著者
山口 二郎 杉田 敦 遠藤 乾 空井 護 吉田 徹 渡辺 将人 木宮 正史 川島 真 遠藤 誠治 高安 健将 村上 信一郎 宮本 太郎 小川 有美 中北 浩爾 水野 和夫
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

20世紀後半に民主主義国で確立された二大政党制、二極的政党システムにおける政権交代というモデルは、1980年代の新保守主義的政治、1990年代後半の中道左派の復活までは、順調に作動し、民意の吸収と政策転換という効果をもたらした。しかし、2000年代に入って、経済のグローバル化の一層の進展と、雇用の不安定化や格差の拡大は政治的安定の基盤をなした経済的安定を侵食した。その結果、政権交代に対する国民の期待が低下し、ポピュリズムが現れた。こうした危機を打開するためには、従来の左右を超えた政党再編が必要とされている。
著者
浅野 豊美 池田 慎太郎 金 敬黙 李 鍾元 木宮 正史 磯崎 典世 山内 康英 太田 修 林 夏生 吉澤 文寿 西野 純也 金 敬黙 小林 玲子 藤井 賢二 長澤 裕子
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

日韓米三国の資料からなる『日韓国交正常化問題資料集』を刊行し、また新規公開資料を利用した最初の本格的な実証研究を、法政大学出版局から『歴史としての日韓国交正常化』上・下、2分冊として、日本学術振興会の出版助成により刊行することが確定した。さらに、研究成果の社会的還元のため、「日韓国交正常化の現代的意味」と題した公開シンポジウムを、東京大学において朝日新聞・東亜日報の後援を得て開催した。また、2008年日本国際政治学会年次大会日韓合同部会の正式企画を担当・運営し、新たな問題提起と専門研究者との討論を行った。国外の国際学会であるアメリカアジア学会(AAS)では韓国の研究協力者と合同しパネルを組織し、日韓米三国の研究者による討論の場を作って報告した。
著者
木宮 正史
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

米韓両国政府外交文書などに依拠して、カーター政権の在韓米地上軍撤退が決定されることで米韓同盟関係が動揺し、朴正熙政権が核開発を試みるなど、自主国防政策に踏み切る過程を明らかにした。また、1975年ベトナム共産化統一、翌76年「ポプラの木」事件など、南北の緊張激化が、米国の対朝鮮半島政策を結局は転換させ、在韓米軍の撤退が撤回されることになる緊張緩和の逆流過程も合わせて明らかにした。最後に、韓国朴正熙政権は、1973年6・23平和統一外交に関する大統領特別声明にしたがって、対共産圏外交を積極的に進め、後の「北方外交」の原型とも言える外交が既に行われていたことを明らかにした。
著者
木宮 正史
出版者
法政大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究を開始するにあたり、李錘〓(世宗研究所研究員)による『朝鮮労働党研究:指導思想と構造変化を中心に』(ソウル:歴史批評社)を入手することができた。これは、従来、実証性という点で問題のあった北朝鮮政治研究の研究水準を飛躍的に高めた記念碑的な研究であると言える。したがって、本研究者は、この研究を足がかりにして、研究で使用されている一次史料を、科研費で購入した労働新聞のマイクロフイルムやその他の研究を利用しながら調査する作業を続けた。その結果、一般的に植え付けられた北朝鮮政治経済の静態性イメージとは異なり、冷戦構造の緊張及び弛緩により、具体的には中ソ両国との関係の変化を媒介として、金日成を中心とする「唯一指導体制」が動揺をはらみながらも堅固化する過程のダイナミズムを、『労働新聞』や『民主朝鮮』などの一次史料を綿密に分析することにより、抽出することができた。今後は、同時期の韓国における政治変動との比較作業を通して、韓国と北朝鮮との政治体性及び経済政策の違いが、冷戦構造に対するどのような対応の違いによってもたらされたのかを解明する作業を継続していきたい。また、以上の歴史的研究は、現状分析にも次のような含意を提供した。それは、一般的に予想されたのとは異なり、ポスト冷戦が即時的に北朝鮮に解放政策をもたらしたわけではないということである。換言すれば、朝鮮半島における冷戦構造は、特に北朝鮮に対しては、それを与件とすることが体制の存在根拠であるような、唯一指導体制及びそれを支える唯一思想体系である主体思想を社会に深く植え付けたからであると言える。