判別法の文鳥への利用を目的として、鶏及び他の鳥類において性判別の報告があるプライマー、鶏W染色体特異的繰返し配列Xho領域を標的とする2種類と、鳥類の性染色体上に存在するCHD(chrcmo-helicase-DNA binding proein)遺伝子を標的とする5種類について検討した。その結果、文鳥ではXhoに関してはDNAが増幅されず判別不可能であったが、CHDに関しては、複数のプライマーでDNAの増幅が認められた。そのうち3本のプライマーを用いた方法(Ellegren 1996)で性特異的なバンドが検出され、性判別が可能であった。この方法はスズメ目のシロエリヒタキ(collared flycacher)のCHD-Wの配列を基に設計されたプライマーを用いたものである。また、材料とするDNAの安全で簡便な採取方法を検討したところ、爪から採取した少量の血液から判別に必要なDNAを抽出することができ、4週齢以降の個体での性判別が可能となった。
著者
塩見 浩人 田村 豊 中村 明弘
出版者
福山大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

本助成金を用いたモルヒネ耐性形成機序解明について、既に掲出した本年度の研究計画に基づき研究を遂行し、以下の成果を得た。1)急性実験において、アデノシンはモルヒネ誘発鎮痛作用を抑制するがこの抑制作用はアデノシンA1受容体を介して発現することを明らかにした。2)脳実質内微量投与法を用いて、モルヒネ誘発鎮痛作用を抑制するアデノシンの脳内作用部位として延髄巨大細胞網様核(NRGC)、延髄傍巨大細胞網様核(NRPG)、中脳水道周囲灰蛋白(PAG)を同定した。3)モルヒネ耐性形成ラットにおいて、NRGC、NRPGあるいはPAGにアデノシンA1受容体拮抗薬を微量投与することによりモルヒネの鎮痛効果が有意に回復することを明らかにした。この結果は、耐性形成時、脳内アデノシン系の活性化が起こっており、遊離アデノシンがA1受容体を介してモルヒネの鎮痛作用を抑制していることを強く示唆している。4)N-アセチル-β-エンドルフィン(NABE)もNRGC、NRPGあるいはPAGの部位においてモルヒネ誘発鎮痛作用を抑制したがこの抑制作用は、アデノシンA1受容体薬を微量併用投与により拮抗され、NABEの作用はアデノシンを介するものと考えられた。5)本助成金で購入したプッシュプルポンプユニットとプッシュプルサンプリングユニットを用いて、脳実質内からアデノシン遊離量を測定した。脳内アデノシンの遊離は、NABEの適用によって増加した。さらに、モルヒネ耐性形成と共に増加した。これらの成果より、モルヒネの耐性形成機序は、モルヒネによりオピオイドペプチドの代謝が促進し、その代謝産物(特にNABE)が脳内に増加するが、このNABEがアデノシンの遊離を促進し、遊離アデノシンがアデノシンA1受容体を介してモルヒネの鎮痛作用を抑制することによることが強く示唆された。
著者
中村 明弘 野田 賢治 木野 勝敏 加藤 泰之
出版者
愛知県農業総合試験場
雑誌
愛知県農業総合試験場研究報告 (ISSN:03887995)
巻号頁・発行日
no.36, pp.87-91, 2004-12
被引用文献数
1

本試験は、名古屋種の卵殻色の特長を色差計から得られるL(明度)、a(赤色度)、b(黄色度)値によって明らかにするとともに、名古屋種特有の「さくら色」の卵殻色を効率的に改良するための指標を検討した。得られた名古屋種卵の特徴は、以下に示したとおりである。1.鈍端部は、鋭端部と比べて、L値が低く、卵殻色が濃かった。2.L値とa値との間には高い負の相関が見られ、卵殻色が濃くなると、赤みが増していく傾向がある。3.日齢が進むにつれて、L値とa値が高くなり、卵殻色は薄く、黄色みが増した。4.目視で赤みが強い卵と黄色みが強い卵との間には、色相(b/a)に顕著な違いがみられた。5.名古屋種卵の特徴である卵殻表面にみられる白い沈着物は、b値を大きく下げ、a値を上げるため、卵殻色の赤みを強調させる役割をもつことが確認された。以上のことから、名古屋種の卵殻色を改良するためには、明度(L値)と色相(b/a)が有効な選抜指標になることが示唆された。
著者
佐口 健一 田中 佐知子 小林 文 中村 明弘
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.75-80, 2019-02

近年,教育現場における学習成果の評価方法として,パフォーマンス評価が求められており,その評価方法の一つとしてポートフォリオ評価が挙げられる.ポートフォリオには学生が学修カリキュラムを通した振り返りとして,成長した点や反省点などが記述されている振り返りシートが含まれる.そこで本研究ではテキストマイニングの手法を用いて振り返りシートの記述内容の分析を試みた.2018年度の2〜4年次の学生582名の内,本研究に参加の同意が得られた557名を対象とし,各学生が2年次3月初めのオリエンテーションの際に提出した1年次振り返りシートを解析した.調査項目は,1年次を振り返り,自分の「成長した点」と 「反省点」についての自由記載とした.解析の結果,「成長した点」として最も多かったカテゴリは「寮生活」で,次いで「友達」,「コミュニケーション」であった.これらの抽出されたカテゴリから,本学の特徴である初年次全寮制教育において学生はコミュニケーション能力が高まったと感じていることが明らかとなった.また,「反省点」として最も多かったカテゴリは「勉強」で,次いで「テスト」,「予習復習」であり,集中して勉強できなかったことや,勉強開始がテスト直前になってしまったことなどを挙げている.これらの結果から,テキストマイニングの手法を用いてポートフォリオの振り返りシートの記載内容を解析することにより,学生が初年次全寮制教育プログラムで学んだと感じている内容を,教員が根拠をもって認識できることが明らかとなった.
著者
佐口 健一 田中 佐知子 小林 文 中村 明弘
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.75-80, 2019 (Released:2019-08-10)
参考文献数
4

近年,教育現場における学習成果の評価方法として,パフォーマンス評価が求められており,その評価方法の一つとしてポートフォリオ評価が挙げられる.ポートフォリオには学生が学修カリキュラムを通した振り返りとして,成長した点や反省点などが記述されている振り返りシートが含まれる.そこで本研究ではテキストマイニングの手法を用いて振り返りシートの記述内容の分析を試みた.2018年度の2〜4年次の学生582名の内,本研究に参加の同意が得られた557名を対象とし,各学生が2年次3月初めのオリエンテーションの際に提出した1年次振り返りシートを解析した.調査項目は,1年次を振り返り,自分の「成長した点」と 「反省点」についての自由記載とした.解析の結果,「成長した点」として最も多かったカテゴリは「寮生活」で,次いで「友達」,「コミュニケーション」であった.これらの抽出されたカテゴリから,本学の特徴である初年次全寮制教育において学生はコミュニケーション能力が高まったと感じていることが明らかとなった.また,「反省点」として最も多かったカテゴリは「勉強」で,次いで「テスト」,「予習復習」であり,集中して勉強できなかったことや,勉強開始がテスト直前になってしまったことなどを挙げている.これらの結果から,テキストマイニングの手法を用いてポートフォリオの振り返りシートの記載内容を解析することにより,学生が初年次全寮制教育プログラムで学んだと感じている内容を,教員が根拠をもって認識できることが明らかとなった.
著者
木内 祐二 増田 豊 亀井 大輔 向後 麻里 中村 明弘
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.133, no.2, pp.231-241, 2013-02-01 (Released:2013-02-01)
参考文献数
4
被引用文献数
3 4

In Showa University School of pharmacy, 7 competencies for outcome-based education were set up in 2011. We are now creating sequential curriculum in order to achieve these competencies. As a member of team medical treatment, pharmacist must share a patient's information with other members, assess each patient's condition, propose the best medication with evidence, and also check the effect of medication. Therefore, many active practices in a hospital and community and problem-based learning (PBL) tutorials are carried out in curriculum in School of Pharmacy. As a training for the future pharmacists who positively perform primary care with responsibility in community pharmacy, students study the method of clinical assessment (assessment of condition of disease from the patient's complain, and choice of appropriate proposal). Furthermore, the exercise and training of parenteral medication, physical assessment, and first aid, etc. are also taken in the curriculums as new clinical skill. The systematic and gradual interprofessional education curriculum for the team medical education has been carried out aiming at training of active members in medical team in a hospital and community. At this symposium, I will introduce these systematic advanced curriculums for the pharmacist of a new age, and to show the usefulness and learning effect.
著者
塩見 浩人 中村 明弘 田村 豊
出版者
福山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

平成15年度〜平成16年度の2年間、「ハムスターの冬眠制御機構解明と低温負荷による生体侵襲に対する保護因子の同定」に関する研究を遂行し、以下の成果を得た。1.導入期の体温下降は、adenosineが前視床下部を中心とした内側視床下部のadenosine A1受容体を介し熱産生を抑制することにより惹起されることを明らかにした。Adenosine系による冬眠時の体温制御は体温下降開始27時間から30時間の間にopioid系に切り替わることも明らかにした。2.維持期(体温下降開始30時間以降)の低体温はμ1-opioid受容体を介する中枢opioid系により制御されていることを明らかにした。3.覚醒期の体温上昇はTRHが視索前野、背内側核を中心とした内側視床下部のTRH type-1受容体を介し、交感神経系を活性化することにより褐色脂肪組織における熱産生を亢進させて惹起されることを明らかにした。4.ラット初代培養大脳皮質ニューロンにおいて、低温処置によりアポトーシス様の神経細胞死が誘発されることを明らかにした。5.低温で処置すると冬眠動物のハムスターにおいても神経細胞死が発現した。6.アデノシンはA1、A2両受容体サブタイプを介して低温処置により誘発される神経細胞死に対して保護作用を発現することを明らかにした。7.モルヒネはμ、δ及びκ受容体を介して低温処置により誘発される神経細胞死に対して保護作用を発現することを明らかにした。8.ヒスタミンはH1受容体サブタイプを介して低温処置により誘発される神経細胞死に対して保護作用を発現することを明らかにした。9.セロトニンは低温処置により誘発される神経細胞死に対して保護作用を発現することを明らかにした。