著者
庄司 和彦 藤田 修治 大森 孝一 辻 純 伊藤 壽一 本庄 巖
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.81, no.12, pp.1709-1713, 1988-12-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

Patients with multi-electrode cochlear implants can distinguish vowels well, but the ‘sounds’ they hear through this device are unknown. In order to simulate vowels through multielectrode cochlear implants, we synthesized waves which have translated formant frequencies using a computer and reverse fourier transformation .Through a digital-analog converter, we heard the synthesized sounds. Each sound is quite different from each vowel, but we can easily distinguish them from each other. With the use of this procedure, cochlear implants can be expected to be improved.
著者
高戸 毅 朴 修三 北野 市子 加藤 光剛 古森 孝英 須佐美 隆史 宮本 学
出版者
一般社団法人 日本口蓋裂学会
雑誌
日本口蓋裂学会雑誌 (ISSN:03865185)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.57-65, 1994-04-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
47

現在,口蓋裂は手術法の進歩,言語管理の徹底により,その多くが鼻咽腔閉鎖機能を獲得し,正常な構音発達を遂げている.初回手術のみで鼻咽腔閉鎖機能を獲得するものは90%前後とする報告が本邦では多い.残りの数%は,初回手術後も十分な鼻咽腔閉鎖機能が獲得できず,その多くは二次手術が必要となる.その際われわれは,鼻咽腔閉鎖機能改善を目的として,咽頭弁手術を行ってきた.鼻咽膣閉鎖機能不全が疑われる症例には,4~5歳に発音時にセファログラムおよび鼻咽腔ファイバースコープ下の鼻咽膣運動の評価を行い,鼻咽腔閉鎖機能不全症を最終的に判定し,咽頭弁手術を施行している.今回われわれは,就学前に咽頭弁手術を施行し,5年以上経過観察を施行した37症例について,術後の合併症および言語成績に関し検討を加えた.その結果,1年後に全例に開鼻声の減少などの改善を認め,日常会話レベルでも鼻咽腔閉鎖機能に問題が無くなったのは,二次手術例で約83%,5年後では約92%と良好な結果を示した.咽頭弁術後も閉鎖機能不全を残した症例で,術式による差は特に認められなかった.むしろ,こうした症例の多くに精神発達遅滞や,心奇形など,他に奇形を伴っていることが特徴的であった.合併症として,鼻閉・口呼吸が術後1年目で7例に,5年目でも4例に認められた.術後,呼吸困難や睡眠時無呼吸症を呈した症例はなかった.また術後5年目までに鼻咽腔閉鎖機能不全を再発した症例はなかった.今回の調査では,重篤な合併症は認められなかったが,扁桃肥大や小顎症などに対しては術前に睡眠時ポリグラフ検査などが必要と考えられる.また術後の顎発育抑制についても,慎重な経過観察が今後とも必要と考えられる.
著者
坂本 達則 菊地 正弘 中川 隆之 大森 孝一
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.147-150, 2020 (Released:2020-11-28)
参考文献数
6

耳管や破裂孔の周辺構造の内視鏡下局所解剖を明らかにするために,骨標本の観察およびカデバダイセクションを行った。破裂孔は蝶形骨,側頭骨,後頭骨に囲まれた不整形の穴である。内視鏡下に上顎洞後壁を除去すると,翼口蓋窩で顎動脈の分枝を確認できる。蝶形骨前壁の骨膜を切開すると,翼突管,正円孔を確認できる。蝶形骨の翼状突起基部・内側・外側翼突板を削開すると耳管軟骨が露出される。耳管軟骨は耳管溝と破裂孔を充填する線維軟骨に強固に癒着している。内視鏡で手術操作を行うとき,翼突管および破裂孔よりも尾側での操作を維持することで内頸動脈・海綿静脈洞の露出・損傷を防ぐことが出来ると考えられた。