著者
桝井 文人 柳 等 伊藤 毅志 山本 雅人 松原 仁 竹川 佳成 河村 隆 宮越 勝美
出版者
北見工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

今年度は,戦術要素の収集・解析と戦術推論手法開発の継続,ストーントラッキング手法の実証実験,人工知能アルゴリズムの応用,スウィーピング計測システムのモデル化と実験に取り組んだ.以下,各項目別に報告する.(1)戦術要素の収集と解析については,新たに日本代表決定戦,平昌オリンピックの試合情報を追加して分析し,チームショット率と得点の関係,ポジション別ショット率と得点の関係,さらに,先攻後攻におけるショット率と得点の関係についての知見を得た.さらに,得点機会と失点機会に注目した分析を行い,チーム固有の発生確率パターンが存在することを発見した.(2)人間判断要素の収集と解析については,昨年度に実施した認知心理学実験結果を分析し,戦術の思考過程の考察を行なった.戦略書に基づいたデジタルカーリングAIにおける序盤定石の構築も引き続き行なった.(3)ストーン挙動要素の収集については,実際のカーリングホールにて氷上での動作検証実験を行なった.シートの氷の下にキャリブレーション用モジュールを埋め込むことで,昨年度の課題を解消した.シーズンを通しての耐久性と,キャリブレーション時の誤差について検証を行い,概ね陸上と同じ結果が得られることが確認できた.(4)戦術推論手法の開発では,昨年度実装した離散化座標と評価値の期待値に基づいてショット選択を行う人工知能アルゴリズムを用いて平昌オリンピックの試合を人工知能アルゴリズムで再現した.また,デジタルカーリング環境における戦術学習支援システムを構築した.(5)スウィーピング計測については,計測システムに加わる力のモデル化と,スウィープ時の力とモーメントの計測結果の検討を行なった.
著者
上野裕暉 桝井文人 柳等 平田洸介
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.627-629, 2014-03-11

カーリングが五輪正式種目となってから,日本は毎回出場を果たしてきた.しかし,近年ではアジアにおいても中国や韓国が急速に力をつけており,日本チームの相対的な競争力低下が危惧されている. この状況を改善するための方策のひとつとして,我々はICTを利活用してカーリング戦術面を支援するカーリングインフォマティクス構想を掲げ,その第一ステップとして試合情報を逐次的に収集・解析するポータブルデータベースシステムを開発・運用し,その有効性を確認してきた. 本発表では,このシステムに加えた新たな機能および改良点について報告し,従来手法との比較分析によってそれらの有効性について議論する.
著者
平田 洸介 桝井 文人 大谷 拡夢 柳 等 プタンシスキ ミハウ
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
シンポジウム: スポーツ・アンド・ヒューマン・ダイナミクス講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp."D-5-1"-"D-5-6", 2015-10-30

This paper reports on the analysis of the characteristics for each position in curling based on shot-scores. We computed average shot-scores for each position using 14 game information about college-top level teams, and analyzed the correlation between the differences of average shot-scores and the differences of final game scores. The results show that strong correlations appeared on the results of the lead positions and the fourth position, and no correlation for second position and third relates to the game progress. There is possibility to predict game results and game progress based on short-score for each position.
著者
今枝 恒治 河合 敦夫 石川 裕司 永田 亮 桝井 文人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.13, pp.39-46, 2003-02-07
被引用文献数
2 6

本論文では,実際に日本語学習者の書いた作文を題材として,比較的書き誤る可能性の高い格助詞に対して,誤りの検出と訂正を行うシステムを構築した.この手法として,まずルールに基づいた処理をおこない,そこで検出・訂正できなかった誤りに対して,格フレーム照合をおこなう.格フレーム照合では,入力文の格フレームと辞書から得られる格フレームを比較することにより,誤りの検出および訂正をする.実験の結果として,75.6%の誤り検出率と,62.5%の誤り訂正率を得ることができ,本手法が,日本語学習者の書いた作文中の格助詞の誤り検出・訂正に有効であることを示すことができた.In this paper, we propose a method of detecting and correcting errors in usage of case particles in composition written by Japanese learners. The method has two major steps.In the first step, rules based on analysis of the composition detect and correct the errors. In the second step, a case frame dictionary is used to detect and correct the errors that the rules failed to detect. Those errors are corrected comparing the case frame of an input sentence with the case frames in the dictionary. As a result of experiments, 75.6% of rate of error detection and 62.5% of rate of error correction were obtained. The result shows that the method is effective to detect and correct errors of case particles in composition written by Japanese learners.
著者
前田 康成 後藤 文太朗 升井 洋志 桝井 文人 鈴木 正清 松嶋 敏泰
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.69-81, 2013-06-28 (Released:2017-09-04)
参考文献数
14

従来からマルコフ決定過程(MDP)を用いたロールプレイングゲーム(RPG)のモデル化が行われている.しかし,RPGの攻略法を能動的に学習する研究は行われていない.そこで,本研究では,真のパラメータが未知のMDPで表現されたRPGにおける期待総利得をベイズ基準のもとで最大にする攻略法を求める能動的な学習方法を提案する.シミュレーションをとおして,提案方法の有効性を確認する.
著者
前田 康成 後藤文太朗 升井 洋志 桝井 文人 鈴木 正清
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.1608-1616, 2012-06-15

従来からマルコフ決定過程(MDP)を用いたロールプレイングゲーム(RPG)のモデル化が行われている.従来研究ではRPGが部分的にモデル化されている.本研究では,MDPを用いてより一般的なRPGのモデル化を行う.最初にMDPの真のパラメータ既知の場合に相当するRPGについて,報酬の期待値を最大にするアルゴリズムを提案する.次にMDPの真のパラメータ未知の場合に相当するRPGについて,ベイズ基準のもとで報酬を最大にするアルゴリズムを提案する.次にMDPの真のパラメータ未知の場合に相当するRPGについて,学習データを用いて報酬を近似的に最大にするアルゴリズムを提案する.
著者
前田 康成 後藤 文太朗 升井 洋志 桝井 文人 鈴木 正清 松嶋 敏泰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.96, no.8, pp.572-581, 2013-08-01

近年,遊び手である人間の負荷を軽減することを目的に,遊び手が操作するキャラクタであるプレイヤキャラクタ(PC)以外にコンピュータが操作するキャラクタであるノンプレイヤキャラクタ(NPC)が導入されたロールプレイングゲーム(RPG)が増えてきた.従来からマルコフ決定過程(MDP)を用いたRPGのモデル化が行われているが,NPCを伴うRPGのMDPを用いたモデル化はまだ行われていない.そこで,本研究では,MDPを用いてNPCを伴うRPGのモデル化を行う.更に,MDPの真のパラメータ未知の場合に相当するNPCを伴うRPGについて,報酬の期待値をベイズ基準のもとで最大にする攻略法を算出するアルゴリズムを提案する.
著者
プタシンスキ ミハウ 桝井 文人
出版者
北見工業大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

本研究では,研究代表者が過去に開発した感情解析システムを融合し話者の感情状態を読み取り会話の場面に柔軟に順応する言語モデルを構築した.また大規模自然言語コーパスに適応し会話内の感情の働きを明らかにすることに貢献した.また,構築モデルを対話エージェントへ導入し,ネット上のいじめの対策という実世界問題へ応用した.話者における怒り,落ち込み等に着目し,いじめの行動を発見することが可能となったため,今後その技術の応用によってネットいじめ被害者数の減少に貢献したい.
著者
今枝 恒治 河合 敦夫 石川 裕司 永田 亮 桝井 文人
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.13(2002-CE-068), pp.39-46, 2003-02-07

本論文では,実際に日本語学習者の書いた作文を題材として,比較的書き誤る可能性の高い格助詞に対して,誤りの検出と訂正を行うシステムを構築した.この手法として,まずルールに基づいた処理をおこない,そこで検出・訂正できなかった誤りに対して,格フレーム照合をおこなう.格フレーム照合では,入力文の格フレームと辞書から得られる格フレームを比較することにより,誤りの検出および訂正をする.実験の結果として,75.6%の誤り検出率と,62.5%の誤り訂正率を得ることができ,本手法が,日本語学習者の書いた作文中の格助詞の誤り検出・訂正に有効であることを示すことができた.
著者
前田 康成 後藤 文太朗 升井 洋志 桝井 文人 鈴木 正清 松嶋 敏泰
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.69-81, 2013
参考文献数
14

従来からマルコフ決定過程(MDP)を用いたロールプレイングゲーム(RPG)のモデル化が行われている.しかし,RPGの攻略法を能動的に学習する研究は行われていない.そこで,本研究では,真のパラメータが未知のMDPで表現されたRPGにおける期待総利得をベイズ基準のもとで最大にする攻略法を求める能動的な学習方法を提案する.シミュレーションをとおして,提案方法の有効性を確認する.
著者
井須 尚紀 河合 敦夫 桝井 文人
出版者
Japan Society for Equilibrium Research
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.183-193, 2004 (Released:2009-06-05)
参考文献数
26

The sensation of rotation derived from the semicircular canal system during a Coriolis stimulus, or cross-coupled rotation, was estimated by an mechanical approach by giving some hypotheses and simplifications on the semicircular canal system. By solving an equation of motion of the endolymph during a Coriolis stimulus with a moderate time course, the rotating angle of the endolymph was obtained, and the sensation of rotation derived from each semicircular canal was estimated. Then, the sensation was integrated in the whole semicircular canal system, which was considered to be composed of three orthogonal semicircular canals. The sensation of rotation derived from the semicircular canal system comes into conflict with those from the otolithic and somatosensory system. The conflict causes an illusion such that the head rotates vertically while keeping inclination at a constant tilt angle. The nauseogenic severity of motion sickness caused by a Coriolis stimulus is enhanced in accordance with the integrated angle of rotation perceived by the illusion.
著者
上野裕暉 桝井文人 柳等 平田洸介
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.627-629, 2014-03-11

カーリングが五輪正式種目となってから,日本は毎回出場を果たしてきた.しかし,近年ではアジアにおいても中国や韓国が急速に力をつけており,日本チームの相対的な競争力低下が危惧されている. この状況を改善するための方策のひとつとして,我々はICTを利活用してカーリング戦術面を支援するカーリングインフォマティクス構想を掲げ,その第一ステップとして試合情報を逐次的に収集・解析するポータブルデータベースシステムを開発・運用し,その有効性を確認してきた. 本発表では,このシステムに加えた新たな機能および改良点について報告し,従来手法との比較分析によってそれらの有効性について議論する.
著者
山本 雅人 伊藤 毅志 桝井 文人 松原 仁
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.500-504, 2018-05-15

スポーツのカーリングを対象とした,ディジタルカーリングと戦術支援を行うためのカーリングAIの開発について解説を行う.カーリングAI「じりつくん」は,任意の局面に対して,そのエンド終了時の期待得点分布を予測することができ,それに基づいた勝率最大化となるプレイを出力することが可能である.平昌オリンピックでの試合を例にカーリングAIで分析した結果は多くの反響を呼び,カーリングAIが見積もる勝率などの情報は,観戦者の助けとなったり,試合における一進一退の攻防の魅力を伝えたりする有効な手段の1つとなりうることを示した.本稿では,特に「じりつくん」の概要と分析結果を中心に今後の方向性を含めて解説する.
著者
田添 丈博 椎野 努 桝井 文人 河合 敦夫
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.43-58, 2003-04-10 (Released:2011-03-01)
参考文献数
22
被引用文献数
1 3

我々は文章中に現れる比喩表現, その中でも直喩・隠喩的な比喩について, その認識・抽出を目的として研究を進めている. 本論文では, “名詞Aのような名詞B” 表現について, 名詞の意味情報を用いたパターン分類によって比喩性を判定し, 比喩表現については喩詞 (喩えるもの) と被喩詞 (喩えられるもの) とを正確に抽出できるモデルを提案する. この表現には比喩 (直喩) とリテラル (例示など) の2つの用法があり, また比喩であっても名詞Bが被喩詞ではない場合がある. 我々はそれらを機械的に判定するために, これまでに行ってきた構文パターンやシソーラスを用いて喩詞と被喩詞の候補を抽出する手法を発展させ, 名詞Aと名詞Bの意味情報やその関係に従って “名詞Aのような名詞B” 表現を6つのパターンに分類し, 比喩性を判定し喩詞と被喩詞を特定するモデルを構築した. このモデルを日本語語彙大系の意味情報を利用して実装し, 新聞記事データを用いて検証したところ, 得られたパターン分類結果 (比喩性判定結果) と人間のそれとが一致する割合は, 学習データについては82.9% (未知語データを除く), 評価用データについては72.7% (同) であり, 比喩性判定モデルの全体的な処理の流れは実際の文章中の比喩表現認識に有効であることを示した. また, 比喩語という比喩性を決定づける語についてもその効果を示すことができ, モデルへの組み込みの可能性を示唆した.