- 著者
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林 香織
本研究は,若年層を中心に拡大するソーシャルネットワーキングサービスに着目し,その使い方に「世間」に対する考え方が現れるのかを検討したものである。結果として,SNS 利用そのものではなく,SNS を利用する環境,つまりモバイルメディアの利用そのものに,「世間」の考え方が表出することがわかった。世間とは非常に主観的概念であるが,世間内からの人の評価という意味での視線を気にする一方,見ず知らずの人からの視線は想像が出来ない学生も多く存在し,そのような対人関係やコミュニケーションの有り方が,モバイルメディアの利用行動を決定付けていると考えられる。特に,社会的マナーをおろそかに考えがち,見ず知らずの人に親切にする必要はない,ニュースは自分には関係ないといった考え方をする人ほど,身近な人に親切にするといった意味の世間を重要視し,世間に縛られていることがわかった。