著者
本田 秀夫
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.33-39, 2017 (Released:2017-08-09)
参考文献数
8

【要旨】発達障害は、何らかの特記すべき精神機能の特性が乳幼児期からみられ、その特性が成人期も残ることによって生活に支障をきたすグループである。DSM-5で「神経発達症」というグループ名が採用されたことからもわかるように、このグループに属する障害はいずれも何らかの神経生物学的異常が想定されている。 発達障害の特性の有無あるいはその程度は、社会適応の問題の深刻さと必ずしも線形の相関関係にはない。特性を有しながらも成人期には治療や福祉的支援を要しないケースもあることから、発達障害の少なくとも一部は疾病というよりも生物学的変異とみるべきである。一方、環境因に基づく二次的な問題が重畳することによって、今度は逆にきわめて深刻な精神疾患の状態に陥ることがしばしばある。大人の発達障害の診断には、「発達障害であるか否か」ではなく、「発達障害の要因がどの程度その人の精神状態および生活の質に影響を及ぼしているか」という視点が必要である。 発達障害の認知構造および発達の道筋は独特である。従来の研究は、発達障害の人たちがそうでない人に比べて何がどう劣っているのかという視点に基づくものが多かったが、今後は特有の認知スタイルとは何か、発達障害の特性を有する人たちが二次障害を被らずに社会参加できるよう育っていくために必要な特有の発達の道筋は何か、などに関する研究が求められる。
著者
本田 秀夫 平井 篤志
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.339-348, 1990-09-01
被引用文献数
14

細胞融合は,交配不可能な異種植物間における遺伝子の導入を可能とし,育種上重要な手段を提供している.この際,体細胞雑種の同定,選抜は不可欠のステップであり,アイソザイムパターンの解析をはじめ,様々な方法が用いられている.しかし,それらの多くは,比較的多量のサンプルを必要とすること,特定の種の組み合わせに限られること,あるいは,取扱い上の困難さなどから必ずしも有効ではなかった.そこで,種特異的な塩基配列を持つrRNA遺伝子(rDNA)に渚目し,UCHIMIYAらの方法を基により簡便で能率的な方法を開発を試みた. Brassica, LycopersiconおよびNicotinaに属する植物を材料として用いた.まず,DELLAP0RTAの方法を改良してより微量の葉(100mg)から全DNAを抽出した.この抽出法は,細胞磨砕液からタンパク質や多糖類を酢酸カリウムにより除去し,さらにイソプロパノールによりDNAを特異的に沈澱させるものである.操作は簡単で,塩化セシウムによる超遠心のような複雑な操作は不要であつ,短時間で済み,収量も良く,得られたDNAは制限酵素で切断することが出来た.次に,抽出したDNAの1/50量(葉2mgからのDNAに相当)を適当な制限酵素で3時間処理し,0.7%アガロースゲルで電気泳動を行った.キャベツ,コマツナおよびその体細胞雑種の泳動パターンに示したように(Fig.1a),完全に切断された場合,EtBrで染色したDNAはほぼ均一なsmear bandsとなって現われた.DNAをナイロンメンブレントにトランスファーした後,クローン化されたイネのrDNAを非放射性のdigoxigeninでラベルしたものをプローブとして,バイブリダイゼーションを行った(Fig. 1b).その結果雑種植物は融合親特有のバンドを併せて有することにより,体細胞雑種としての同定が可能だった.トマト栽培種と野生種の組み合わせにおいても同様に同定できた(Fig. 2).
著者
本田 秀夫
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究の目的は、特定の出生コホートの累積発生率調査(Honda et al, 2005)で把握された自閉スペクトラム症(ASD)の子ども278名の長期追跡を行い、成人期の転帰を調査することである。278名のうち189名に連絡がとれ、そのうち170名から研究参加に同意が得られた。全般的社会適応は、全体の11%が優良、14%が良、37%が可、33%が不良、5%が著しく不良であり、過去のASDの長期追跡調査での報告と比べると、不良/著しく不良が少なかった。ASDの人たちは、幼児期より個々の特性に応じた環境設定や支援を受ければ、それなりに安定した成人期の生活を送ることが可能であることが示された。
著者
本田 秀夫
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.33-39, 2017

<p>【要旨】発達障害は、何らかの特記すべき精神機能の特性が乳幼児期からみられ、その特性が成人期も残ることによって生活に支障をきたすグループである。DSM-5で「神経発達症」というグループ名が採用されたことからもわかるように、このグループに属する障害はいずれも何らかの神経生物学的異常が想定されている。</p><p> 発達障害の特性の有無あるいはその程度は、社会適応の問題の深刻さと必ずしも線形の相関関係にはない。特性を有しながらも成人期には治療や福祉的支援を要しないケースもあることから、発達障害の少なくとも一部は疾病というよりも生物学的変異とみるべきである。一方、環境因に基づく二次的な問題が重畳することによって、今度は逆にきわめて深刻な精神疾患の状態に陥ることがしばしばある。大人の発達障害の診断には、「発達障害であるか否か」ではなく、「発達障害の要因がどの程度その人の精神状態および生活の質に影響を及ぼしているか」という視点が必要である。</p><p> 発達障害の認知構造および発達の道筋は独特である。従来の研究は、発達障害の人たちがそうでない人に比べて何がどう劣っているのかという視点に基づくものが多かったが、今後は特有の認知スタイルとは何か、発達障害の特性を有する人たちが二次障害を被らずに社会参加できるよう育っていくために必要な特有の発達の道筋は何か、などに関する研究が求められる。</p>