- 著者
-
永尾 晃治
柳田 晃良
- 出版者
- 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
- 雑誌
- 日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.2, pp.105-109, 2004-04-10 (Released:2009-12-10)
- 参考文献数
- 34
- 被引用文献数
-
2
1
共役リノール酸 (CLA) は, 反芻動物由来の食肉や乳製品中に含有する微量脂質成分で, リノール酸の位置・幾何異性体の総称である。これまでにCLAには抗がん作用, 抗肥満作用, 抗動脈硬化作用, 抗糖尿病作用などの生理作用が報告されているが, ごく最近, 抗高血圧作用も見いだされている。すでにCLA異性体の違いによる生理作用の違いについても報告されており, 10t, 12c型は抗がん作用, 抗肥満作用, 抗糖尿病作用を, 9c, 11t型は抗がん作用をもつことが示唆されている。また動物種による応答の違いも一部認められている。ヒトにおけるCLAの生理作用に関しては, ポジティブな効果も報告されているが, 信頼のおける評価を得るにはさらなる臨床研究が望まれる。