著者
三澤 真美恵 貴志 俊彦 佐藤 卓己 孫 安石 川島 真 小林 聡明
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では東アジアの複数の地域(日本、中国、香港、台湾、シンポール、韓国、北朝鮮)および複数の視聴覚メディア(テレビ、映画、レコード、ラジオ)を対象に、地域間・メディア間の相互連関性を検討した。各年度に行われた国際ワークショップや国際シンポジウムを通じ、国内外の研究者が多様なディシプリンを持ち寄ったことで、東アジアに固有の相互連関の具体的様態についても明らかにすることができた。本研究の成果は論文集として公刊される予定である。
著者
小林 聡明
出版者
日本メディア学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.146-161, 2002-07-31 (Released:2017-10-06)

The purpose of my paper is to analyze the development of Korean newspapers in Japan from 1945 to 1949. It focuses on the following two aspects. The first is the social context surrounding the birth, the second is the way in which these newspapers were affected and made change direction in such area as editorial policy of Korean newspapers in Japan, by a kind of "power". In this way, I clarify that Korean newspapers in Japan emerged in the all of the political groups integrated, and their editorial directions had been spreading diversely. However, the conflicts caused by the cold war and the changes in the publishing environment forced Korean newspapers to align with one or the other of the two Korean organizations. Thus, Korean newspapers in Japan lost their diversity and incorporated into the paradigm of binaries. The question now arises: What "power" compelled the Korean newspapers in Japan to split into two camps? A further direction of this study will be the analysis of the mechanism of power in the censorship system of GHQ/SCAP.
著者
小林 聡明
出版者
日本メディア学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.75, pp.129-147, 2009-07-31 (Released:2017-10-06)
参考文献数
47

The U.S. returned Okinawa/Ryukyu to Japan in 1972 after 27 years of occupation. The Agreement between Japan and the U.S. Concerning the Ryukyu Islands and the Daito Islands determined the relocation of the Voice of America's transmitters in Okinawa. However the relocation process has still not been cleared. Moreover, there is a secret agreement on the VOA's relocation costs. This paper clarifies the negotiations between Republic of Korea and the U.S. on the transmitters' relocation by analyzing the declassified documents in ROK Diplomatic Archives. It not only sheds light on the hidden history of VOA but also explores the significance of VOA in East Asia during the Cold War.
著者
梅森 直之 坪井 善明 田中 ひかる 土屋 礼子 小林 聡明 鈴木 恵美 鶴見 太郎 加藤 哲郎 李 成市 野口 真広 毛里 和子 山田 満 若林 正丈 篠田 徹 齋藤 純一 浅野 豊美 安井 清峰 最上 敏樹 土佐 弘之 山崎 眞次 八尾 祥平
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

東アジア諸国間の対話と交流は、歴史に由来する論争により妨げられており、そのため東アジアの歴史和解の試みは「失敗」であると総括されることが多い。しかしながら、東アジアにおける歴史認識には、単に戦争責任だけでなく植民地責任をめぐる問題が主題化されており、世界的に重要な先駆的実践として評価されるべきものがある。東アジアの各地域は、民主化と経済発展を、異なる時期に異なるプロセスとして経験し、そのため現在の歴史に関する国民感情にも、大きなズレが生じている。東アジア諸国がこのズレを認識し、既存の国際法体系の批判的に検討しつつ歴史共同研究を推進することで、東アジアの歴史和解を推進することが可能となる。
著者
貴志 俊彦 陳 來幸 石川 禎浩 武田 雅哉 川島 真 柴山 守 松本 ますみ 孫 安石 大澤 肇 小林 聡明 谷川 竜一 菊地 暁 富澤 芳亜 泉水 英計 西村 陽子 李 梁
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本共同研究では、近100 年間に東アジア域内で起こった歴史的事件、あるいは時代の画期となるトピックをとりあげ、それぞれの局面で登場した非文字史料がはたした役割とその受容者の解釈を検討した。国内外における広範な調査と成果発表にあたっては、複数の地域で製作された非文字史料を比較対照するとともに、(a)図像解釈学的分析、(b)語彙分析による情報処理、(c)コミュニケーション・パターン分析等を導入して、紛争・協調の時代イメージと非文字史料との因果関係を明らかにした。
著者
貴志 俊彦 川島 真 陳 來幸 佐藤 卓已 佐藤 卓己 北村 由美 小林 聡明
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

この国際共同研究では、日本国内、台湾、韓国などで展開された学術交流によって、今後の関連研究に貢献できる次のような論点を明らかにできた。(1)エスニック・メディアに掲載された見解を分析することで、太平洋戦争終結による時代性の非連続的側面よりも、社会の環境および観念の連続性をより検出できた。(2)華人、金門人、日本人、コリアンとも、戦後直後においては、東アジアと東南アジアといった地域を移動する流動性が顕著であったため、時空間横断分析を進め、地域相関型の研究を推進することの重要性が確認された。(3)エスニック・メディアは、文字資料のみならず、映画、ラジオなど多様な非文字資料の役割が重要であるとともに、集団的、個人的コミュニケーション手段がコミュニティの拠点どうしを結ぶ機能を果たしていることを明らかにできた。なお、エスニック・メディア・データベースの構築は、引き続き課題として残された。