著者
中垣 憲一 井上 弘士 久我 守弘 末吉 敏則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム
巻号頁・発行日
vol.94, no.257, pp.17-24, 1994-09-22
被引用文献数
17

先進的計算機システムの基礎技術を理解・修得させるための教材として,上級コース向き教育用マイクロプロセッサDLX-FPGAの開発を行った.プロセッサ・モデルとしてJ.L.Hennessy and D.A.Patterson著"Computer Architecture:A Quantitative Approach"で紹介されているDLXアーキテクチャを採用し,実装デバイスとしては再構成可能なFPGAを用いている.本稿では,この教育用マイクロプロセッサDLX-FPGAの特徴と設計仕様を述べ,回路図入力による設計例とVHDLによる設計例を示す.また,複数のFPGAを用いた実装,ならびにその動作検証を行うDLX-FPGAボードのラピッド・プロトタイピングについて報告する.
著者
富田 眞治 平木 敬 田中 英彦 末吉 敏則 金田 悠紀夫 天野 英晴
出版者
京都大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1994

本年度は,平成5年度までの研究成果を基に,超並列プロトタイプ・システムを実機として実装可能とするため,LSI,プリント基板,システム筐体の設計を行った.さらに,これと平行してシステムの妥当性を評価するための種々のシミュレーション実験や,入出力機構の開発を行った.以下に代表的な研究成果を示す.1.超並列システムのキャッシュ一貫性制御方式の評価ディレクトリ・ベースのキャッシュ一貫性制御法として提案した疑似フルマップ方式を,本重点領域研究の成果として提案した.Recursive Diagonal Torus(RDT)ネットワーク上に実装した場合の性能をシミュレーションにより評価した.その結果,ネットワークの階層構造を活用したマルチキャストや,ACK回収の効果により,フルマップ方式に比べ,約4倍の処理速度が得られた.また,マルチキャスト法として,LPRA(Local Precise Remote Approximate)法,SM(Single Map)法,ならびにLARP(Local Approximate Remote Precise)法を提案しその評価を行った.その結果,無駄なトラフィック軽減の観点から,宛先ノードが少ない場合にはSM法が有利で,宛先ノードが一定数を越すとLPRA法またはLARP法が有利になることが判明した.さらに,LPRA法とLARP法の優劣は,データのマッピングに強く依存することも判明した.2.超並列システムの高速入出力システムの研究入出力専用の高速ネットワークをRDTと独立に設け,仮想FIFOならびにLANを介して接続されたワークステーション群全体の広大なディスク領域を超並列計算機のファイルシステムとして提供する入出力サブシステムを提案した.さらに,仮想FIFOでHDTVを接続することでビジュアルな計算機環境を構築可能とした。また,画像表示機構の実装に際しては,1画面のフレーム・メモリを16分割し並列計算機からの表示データ転送を分散並列的に行うことで,最大250MB/秒の転送速度を実現し,ハイビジョン画質の動画表示を可能とした.
著者
富田 眞治 富田 真治 (1987) 吉田 紀彦 谷口 倫一郎 村上 和彰 福田 晃 末吉 敏則
出版者
九州大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1987

本研究の主な成果を以下に示す。1.QA-2の総合的性能評価とアーキテクチャの再設計:研究代表者らが以前開発した超長形式機械命令型計算機QA-2のアーキテクチャを評価した結果、機械命令処理の高度パイプライン化、演算器個数に依存しない汎用の機械命令形式などの必要性が明らかになった。この結果、超長形式機械命令型計算機の発展形である単一命令流/多重命令パイプライン(SIMP)方式を考案した。この方式は、短形式機械命令を実装した演算器個数分づつまとめて同時にパイプライン処理することにより、命令処理の時間的かつ空間的な並列度を更に高めようとするものである。2.超長形式機械命令型計算機の試作機開発:SIMP方式に基づく試作機を開発した。開発した試作機は、浮動小数点演算器および固定小数点演算器それぞれ1個を1本の命令パイプラインの核として、4本の多量命令パイプラインを有するものである。命令実行の障害となるデータ依存関係および制御依存関係を実行時に解決するための動的コード・スケジュールリング・アルゴリズムを開発し、試作機に実装している。その結果、命令実行順序がオブジェクト・コード上の命令出現順序と異なるアウト・オブ・オーダー実行となる。本アルゴリズムは他のアルゴリズムと比べて、分岐命令実行の際の選択的な命令無効化、複数のデータ依存関係の検出・表現、分岐命令を跨いだアウト・オブ・オーダー実行および先行実行などが特徴的である。3.超長形式機械命令型計算機用の最適化コンパイラの開発:SIMP方式のための最適化コンパイラに採用する静的コード・スケジューリング・アルゴリズムとして、トレース・スケジューリング法、ソフトウェア・パイプライニング法,ポリサイクリック・スケジューリング法などの試作機への適用を検討した。
著者
飯田 全広 末吉 敏則 尼崎 太樹 尼崎 太樹
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

SoC市場は、高集積化の進展とともに多様化しており、設計はより複雑になってきている。FPGAの搭載はこの問題を解決策として有望である。しかし、FPGAは大量のメモリからできているため、ソフトエラーが発生したときに回路故障につながる。本研究は、信頼性の高いリコンフィギャラブル・ロジックのアーキテクチャとして、SoC用フォールトトレラントFPGA(FT-FPGA)アーキテクチャと、その設計ツール(CAD)を提案している。また、FT-FPGAの試作チップを開発し、このチップの一連の評価によって、FT-FPGAは、ハードエラーおよびソフトエラーの回避と自動修復の能力を有することを確認した。
著者
末吉 敏則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術
巻号頁・発行日
vol.96, no.425, pp.111-118, 1996-12-13
被引用文献数
37

書換え可能なFPGA (Field Programmable Gate Array)の可変構造性を積極的に利用しハードウェアによって適応性を求める試みとして,リコンフィギャラブル・コンピューティング・システムと呼ばれる新しい計算機システムの研究・開発が行われ注目を集めている.本稿では,リコンフィギャラブル・コンピューティングを実現するFPGAの機能について説明すると共に,必要に応じて計算アルゴリズムやデータ処理機能をFPGA 内に実装するリコンフィギャラプル・コンピューティング・システムの現状と,それらが抱える課題について報告する.また,21世紀におけるLSI集積度向上にも無理なく対応できる将来のプロセッサアーキテクチャとして,データ駆動とコントロール駆動の側面を合わせもつ新しいコンピューティングパラダイムに基づくリコンフィギャラプル・プロセッサを提案する.