著者
杉山 充啓 佐藤 広幸 松島 憲一 PAUDEL Mina Nath SHRESTHA Deepa Singh KARKEE Ajay KARKI Sanjay
出版者
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
植物遺伝資源探索導入調査報告書 = Annual Report on Exploration and Introduction of Plant Genetic Resources (ISSN:24347485)
巻号頁・発行日
no.34, pp.215-227, 2019-03

本報告は農林水産省委託プロジェクト研究「海外植物遺伝資源の収集・提供強化」の予算により実施され,国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 遺伝資源センターとネパール国立農業遺伝資源センターとの間で締結した共同研究協定に基づいて行われたネパール東部におけるトウガラシ属およびウリ科遺伝資源の探索・収集に関わる調査報告書である.調査は2018年2月15日~24日にかけて行った.ネパール東部のイラム県,パンチタール県,ダンクタ県において探索・調査を行った.その結果,キュウリ27点,セイヨウカボチャ3点,ニホンカボチャ5点,クロダネカボチャ1点,トカドヘチマ1点,トウガラシ属29点の合計66点の野菜遺伝資源を収集した.収集された遺伝資源は,ネパール国立農業遺伝資源センターで保存するとともに,我が国の遺伝資源センターに導入される予定である.
著者
松島 憲一 坂本 奈々 澤田 純平 藤原 亜沙美 牧内 和隆 根本 和洋 南 峰夫
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要 = Journal of the Faculty of Agriculture, Shinshu University (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.25-37, 2015-03

信州大学は環境教育の一環として環境教育海外研修を毎年実施しており,2014年には3月1日より3月11日までの11日間に4名の学生をネパールに派遣し,首都カトマンズおよびダウラギリ県ムスタン郡マルファ村において調査ならびに研修を実施した。本報では本研修において訪問した,環境に優しい電気自動車による乗り合いタクシー(サファ・テンプー)の運営会社Nepal Electric Vehicle Industry社およびバイオブリケットの普及を通じ環境問題と貧困問題の改善を進める団体Centre for Energy and Environment Nepalに対して実施した聞き取り調査の結果を報告する。また,トリブバン大学理工学部環境科学科において実施した学生交流においてディスカッションされた内容,さらには滞在中に実施した環境意識調査(アンケート調査)の結果もあわせて報告する。
著者
荒川 浩二郎 南 峰夫 中村 浩蔵 松島 憲一 根本 和洋
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.13-17, 2009 (Released:2009-01-25)
参考文献数
26
被引用文献数
2 3

レタスに含まれる機能性成分であるセスキテルペンラクトン類(SLs)高含量品種の開発において,的確にSLs含量を評価し,選抜するための分析用試料採取方法の確立を目的として,レタス3品種を供試して,部位および生育ステージによるSLs含量の差異をHPLCを用いて調査した.外葉,結球葉(外),(内),芯の4部位間でSLs含量に有意な差が認められた.SLs含量の部位間の相関関係を見ると,外葉と収穫対象である結球部全体の間で有意ではないが高い相関係数が得られた.外葉は採取しても抽苔開花に影響せず,種子を得られることから,分析用試料として利用できると考えられた.結球開始期,収穫適期,過熟期における結球部のSLs含量は,生育ステージが進むほど有意に増加した.結球開始期から有意な品種間差が認められ,収穫適期の含量と有意な相関関係が認められたことから,結球開始期の試料による早期検定が可能と考えられた.
著者
松島 憲一 伊藤 卓也 北村 和也 根本 和洋 南 峰夫
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.391-399, 2022 (Released:2022-12-31)
参考文献数
34

日本産在来トウガラシ52品種を用いてRAPD法により多型解析を行いその類縁関係を解析した.その結果に基づくUPGMA法による系統樹ではI~Vの5つのクラスターに分類することができ,そのうちのクラスターIVは2つのサブクラスターに分けることができた.クラスターIおよびIIは京都の伏見系4品種と石川県の ‘剣崎なんばん’,クラスターIIIは上向き着果の香辛料用品種,クラスターIVのサブクラスターIV-aは観賞用開発良品種および果実色に特徴を有する品種で構成されたが,最大の品種数によって構成されたサブクラスターIV-bは雑多な品種群が混合して構成された.残るクラスターVはベル・ブロッキー型の大果品種によって構成された.以上の結果,大まかな日本の在来品種の類縁関係や遺伝的関係が明らかになり,その一部は文献などの史実と一致した.
著者
松島 憲一 坂本 奈々 澤田 純平 藤原 亜沙美 牧内 和隆 根本 和洋 南 峰夫
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要 = Journal of the Faculty of Agriculture, Shinshu University (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.25-37, 2015-03

信州大学は環境教育の一環として環境教育海外研修を毎年実施しており,2014年には3月1日より3月11日までの11日間に4名の学生をネパールに派遣し,首都カトマンズおよびダウラギリ県ムスタン郡マルファ村において調査ならびに研修を実施した。本報では本研修において訪問した,環境に優しい電気自動車による乗り合いタクシー(サファ・テンプー)の運営会社Nepal Electric Vehicle Industry社およびバイオブリケットの普及を通じ環境問題と貧困問題の改善を進める団体Centre for Energy and Environment Nepalに対して実施した聞き取り調査の結果を報告する。また,トリブバン大学理工学部環境科学科において実施した学生交流においてディスカッションされた内容,さらには滞在中に実施した環境意識調査(アンケート調査)の結果もあわせて報告する。
著者
山本 宗立 松島 憲一 田中 義行 小枝 壮太
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

アジア・オセアニアにおけるトウガラシ属植物の利用および酒文化(麹のつくり方、醸造・蒸留方法、それらに伴う儀礼)についての文献調査を行うとともに、インドネシアおよびミクロネシアにおいてトウガラシ属植物の遺伝資源・文化資源に関する現地調査を行った。また、種分類が未定のネパール産トウガラシ、ダレクルサニ系統群についてSSR、AFLP、GBSSの配列解析を用いて種分類を試みた結果、トウガラシとハバネロ類の種間雑種由来で、他栽培種と遺伝的に距離があることが明らかになった。そして、SSRおよびAFLPを用いて、国内の在来トウガラシ品種等の多型解析を行った結果、大きく7つのグループに分けられ、大まかに地域や果実形質によって分類できたが、異なる果実型でも近縁と思われる集団の存在が明らかとなった。さらに、トウガラシ属植物の遺伝資源の大規模分子系統解析に向けた準備を行った。具体的には、アジア・オセアニアのキダチトウガラシ404系統およびハバネロ類246系統を栽培し、合計650系統のDNAを抽出した。カプサイシン類の定量分析については、アジアのトウガラシ属植物を栽培し、HPLC分析により各系統の辛味成分組成を明らかにした。ネパール系統の中から、高いカプサイシノイド含量を示すキダチトウガラシの系統を見出した。葉緑体配列に基づくプライマーセットにより、トウガラシ属植物の細胞質の種分類を検討した。今年度に得られたデータについては、国内外における学会発表や国際誌の論文として来年度以降に公表する予定である。
著者
吉永 悟志 西田 瑞彦 脇本 賢三 田坂 幸平 松島 憲一 富樫 辰志 下坪 訓次
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.481-486, 2000-12-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
16
被引用文献数
9 7

近年, 水稲の湛水土中直播栽培において出芽安定化のために播種後の落水管理が一般に行われてきている.そこで, 播種後の水管理と施肥窒素の動態や水稲の窒素吸収との関係について検討し, 落水管理が水稲の生育・収量へ及ぼす影響を明らかにするための試験を行った.水管理と出芽との関係については本試験においても播種後落水を行うことによる出芽率の向上および初期生育の促進が確認された.苗立ち後の生育は肥効調節型の被覆尿素肥料(LP100)を基肥に施用した場合には播種後の水管理による生育・収量の差は小さかったが, 速効性肥料である硫安を基肥に施用して播種後の落水管理を行った区では硫安施肥を行って湛水管理を行った区に比較して幼穂分化期までの窒素吸収量が低下し籾数不足による減収を生じた.基肥に硫安を施用し播種後落水管理を行った場合には, 初期生育および初期分げつが顕著となるために生育初期の窒素吸収量が顕著に増大すること, また, 落水にともなう施肥窒素の硝酸化成によると推定される土壌中アンモニウム態窒素含有量の低下が生じることが示されたため, これらの要因により幼穂分化期までの窒素吸収量に差を生じたものと推察された.このことから, 播種後落水管理を行う場合には初期の肥効を抑制するとともに, 生育中期の窒素不足を回避するような施肥法を行うことが, 直播栽培における出芽・苗立ちの安定化と生育・収量の安定化の両立に重要となると考えられる.
著者
松島 憲一 竹村 真奈美 畠山 佳奈実 須田 元輝 山谷 美紀生 馬場 真優子 根本 和洋 南 峰夫
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要
巻号頁・発行日
vol.52, pp.41-48, 2016-03-28

長野県駒ヶ根市内で栽培利用されている在来作物について,その分布と利用状況の聞き取り調査を信州大学と駒ヶ根市の共同研究として2014年10月から12月にかけて実施した。この結果,在来の果樹3品目としてカキ,マメガキおよびナシが,在来の蔬菜類4品目としてサトイモ,ウリ,トマト,チョロギが栽培利用されていることが明らかになった。このうち,在来のカキ品種'せんぼ柿'については,地域の他産業(養蚕および馬による運送業)との関係が明らかになった。
著者
荒川 浩二郎 田中 雅透 中村 浩蔵 南 峰夫 石田 了 六角 啓一 松島 憲一 根本 和洋
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.120-124, 2007
被引用文献数
2

レタスに含まれるSesquiterpene Lactones含量を測定するためのHPLC分析用試料の調製時間の短縮を目的として,Priceらの方法を改変した分析用試料調製方法の有効性を検討した.改変した方法と従来のPriceらの方法による定量値の間に,高い有意な相関関係が認められた.このため改変した試料調製法は有効であると結論し,Priceらの方法で13時間以上かかっていた試料調製時間を改変した方法で約1/7の2時間程度に短縮することができた.
著者
松島 憲一
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.64-74, 2001-03-01

1998年8月26日〜9月9日に日本財団が派遣した調査団に参団し, 西アフリカの農業・国際協力の現状について調査を行った.この調査の際, コートジボアールの農業・食料事情を知り, 今後の農業技術協力推進および地域農業研究の参考とするため国内3市場において農産物に関する調査を行った.3地域の市場において確認された農作物は49種にのぼり, 果菜類15種, 果実類10種, 茎葉菜類7種, 根菜類5種, イモ類5種, 穀類・豆類5種, 油料・調味料作物4種が確認できた.これらは分類学上26科に属する植物からなり, そのうち7種がナス科, 6種がマメ科, ウリ科, 4種がイネ科, 3種がユリ科に属した.各種内の変異も大きく, トウガラシなど果菜類では様々な品種が見られた.また, 同国の食料供給は危機的な状況に至ってはいないものの, 農村部では親に対する栄養教育が行き届いていないために, デンプン食物偏重が原因と思われる栄養失調児がみられた.今回調査した各市場でみられた多様な農産物の存在はこれら栄養的問題を解決する鍵となると考えられる.