著者
柳田 信也
出版者
総合危機管理学会
雑誌
総合危機管理 (ISSN:24328731)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.79-84, 2020 (Released:2020-12-10)
被引用文献数
1

消防隊員の活動安全性を向上させるために、我々はスポーツ科学で用いられている暑熱環境下での活動時の身体冷却方法を採用し、その効果を検証してきた。具体的に本研究では、氷と冷水の混合物であるアイススラリーの摂取による身体冷却効果について、実際の消防活動を模擬した環境において実験的に検討を行った。現職の消防隊員が、通常の火災・災害現場での活動と同じ装備を着装し、火災現場を模擬した高温・高湿環境内で運動負荷実験を実施した。その間に、深部体温や心拍数などの生理学的指標の測定を行った。被検者は運動間の休息中に、冷水もしくはアイススラリーを摂取し、その影響が比較された。本研究において、消防活動を模擬した高温・高湿環境におけるアイススラリー摂取により、運動による深部体温の上昇に対する有意な抑制効果が認められることが明らかとなった。このことから、暑熱環境での消防活動における熱中症予防として、アイススラリーを導入することの有用性が示唆された。
著者
武田 健 新海 雄介 鈴木 健一郎 柳田 信也 梅澤 雅和 横田 理 田井中 均 押尾 茂 井原 智美 菅又 昌雄
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.131, no.2, pp.229-236, 2011 (Released:2011-02-01)
参考文献数
42
被引用文献数
5 12 3

In order to discuss the health effects of nanomaterials, we cannot disregard the research on the health effects of airborne particulates. It is said that many of the fine or ultrafine particles in airborne particulates originate from diesel vehicles in metropolitan areas. The results of not only animal experiments but many epidemiologic surveys and volunteer intervention experiments in humans are reported on the health effects of particles. Although the health effects of the particulate matter particle sizes below 10 μm (PM10) were investigated in the initial studies, recently even smaller particles have come to be regarded as questionable and research of the health effects of the minute particulate matter below 2.5 μm (PM2.5) has been done. However, our recent study about maternal exposure to diesel exhaust suggests that health effect study of PM0.1, particles below 0.1 μm (100 nm), namely nanoparticles, is necessary from now on. We are proceeding with the study of the health effects of various types of intentionally produced nanomaterials such as carbon black, carbon nanotube, fullerene and titanium dioxide, examining in particular their influence on next generation. Although there are differences in the sites affected and the seriousness of the damage, basically similar findings to DEPs mentioned above are being discovered in research on nanomaterials. Regardless of dosage and administration method, such as inhalation, endotracheal administration, nasal drip and subcutaneous administration, once nanomaterials enter the bloodstream of a pregnant mother mouse, they move to the offspring and have effects on them. The effects may appear as various symptoms in the process of growth after birth, and can sometimes lead to the onset and aggravation of serious diseases.
著者
小柳 深 柳田 信也
出版者
日本哺乳動物卵子学会
雑誌
Journal of mammalian ova research = 日本哺乳動物卵子学会誌 (ISSN:13417738)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.31-35, 2004-04-01
参考文献数
24
被引用文献数
3

ポリビニルアルコール(PVA)がマウス初期胚の発生に及ぼす影響を検討した。その結果、0.1mg/mlおよび1.0mg/ml PVA添加培地において牛血清アルブミン(BSA)添加培地と同様マウス初期胚は高率に拡張胚盤胞に発生した。しかし、10.0mg/ml PVA添加培地では、胚盤胞への発生はみられなかった。したがって、PVAは適当な濃度であれば、1細胞期胚の拡張胚盤胞までの発生を支持することが明らかとなり、PVA添加培地は限定培地としてマウス胚の培養に用いることが可能であると考えられる。さらに、本研究ではPVA添加培地を用いて1細胞期、2細胞期、8細胞期および初期胚盤胞のどのステージから培養を開始しても拡張胚盤胞への発生率および拡張胚盤胞期までの各ステージへの発生速度は、BSA培地のものと同じであった。これらのことはPVA培地で各胚は正常な発生過程を経て拡張胚盤胞にまで発生することを示し、PVAは拡張胚盤胞期までの各過程にそれぞれ有効に作用するものと推察される。しかしながら、1細胞期から初期胚盤胞のどのステージから培養を開始しても、脱出中および脱出胚盤胞に発生する割合はBSA添加培地にに比べて減少した。In viroにおける胚盤胞の透明帯脱出には蛋白質分解酵素が関与していると考えられているので、胚盤胞の低い透明帯脱出率は蛋白質分解酵素の生成・分泌能の低下に起因している可能性が考えられる。
著者
石渡 貴之 長谷川 博 柳田 信也 鈴木 航太 松村 健 中川 晃
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

体温調節機構においては視床下部の視索前野/前視床下部(PO/AH)が特に重要な部位であり,セロトニン(5-HT)が熱放散機構,そしてドーパミン(DA),ノルエピネフリン(NE)が熱産生機構に関与していることが示されている.本研究では,自発運動によるPO/AHの脳内神経伝達物質の変動及び体温調節に及ぼす影響を解明することを目的とした.自発運動群は非運動群に比べて,安静時の心拍数が低いという結果が得られた.また,深部体温に関しても,昼夜の高低の変動がハッキリしており,メリハリがあることが明らかであった.更に自発運動群のPO/AHのDAとNEが非運動群と比べて有意に高い結果であった.