著者
桜井 弘
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.262-267, 2019-06-20 (Released:2020-06-01)
参考文献数
4

2019年は,ロシアの化学者メンデレーエフがはじめて「周期律」を発見し,「元素周期表」を発表した1869年から数えて150年を迎える記念の年である。わずか1枚の紙に収まる元素周期表は,今や私たちの生活にとけ込み,物理,化学,生命,産業や日々の生活を考える科学のバイブルとなっている。18世紀のはじめから,多くの元素の発見や性質の解明にはヨーロッパを中心とする科学者が貢献してきた歴史があった。しかし,元素を合理的に整理し理解できる組織図は,ヨーロッパ近代科学を目指すロシアの化学者により達成されたことは驚異的なことと思われる。その不思議はどこにあったのであろうか?「元素周期表」誕生150年を記念して,メンデレーエフの天才の秘密と努力,そして周期表を不滅とした人々の英知の成果を紹介する。
著者
桜井 弘
出版者
日本薬史学会
雑誌
薬史学雑誌 (ISSN:02852314)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.7-12, 2015 (Released:2020-12-02)

PMID: 26427095 [Indexed for MEDLINE]

1 0 0 0 OA 医療と経験

著者
桜井 弘木
出版者
日本医学哲学・倫理学会
雑誌
医学哲学 医学倫理 (ISSN:02896427)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.112-121, 1992-10-23 (Released:2018-02-01)

This paper is developed from the symposium, "The New Image of Pharmacists in Medical Practice" held at the last study meeting of this association. Experience is a human behavior in the interaction between man and world (man is a part of the world), so that it has in all cases the interactive structure of knowledge (self-conscious and objective) and act, and also the nature of motion between the mover (agent) and the moved (patient). The meaning of this motion includes growing and changing. Invention is a creative modification of the world (man) by discovery of the nature of the world (man). At all times, medical practice is an experimental and inventive treatment of man by medical practitioners (agents-physicians, pharmacists, nurses, and so on) for man as patient. The experimental knowledge and act are case by case always imperfect, and the inventive (creative) treatment of man for man carries in itself responsibility, that is to say ethics. The medical practitioners must each and all be specialists who recognize correctly such essences of medical practice. Their teamwork in medical practice will be realized only by mutual understanding of these essences, and in addition, in the future, teamwork will become increasingly necessary. So, from now on, pharmacists must be required especially to be more active, more self-conscious, and more responsible for their own share of medical practice.
著者
小嶋 良種 吉川 豊 飯倉 奈美 上田 理恵 市村 彰男 土江 松美 桜井 弘
出版者
公益社団法人 日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.10, pp.571-576, 2003-10-25 (Released:2017-12-26)
参考文献数
26
被引用文献数
1

Insuhnomimetic activities of Zn(II) complexes (ZnCl(Vc) and Zn(Vc)_2) with vitamin C (VcH) were found in isolated rat adipocytes treated with epinephrme in terms of inhibition of free fatty acid release. Furthermore, the improvement of glucose tolerance for KK-A^y mice model with type 2 diabetes melhtus was observed when ZnCl(Vc) was orally administered for 4 weeks
著者
桜井 弘 今倉 康宏 田和 理市
出版者
京都薬科大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1992

前年の成果を踏まえて、本年度は、ポドフィロトキシン関連化合物として、シリンガ酸(SA)およびデメチルエピポドフィロトキシン(DEPD)の選び、これらの銅(II)錯体によるDNA切断反応を検討した。まず、アガロースゲル電気泳動法によりM13mp18ssDNAを用いて、銅錯体によるDNA切断反応が生ずること、及び銅(II)単独又は薬物単独ではDNA切断は生じないことを確認した。次に、同じ系によりポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いてシークエンス反応をおこなった。その結果、SAーおよびDEPDー銅錯体によりDNA切断反応は塩基特異的に生じていること見い出した。すなわち、同系によるDNA切断反応は、シトシン(C)部位で切断が優先的に生じていることが明かとなった。また、チミン(T)やグアニン(G)部位においても切断が見られたが、C部位と比較するとその程度は低かった。アデニン(A)部位ではDNA切断はほとんど生じていないことが判った。次に、ポドフィロトキシンに鉄(III)を共存させ、紫外線照射を行うとDNA切断反応が増大し、かつ反応中に・OHの生成が認められるため、本反応における酸化生成物の同定を試みた。反応を行った後、薄層クロマトグラフィー及び液体クロマトグラフィーにより化合物を分離精製し、NMRを用いて構造解析を試みたところ、現在、4種の化合物を同定することができた。しかし、まだ十分量を得ることが困難であるため、詳細な物性やDNA切断反応を行っていない。この検討を続け、十分量得ること、さらに未同定の化合物の構造決定を行いたいと考えている。これらの知見により、詳細な紫外線照射下における活性酸素生成に関する考察を行うことを計画している。
著者
江口 剛治 桜井 弘美 原田 曠嗣 柏木 忠
出版者
The Vacuum Society of Japan
雑誌
真空 (ISSN:05598516)
巻号頁・発行日
vol.27, no.10, pp.759-767, 1984

Silicon oxide films have been formed by a RF bias sputter-deposition system using a quartz target in Ar or Ar/O<SUB>2</SUB> sputtering gas. Substrate bias voltage <I>V</I><SUB>b</SUB> was varied from 0 to-200 V, at the total power of 1.9 W/cm<SUP>2</SUP>.<BR>In order to evaluate the planarization effect, the step coverage of the film on AlSi patterns was examined by SEM and compared with the computer simulated profiles using the Lehmann's method, and a good agreement was obtained. Further, we have applied this planarization technology to a 6-level metallization and realized the good step coverage.<BR>The properties of the silicon-oxide films were also studied. In the case of the Ar gas sputtering, the leakage current and the compressive stress in the film increase with increasing <I>V</I><SUB>b</SUB>. It is found that the Ar/O<SUB>2</SUB> gas sputtering improves the film properties of both the inner stress and leakage current. Auger analysis indicates that the films deposited in Ar/O<SUB>2</SUB> gas have O/Si ratio of about 2, but O/Si ratio of the films deposited in Ar gas is less than 2. From these data, the improvement of the properties of the films can be explained as following; oxygen in Si-O network in the films is removed by Ar ion bombardment during bias sputtering, and damaged bond is compensated by oxygen addition.
著者
桜井 弘 安井 裕之 吉川 豊 廣村 信 小嶋 良種
出版者
京都薬科大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2004

糖尿病(DM)は、インスリンの絶対的または相対的不足による疾患であり、それぞれインスリン依存性の1型およびインスリン抵抗性による2型DMとよばれている。前者は、1日に数回のインスリンの皮下注射が唯一の治療法であるため、患者に精神的・肉体的負担を与えるのみならず、自己抗体を産生してインスリンの作用が表れなくなることがある。後者の治療には、いくつかの経口合成薬剤が開発されているが、それらを長期に服用すると強い副作用が現れるのみならず、体がインスリン合成を不要と判断するため、やがてはインスリン注射に頼らざるを得なくなることも知られている。このような状況の下で、インスリン注射や合成薬剤に代わりうる新しい薬剤の開発が世界的に要望されている。本研究は、金属錯体による1型および2型糖尿病の治療を目指して行われた。脂肪細胞および実験動物を用いて得られた主な成果は、以下の通りである。(1)細胞を用いるインスリン様作用の評価系(グルコースの取り込み促進と脂肪酸放出抑制)を確立した。(2)バナジル(VO^<2+>)-ピコリネートをリード化合物として11種類の錯体を合成して、構造活性相関性(SAR)を研究し、配位子の置換基の位置が重要であることを明らかにした。(3)バナジル-およびジンク(Zn)-3-ヒドロキシピロネートをリード化合物としてそれぞれ5〜8種類の錯体を合成し、SARを研究し、アリキシン関連配位子の錯体は1および2型DMを治療できるのみならず、メタボリックシンドロームを改善できる新事実を見出した。(4)これらの錯体の作用機構を研究し、バナジルおよびジンク錯体は主としてインスリンシグナル伝達系に存在する各種の酵素のリン酸化を促進し、最終的にグルコース輸送体を細胞膜表面に移動させる新知見を得た。(5)バナジウム化合物や錯体の新しいドラックデリバリーシステムを考案した。(6)以上の結果にもとづいて、臨床応用を目指すいくつかの錯体の構造式を提案した。