著者
林 康子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.98, no.177, pp.65-72, 1998-07-16
被引用文献数
6

感動詞「ええ」を含む7つの文脈{聞き返し, 驚き, 肯定, 時間稼ぎ, 疑い, 落胆, 迷い}の対話文を男女それぞれ2名の話者が読んだ音声を録音した.録音した音声のうち「ええ」の部分のピッチ曲線を抽出し, その発生時間・勾配が文脈で異なるかを検定した.{時間稼ぎ}{疑い}{迷い}は互いに差がみられなっかたが, それ以外ではどの文脈の対比も全て発生時間と勾配で弁別できた.次にこれらの7種類の「ええ」を, 新たな67名の被験者に聞かせ, 同定課題を行った.音声分析で弁別性が高かった「ええ」は, 回答と文脈との一致率が高かった.また, 特異な回答パターンが見られた「ええ」については, ピッチ曲線の形状を比較することによって説明できた.これらの結果は, ピッチ曲線がかなりの感性的情報を伝えていることを示している.
著者
小林 康子 田中 総一郎 大沼 晃
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.153-158, 2003-03-01 (Released:2011-12-12)
参考文献数
12
被引用文献数
2

“哺乳ビン依存状態” と考えられる発達障害児5例 (男児4, 女児1) (本症診断時年齢2.9±0.9歳) を検討した. 全例において中等度~重度発達遅滞 (DQ17~37: 本症診断時) を認めた. 全例, 口腔異常反射なく, 準備期, 口腔期, 咽頭期にも問題はなかった. 全例, 哺乳ビンからのミルク摂取は可能であるが, 離乳食に対しては強い拒否的反応を示し, 長期間離乳食を摂取していなかった. これらの症例に対し, 一時的に抑制して強制的に食べさせることを試みたところ, 予想に反して離乳食摂取は短期間で可能となった. 本症の拒否的反応は, 必ずしも離乳食摂取の拒否を意味していないと考えられた. 離乳食摂取時の強い拒否的反応を摂食拒否ととることが, 本症をつくる一因となるのかもしれない. また, 対策として摂食時の抑制と同時に, 哺乳ビンの中止も効果的であった. 本症では, 飲む, 食べる機能の切り換えがうまくいかない可能性も示唆された. 長期間離乳食が進まない発達障害児の場合, 本症も念頭において対応する必要があると思われた.
著者
大沼 晃 小林 康子 飯沼 一宇
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.285-290, 1997-07-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
17

発達障害941例のMRI中39例に神経細胞遊走障害の所見を認め, 特にsurfaceanatomy scanによる脳溝形成の状態と臨床症状との相関について検討した. 39例中痙性麻痺は25例, 筋緊張低下は6例, 運動麻痺を伴わない知的障害は8例に認められた. 完全ないし不完全な無脳回症7例では全例が痙性四肢麻痺を示したが, 厚脳回症例では8例中7例に運動障害を認めなかった. 典型的FCMD5例では全例に大脳縦裂に沿う幅広い脳回がみられ, 特徴的であった. 知的障害については, 脳回の形成障害が全般性の例ではほとんどが重度であったが, 半球性ないし局所性の例では様々であった. てんかんは21例に認められ, 11例が難治であった.
著者
秋吉 澄子 原田 香 小林 康子 柴田 文 川上 育代 中嶋 名菜 北野 直子 戸次 元子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p>【目的】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」において、地域に残されている特徴ある家庭料理を、地域の暮らしの背景とともに記録し、各地域の家庭料理研究の基礎資料、家庭・教育現場での資料、次世代へ伝え継ぐ資料などとして活用することを目的に、聞き書き調査を行った。【方法】熊本県内を6地区(阿蘇、県北、熊本近郊、県南、天草、球磨)に分類し、昭和35〜45年頃に各地域に定着していた家庭料理について、11名の協力者を対象に聞き書き調査を行った。その調査結果や参考文献を基に、熊本県の行事食の特徴を検討した。【結果】正月には「雑煮」、「辛子蓮根」、「のっぺ」の他、「吉野ずし」、「このしろの姿ずし」、「ねまりずし」などが各地域で作られていた。御正忌にはお寺で「こしょう大根」が作られ、参拝者に振る舞われた。ひな祭りには「ひともじのぐるぐる」や「みなみそ」が、6月中旬の田植えを終えた頃には「さなぼりまんじゅう」が食べられた。7月や8月の盆には「あんこかし」、「棒だら」が作られ、それ以外にも人が集まる際には地元で採れる山菜を使ったおこわや煮しめが作られた。地域の行事では、2月初午に天草地区で「がね揚げ」、3月上旬益城町木山地区の初市で「市だご」、3/16人吉・球磨地区の猫寺さんの祭りで「お嶽だんご」、5/31〜6/1八代地区の氷室祭で「雪もち」、10/25多良木地区の天神さんの祭りで「つぼん汁」、11/15和水地区の山太郎祭で「がね飯」、その他の祭りや結婚式などで天草地区では「ぶえんずし」が作られた。行事食は地元で採れる四季折々の旬の食材を活用し、地域の人々の楽しみとして暮らしに根付いていることが分かった。</p>
著者
林 康子
出版者
愛知学院大学
雑誌
愛知学院大学論叢 商学研究 (ISSN:02858932)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.371-388, 2004-09

社会における会計の役割の増大とともに, 会計はめざましい発展を遂げている。しかし, 深化していく会計技術や理論を支えるに足る「会計思想」というものは, 依然として体系化されていない。というよりも, 会計に「思想」は要らないという風潮が支配的であるのが現状であろう。本稿は, 「会計」と「思想」は果たして無縁なのであろうかという問題意識から出発している。その答えを求めていく端緒として, 藤田教授の会計思想の形成の過程をパーソンズの著作とのかかわりを中心として, 総合的かつ歴史的にたどっていくものである。ひとつの会計思想が形成に至るまでの道程に, その答えは存在するはずである。
著者
沼田 貴美子 坂本 美代子 秋吉 澄子 柴田 文 小林 康子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】「調理文化の地域性と調理科学―行事食・儀礼食―」の全国の調査概要は報告書に,九州他各支部の概要は日本調理科学会誌に掲載された。今回,熊本県で調査した通過儀礼食について詳細に分析を行ったので報告する。<br>【方法】調査対象者は,学生とその親の世代間による比較検討を行うために親子間で回答が得られた者各82名であった。学生は熊本市内の短期大学1年生,親は40~50歳代であった。通過儀礼の出産祝い,お七夜,百日祝い,初誕生,誕生日,七五三,成人式,結納,婚礼,厄払い,長寿祝い,葬儀,法事で供される食べ物の認知度や経験度などについて分析し,熊本と全国や九州各県の結果を比較検討した。<br>【結果】通過儀礼食は出産祝い・お七夜・百日祝い・初誕生の出産関連(A),誕生日・七五三・成人式の誕生関連(B),婚礼関連(C),厄払い・長寿の祝い・葬儀・法事の長寿法事関連(D)の4群に分類でき比較検討した。Aでは認知度・経験度ともに親世代が学生より有意に多く,Bでは学生・親ともに認知度・経験度が多く世代間の差は認められなかった。Cの婚礼,Dの長寿祝い,葬儀,法事の認知度は学生でも高く親世代との間に有意な差は認められなかった。通過儀礼食の食経験とその時期及び調理状況や食べ方について,親世代の食経験時期は1984~2003年が最も多く,葬儀と法事も2004年以降の食経験が多かった。A,Bでの赤飯は家庭でよく作られ,実家・親戚などで食べるも多かった。買うが多かったのは,誕生日のケーキ,七五三の千歳あめ,長寿祝い他でのもち・饅頭であった。外で食べるが多かったのは,婚礼や長寿祝いの日本料理他、葬儀や法事の精進料理であった。学生は誕生日,七五三,葬儀,法事の食経験が他項目より多かった。
著者
秋吉 澄子 小林 康子 柴田 文 原田 香 川上 育代 中嶋 名菜 北野 直子 戸次 元子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2019

<p>【目的】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」において,地域に残されている特徴ある家庭料理を,地域の暮らしの背景とともに記録し,各地域の家庭料理研究の基礎資料,家庭・教育現場での資料,次世代へ伝え継ぐ資料などとして活用することを目的に,聞き書き調査を行った。本研究では,熊本県の「副菜」の特徴について検討した。</p><p>【方法】熊本県内を6地区(阿蘇,県北,熊本近郊,県南,天草,球磨)に分類し,昭和35〜45年頃に各地域に定着していた家庭料理について,11名の協力者を対象に聞き書き調査を行った。その調査結果や参考文献を基に,熊本県の副菜の特徴を検討した。</p><p>【結果および考察】野菜のおかずでは,本県の郷土料理として全国的にも有名な「一文字のぐるぐる」,大根を使った「こしょう大根」,「煮なます」,「のっぺ」,旬の食材を使った「たけのこのひこずり」,「菜やき」,「どろりあげ」が日常の食事によく作られていた。保存食(漬物)では,阿蘇の「高菜漬け」や「ふさぎり漬け」,県南の山間部で作られる「豆腐のみそ漬け」,もろみ味噌である「しょんしょん(しょうゆの実)」が作られていた。汁物では,大豆を使った「呉汁」や人吉・球磨地方の「つぼん汁」が挙げられた。その他,熊本近郊(西原地区)の「落花生豆腐」や阿蘇(高森地区)の「田楽」,天草の「みなみそ」が副菜として挙げられた。熊本県の副菜の特徴として,地元で採れる旬の食材を使用し,しょうゆ・みそでシンプルに味付けをした料理が多く,油で炒めるなどの方法により,うまみやコクをプラスする工夫が見られた。採れた食材を無駄にすることなく,すべて頂くといった先人の知恵も生かされていた。</p>
著者
秋吉 澄子 小林 康子 柴田 文 原田 香 川上 育代 中嶋 名菜 北野 直子 戸次 元子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】地域に残されている特徴ある家庭料理を、聞き書き調査により地域の暮らしの背景とともに記録し、各地域の家庭料理研究の基礎資料、家庭・教育現場での資料、次世代へ伝え継ぐ資料などとして活用することを目的とし、(一社)日本調理科学会の特別研究「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」が実施された。<br /><br />【方法】熊本県内を6地区(阿蘇、県北、熊本近郊、県南、天草、球磨)に分類し、11名の協力者を対象に聞き書き調査を行った。その調査結果や参考文献を基に、おやつの特徴を検討した。<br /><br />【結果】おやつは農繁期の小昼(こびる=熊本弁でおやつのこと)としてよく食べられ、小麦粉を使用したものが多かった。熊本近郊では小麦粉の団子に大豆を混ぜた「豆だご」や、輪切りにしたからいもを包んだ「いきなり団子」が挙げられた。県北ではその土地で採れる里芋や栗を小麦粉の団子で包んだ「里芋団子」や「栗団子」、米の粉にゆずの皮、味噌、砂糖、水を加えて練り、竹の皮に包んで蒸した「ゆべし」があった。県南では夏場に「みょうがまんじゅう」が作られ、八代地区では神社の祭りで「雪もち」が食べられていた。天草では特産であるからいもを使った「こっぱ餅」や﨑津名物の「杉ようかん」があった。球磨では3月の神社の祭りで作られる「お嶽まんじゅう」や、からいもともち米を一緒に炊いてついた「ねったんぼ」が食べられていた。その他、小麦粉を使って簡単にできるおやつとして「あんこかし」や「べろだご」、「焼きだご」が県内各地で作られていた。