著者
田口 美緒子 吉岡 基 柏木 正章
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.11-17, 2007 (Released:2007-08-21)
参考文献数
27
被引用文献数
3

三河湾湾口部におけるスナメリの分布密度の季節変化を明らかにすることを目的として, 2002年8月から2004年9月の海況の良い日に伊良湖―師崎間を航行するカーフェリーに乗船し, ライントランセクト法による目視調査を実施した. 観察者は調査期間中に7,153 kmを調査し, 224群780頭 (うち19組は親仔連れ) のスナメリを発見した. 三河湾湾口部における分布密度は, 冬季から春季にかけて増加 (0.06-2.22 頭/km2) し, 夏季から秋季にかけて減少 (0-0.22 頭/km2) する傾向を示した. この結果と先行研究との比較から, 伊勢湾・三河湾に生息するスナメリは, 秋季に湾外まで分布域を広げる可能性が考えられた. また, 発見頻度の高い冬季および春季の群れサイズが15時以後に大きくなったことと飼育下のスナメリで報告されている採餌量の日周変化から, 三河湾湾口部は, 冬季から春季におけるスナメリの採餌海域の一部であると考えられた.
著者
柏木 正之 原 健二 ウォーターズ ブライアン 久保 真一
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究期間内において、ヘッドスペース固相マイクロ抽出(HS-SPME)法、ガスクロマトグラフ・タンデム型質量分析装置(GC-MS/MS)を用いて、インスリン製剤の添加物であるm-クレゾールの検出が可能であることが確認され、応用することにより、その定量も可能であると考えられた。また、インスリンアナログの検出法について、液体クロマトグラフ・タンデム型質量分析装置(LC-MS/MS)を用いて検討を行い、その定量の可能性が示唆された。
著者
柏木 正 杉本 健 上田 武志 山崎 啓市 東濱 清 木村 校優 山下 力蔵 伊東 章雄 溝上 宗二
出版者
公益社団法人日本船舶海洋工学会
雑誌
関西造船協会論文集 (ISSN:13467727)
巻号頁・発行日
no.241, pp.67-82, 2004-03-25
被引用文献数
4

A prediction and analysis system for the performance of a ship in real seas is proposed and constructed, with EUT (Enhanced Unified Theory) adopted as the main calculation method. The proposed system can compute the frequency-domain response functions of the wave-induced ship motions, the distribution of the pressure and global wave loads, the relative wave height, and etc. In addition, the added resistance, wave-induced steady lateral force and yaw moment can be predicted, including effects of the bow wave diffraction, the forward speed and 3-D interactions in a rational manner. By using these results and a wave spectrum representing real irregular seas, the short-term prediction of linear responses, the averaged added resistance, and the resultant speed loss of a ship in irregular waves can be calculated with the present system. Good performance of the system is demonstrated with some comparisons to experimental results and some applications to the speed correction in the speed trial and the prediction of the speed loss in actual voyages.
著者
原 健二 久保 真一 柏木 正之
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

火災で発生する熱分解物すなわち煙成分を焼死体の血液から証明する研究をした。方法としては、固相マイクロ抽出を使って揮発性成分を抽出し、低温濃縮ガスクロマトグラフィー質量分析法を使った。この方法により、熱分解産物であるフェニルアセチレン、スチレン、インデン、ナフタレンが熱傷を伴う焼死体の血液から検出されることがわかった。すなわち、この分析において、焼死体の血液から火災で発生した煙成分を証明することができる。煙成分の検出は火災発生時において焼死体が生存していた証拠になる。
著者
中村 昌彦 小寺山 亘 柏木 正 梶原 宏之 山口 悟 兵頭 孝司
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

近年全地球規模における環境変化の予測、環境保全に関する研究がますます盛んになってきている。これらの研究を行うためには地球環境に大きな影響を及ぼす海洋の時間的・空間的な観測データが必要であり、係留ブイシステムを利用した観測が行われてきた。しかし、空間的なデータを得るためには、数多くの係留ラインとセンサーが必要であり、莫大な設置コストが必要となる。また、設置海域によっては漁船の曳航網等によって係留ラインが切断され、データの回収が不能になる場合もある。そこで、本研究では、係留ラインを用いることなく、定められた範囲内に留まる(バーチャルモアリング)ことで空間的な海洋環境計測が可能な高機能自律型海中ビークルの開発を目指す。初年度はまず水中ビークルによるバーチャルモアリングシステムの計測アルゴリズムを検討し、水中ビークルに要求される仕様を決定した。また、CFDによりビークル形状を検討するとともに、小型モデルを製作し、流体力計測を行い、得られた流体力係数を用いて運動計算シミュレーターを作成した。次年度は、センサー・データ記録装置を搭載した模型によるグライディング試験を水槽で行い、シミュレーターの精度が良好であることを確認した。さらに、ビークルに内蔵した重錘を移動することにより、安定した運動制御が可能であることをシミュレーションにより確認のうえ、制御アルゴリズム検証用水中ビークル模型"LUNA"を製作し、動作確認を水槽で行った。最終年度は異なるタイプのアクチュエーターを製作し、シミュレーション・水槽試験を実施し、重心の移動によりグライディング中の円盤型ビークルの針路制御が可能であることを示した。以上により、円盤型海中グライダーを用いたバーチャルモアリングシステムが海洋環境計測に有効に利用できることがわかった。
著者
北川 忠生 沖田 智昭 伴野 雄次 杉山 俊介 岡崎 登志夫 吉岡 基 柏木 正章
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.805-811, 2000-09-15
被引用文献数
6 5

オオクチバスはノーザンバスとフロリダバスの2亜種からなり, 現在日本に広く生息しているのは前者であると考えられている。奈良県の池原貯水池には, 1988年にそれまで生息していたノーザンバスに加えてフロリダバスが移殖された記録がある。池原貯水池を含む全国各地の14集団についてmtDNAのPCR-RFLP分析を行った結果, 池原貯水池の水系から他の水系には認められない遺伝子型が多数検出された。既知の遺伝子型との比較により, これらがフロリダバスに由来するものであることが明らかになった。
著者
柏木 正浩
巻号頁・発行日
2005-03-24

報告番号: 甲20471 ; 学位授与年月日: 2005-03-24 ; 学位の種別: 課程博士 ; 学位の種類: 博士(科学) ; 学位記番号: 博創域第91号 ; 研究科・専攻: 新領域創成科学研究科基盤情報学専攻
著者
経塚 雄策 梶原 宏之 柏木 正 中村 昌彦 磯辺 篤彦 濱田 孝治
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

平成19年度の研究では特に水車の起動トルクを大きくするために回転軸にサボニウス形水車を取り付けることを試みた。サボニウス形水車は、半円形のバケットを複数個組み合わせた水車でバケットの抵抗が流れの方向によって変化することを利用する。起動トルクが大きいので、ダリウス形水車と組合せることによって低回転から高回転までの広い範囲で良好な性能を期待できると予想された。はじめに半円形バケットの流力特性を求めるために風洞実験により、半円形バケットの定常流中の揚力、抵抗およびモーメント係数を求めた。次に、回流水槽において、流れの中でサボニウス形水車を回転させてトルクを計測した。さらに、サボニウス形水車とダリウス形水車を組合せて回流水槽で実験を行った。サボニウス形水車により低回転域では起動トルクが大きくなり起動特性は改善されたが、一方、ダリウス形水車が高性能を発揮する高回転域においてはダリウス形水車単独の方が高性能であることが判明した。これは、サボニウス形水車を付加することによって水車周りの流れが変化するためであると考えられ、結局は起動トルクをとるか、水車効率をとるかの選択になるものと思われるが、無回転では水車効率はゼロとなるので我々の場合にはサボニウス形水車を付加することを選択した。最後に、曳航水槽において48極コアレス発電機(1KW)によって発電実験を行い、発電量から最終的なパワー係数を求めたところ最大で約0.2を得た。これは、発電機効率が0.7くらいとみられるので、水車効率としては約0.3であり、良好な性能であると思われた。この実験結果を用い、長崎県生月大橋の橋脚横で実海域実験を行うプロトタイプのダリウス-サボニウス形水車を製作し設置を行った。