著者
松島 憲一 坂本 奈々 澤田 純平 藤原 亜沙美 牧内 和隆 根本 和洋 南 峰夫
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要 = Journal of the Faculty of Agriculture, Shinshu University (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.25-37, 2015-03

信州大学は環境教育の一環として環境教育海外研修を毎年実施しており,2014年には3月1日より3月11日までの11日間に4名の学生をネパールに派遣し,首都カトマンズおよびダウラギリ県ムスタン郡マルファ村において調査ならびに研修を実施した。本報では本研修において訪問した,環境に優しい電気自動車による乗り合いタクシー(サファ・テンプー)の運営会社Nepal Electric Vehicle Industry社およびバイオブリケットの普及を通じ環境問題と貧困問題の改善を進める団体Centre for Energy and Environment Nepalに対して実施した聞き取り調査の結果を報告する。また,トリブバン大学理工学部環境科学科において実施した学生交流においてディスカッションされた内容,さらには滞在中に実施した環境意識調査(アンケート調査)の結果もあわせて報告する。
著者
荒川 浩二郎 南 峰夫 中村 浩蔵 松島 憲一 根本 和洋
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.13-17, 2009 (Released:2009-01-25)
参考文献数
26
被引用文献数
2 3

レタスに含まれる機能性成分であるセスキテルペンラクトン類(SLs)高含量品種の開発において,的確にSLs含量を評価し,選抜するための分析用試料採取方法の確立を目的として,レタス3品種を供試して,部位および生育ステージによるSLs含量の差異をHPLCを用いて調査した.外葉,結球葉(外),(内),芯の4部位間でSLs含量に有意な差が認められた.SLs含量の部位間の相関関係を見ると,外葉と収穫対象である結球部全体の間で有意ではないが高い相関係数が得られた.外葉は採取しても抽苔開花に影響せず,種子を得られることから,分析用試料として利用できると考えられた.結球開始期,収穫適期,過熟期における結球部のSLs含量は,生育ステージが進むほど有意に増加した.結球開始期から有意な品種間差が認められ,収穫適期の含量と有意な相関関係が認められたことから,結球開始期の試料による早期検定が可能と考えられた.
著者
西川 芳昭 根本 和洋 大井 美知男 新海 尚子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

農村・農家レベルの現地聞き取り調査及び実証調査,ならびに,保全・管理の実施および支援組織レベルの聞き取り調査を実施した.結果として,農家が参加して実現しているようなローカルな遺伝資源管理事業であっても,実は数多くの地域内外の関係者と水平・垂直のネットワークを構築していることが明らかにされた.カナダのNGOのように,そのような関係性を意識的に強化・発展させる活動も始まっていることが起きらかになった.今後,具体的にどのような要素が,そのような組織制度の持続性・発展性を担保するか・または制限・阻害するかについて明らかにしていくことが必要であると結論した.
著者
松島 憲一 伊藤 卓也 北村 和也 根本 和洋 南 峰夫
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.391-399, 2022 (Released:2022-12-31)
参考文献数
34

日本産在来トウガラシ52品種を用いてRAPD法により多型解析を行いその類縁関係を解析した.その結果に基づくUPGMA法による系統樹ではI~Vの5つのクラスターに分類することができ,そのうちのクラスターIVは2つのサブクラスターに分けることができた.クラスターIおよびIIは京都の伏見系4品種と石川県の ‘剣崎なんばん’,クラスターIIIは上向き着果の香辛料用品種,クラスターIVのサブクラスターIV-aは観賞用開発良品種および果実色に特徴を有する品種で構成されたが,最大の品種数によって構成されたサブクラスターIV-bは雑多な品種群が混合して構成された.残るクラスターVはベル・ブロッキー型の大果品種によって構成された.以上の結果,大まかな日本の在来品種の類縁関係や遺伝的関係が明らかになり,その一部は文献などの史実と一致した.
著者
友岡 憲彦 根本 和洋 難波 成恵 KARKEE Ajay KARKI Sanjay SHRESTHA Deepa Singh GHIMIRE Krishna Hari JOSHI Bal Krishna PAUDEL Mina Nath
出版者
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
植物遺伝資源探索導入調査報告書 = Annual Report on Exploration and Introduction of Plant Genetic Resources (ISSN:24347485)
巻号頁・発行日
no.34, pp.193-214, 2019-03

本報告は農林水産省委託プロジェクト研究「海外植物遺伝資源の収集・提供強化」および国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)農業生物資源ジーンバンク事業の予算により実施され,農研機構・遺伝資源センターとネパール国立農業研究評議会との間で締結した共同研究協定に基づいて行われたネパール東部における豆類およびアマランサス遺伝資源の探索・収集に関わる調査報告書である.調査は,2018年2月14日~24日にかけてネパール東部のイラム県,パンチタール県,ダンクタ県において行った.探索は,チームA(トウガラシ属およびウリ科野菜)とチームB(豆類とアマランサス)に分かれて実施した.本報告は,チームBの報告(一部チームAの収集品を含む)である.探索の結果,10属(Amaranthus, Cariandrum, Cyclanthera, Glycine, Lablab, Macrotyloma, Perilla, Phaseolus, Solanum, Vigna),16種,91点の遺伝資源を収集し,収集品はネパール国立農業遺伝資源センターに保存した.
著者
松島 憲一 坂本 奈々 澤田 純平 藤原 亜沙美 牧内 和隆 根本 和洋 南 峰夫
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要 = Journal of the Faculty of Agriculture, Shinshu University (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.25-37, 2015-03

信州大学は環境教育の一環として環境教育海外研修を毎年実施しており,2014年には3月1日より3月11日までの11日間に4名の学生をネパールに派遣し,首都カトマンズおよびダウラギリ県ムスタン郡マルファ村において調査ならびに研修を実施した。本報では本研修において訪問した,環境に優しい電気自動車による乗り合いタクシー(サファ・テンプー)の運営会社Nepal Electric Vehicle Industry社およびバイオブリケットの普及を通じ環境問題と貧困問題の改善を進める団体Centre for Energy and Environment Nepalに対して実施した聞き取り調査の結果を報告する。また,トリブバン大学理工学部環境科学科において実施した学生交流においてディスカッションされた内容,さらには滞在中に実施した環境意識調査(アンケート調査)の結果もあわせて報告する。
著者
西村 美香 小西 あや子 南 峰夫 根本 和洋
出版者
日本作物学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
no.35, pp.70-72, 2000

普通ソバは異型花型自家不和合性を持ち, 主に虫媒による他家受粉が必要なため, 収量は開花期の天候に左右され, 低収かつ不安定である.そこで自家和合性を導入して収量の安定多収を図る目的で, 自家和合性の近縁野生種Fagopyrum homotropicumと種間交雑を行い, 自家和合性の種間雑種F_1を得た.その後代F_3およびF. esculentumとの戻し交雑後代における花型, 自家和合性, 種子脱落性の分離ならびに自殖弱勢の発現を調査した.その結果, 生育旺盛で非脱落性の自家和合性系統の選抜が可能であり, 安定多収な普通ソバ自殖系統を育成できると考えられた.
著者
南 峰夫 豊田 美和子 井上 匡 根本 和洋 氏原 暉男
出版者
信州大学農学部
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.45-49, 1998 (Released:2011-03-05)

トウガラシ果実中の辛味成分であるカプサイシノイド含量の経時的変化を明らかにするために,C.annuumとC.frutescens-chinense complexの各2系統を供試し,開花後20日おきに果実を収穫し,カプサイシノイド含量を測定した。開花後20日目からカプサイシノイド3成分(capsaicin,dihydrocapsaicin,nordihydrocapsaicin)が検出され,含量の系統間差,種間差が認められた。登熟ステージ(開花後日数)により含量は大きく変化し,経時的変化のパターンには系統間差が認められた。したがって,カプサイシノイド含量の評価にあたっては,果実の登熟ステージのばらつきを考慮した果実サンプリング法が必要と考えられた。また,いずれの系統も果実の成熟期とは無関係に開花後40日目前後に最大含量を示したことから,カプサイシノイド含量の最大値を評価するためには,開花後40日目頃の果実を収穫,測定することが必要と結論した。カプサイシノイド3成分の組成比に系統間差がみられたが,登熟ステージによる変化は認められなかった。
著者
根本 和洋 西川 芳昭
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要 (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.73-81, 2007-03
被引用文献数
3

オルタナティブな農業のための種子供給システムについて,ドイツにおけるバイオダイナミック農業を事例として,(1)バイオダイナミック農業の研究および種子生産をおこなっている先進事例(initiative)Saatgutinitiative Bingenheimおよび(2)シュタイナー農業を実践する集団農場Dottenfelderhofを調査した。バイオダイナミック農業では,この農法によって採種されたOP品種のみを使用しており,ハイブリット種子を主力とする大規模な多国籍種苗企業とはニッチが異なるため,育種,品種維持,種子生産および流通において独自のシステムが確立されていた。このシステムは,消費者のニーズに応えるとともに,通常の農業よりも幅広い人々の参加を実現している。このことは,高度に商業化された農業においてもオルタナティブな種子供給システムが可能であることを提示する。
著者
松島 憲一 竹村 真奈美 畠山 佳奈実 須田 元輝 山谷 美紀生 馬場 真優子 根本 和洋 南 峰夫
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要
巻号頁・発行日
vol.52, pp.41-48, 2016-03-28

長野県駒ヶ根市内で栽培利用されている在来作物について,その分布と利用状況の聞き取り調査を信州大学と駒ヶ根市の共同研究として2014年10月から12月にかけて実施した。この結果,在来の果樹3品目としてカキ,マメガキおよびナシが,在来の蔬菜類4品目としてサトイモ,ウリ,トマト,チョロギが栽培利用されていることが明らかになった。このうち,在来のカキ品種'せんぼ柿'については,地域の他産業(養蚕および馬による運送業)との関係が明らかになった。
著者
安井 俊樹 根本 和洋 南 峰夫 北村 嘉邦
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要 = Journal of the Faculty of Agriculture, Shinshu University (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.9-15, 2015-03

ネパールにおける花卉産業の現状を明らかにするために,信州大学のネパール農業実習で訪れたカトマンズ,ポカラ,マルファ,ナラヤンガートにおいて調査を行った。主に切り花を取り扱うフラワーズデコレーターでは切り花に関して,主に鉢花を取り扱うナーサリーでは鉢花に関して,品目,価格,販売形態および流通経路について開き取り調査を行った。マリーゴールド(Tagetes spp. ),アジサイ(Hydrangea spp. ),ユリ(Lilium spp. )については特に注目し,認知度,用途,嗜好について開き取り調査した。調査結果をもとに,ネパールにおける花卉産業の成熟度,花卉と文化,宗教との関係について考察した。
著者
荒川 浩二郎 田中 雅透 中村 浩蔵 南 峰夫 石田 了 六角 啓一 松島 憲一 根本 和洋
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.120-124, 2007
被引用文献数
2

レタスに含まれるSesquiterpene Lactones含量を測定するためのHPLC分析用試料の調製時間の短縮を目的として,Priceらの方法を改変した分析用試料調製方法の有効性を検討した.改変した方法と従来のPriceらの方法による定量値の間に,高い有意な相関関係が認められた.このため改変した試料調製法は有効であると結論し,Priceらの方法で13時間以上かかっていた試料調製時間を改変した方法で約1/7の2時間程度に短縮することができた.
著者
南 峰夫 氏原 暉男 根本 和洋
出版者
信州大学
雑誌
信州大学農学部紀要 (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.37-43, 1998-09

ネパールにおいて、1984年以来、植物遺伝資源の収集と聞き取り調査を行ってきた。作物別の収集点数とその標高分布から、ネパールの農業における新大陸起源の作物の占める位置について考察した。新大陸作物は栽培の歴史が短いにもかかわらず、ネパールの農業において重要な位置を占めていた。トウモロコシはイネに次ぐ栽培面積と生産量を持つ丘陵地帯の最も重要な穀類となっており、多くの在来系統と、多様な作付体系が成立していた。バレイショはイモ類生産量の70%を占め、他作物の栽培が困難な標高3500m以上まで栽培されており、高地における重要な主食作物になっていた。さらにトウガラシはネパールの食生活に欠かせないものとなっている。これら収集した新大陸作物(トウモロコシ、インゲンマメ、アマランサス、トウガラシ)の在来系統の諸特性を栽培調査したところ、多様な変異が認められ、遺伝資源として有用であることを確認した。