著者
篠原 尚吾 山本 悦生 田辺 牧人 辻 純 宗田 由紀 坂本 達則 金 泰秀 寺下 健洋
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.92, no.7, pp.779-783, 1999-07-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

Papillary microcarcinomas (PMCs) which are 1.0cm or less in diameter are a specific subgroup of thyroid cancer. As the prevalence of these tumors found in autopsy cases was reported to be 10 to 28.4% in Japan, the necessity of surgical treatment of PMCs has been questioned. However, PMCs are often found in conjunction with advanced metastases in cervical lymph nodes, lung, etc..We reviewed eight cases with PMCs revealed by the presence of cervical metastases over the past 10 years. Five cases were revealed by manifest cervical lymph node metastases. Two of the other three cases were operated on for treatment of metastatic lesions subsequent to other diagnoses, notably a parotid tumor and lateral cervical cyst. The PMCs were revealed in a postoperative histological study of these two cases. The remaining case was discovered incidentally during neck dissection for laryngeal cancer. Preoperative ultrasonography was undertaken in seven cases. Two cases showed multif ocal small high echoic spots without tumors and one case showed no abnormal findings in the thyroid.In all cases, total thyroidectomy, unilateral or bilateral neck dissection and postoperative radioiodine scintigraphy were performed. Multifocal tumors in the thyroid were proven histologically in four cases. In one case, the primary lesion was not found even in a postoperative histological study.In accordance with these observations, PMCs revealed by cervical metastases shoul be treated as advanced thyroid carcinomas.
著者
坂本 達則 菊地 正弘 中川 隆之 大森 孝一
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.147-150, 2020 (Released:2020-11-28)
参考文献数
6

耳管や破裂孔の周辺構造の内視鏡下局所解剖を明らかにするために,骨標本の観察およびカデバダイセクションを行った。破裂孔は蝶形骨,側頭骨,後頭骨に囲まれた不整形の穴である。内視鏡下に上顎洞後壁を除去すると,翼口蓋窩で顎動脈の分枝を確認できる。蝶形骨前壁の骨膜を切開すると,翼突管,正円孔を確認できる。蝶形骨の翼状突起基部・内側・外側翼突板を削開すると耳管軟骨が露出される。耳管軟骨は耳管溝と破裂孔を充填する線維軟骨に強固に癒着している。内視鏡で手術操作を行うとき,翼突管および破裂孔よりも尾側での操作を維持することで内頸動脈・海綿静脈洞の露出・損傷を防ぐことが出来ると考えられた。
著者
古田 一郎 山本 典生 平海 晴一 坂本 達則 伊藤 壽一
出版者
日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.131-135, 2013-05-25
参考文献数
9

当科で経験した8例10耳の耳硬化症再手術症例につき検討した。10耳中2耳は再々手術例であった。初回手術から再手術までの平均期間は4年9か月で、再手術のきっかけとなった主訴は9耳が難聴で1耳がめまいであった。術中所見では8耳(80%)でピストンの脱落を認めたが、術前にコルメラの評価を行った側頭骨CTでは、5耳しかピストンの変位を指摘できなかった。術前、術後の聴力評価は気導3分法で行ったが、再手術により難聴を主訴にした9耳のうち7耳で15dB以上の聴力改善を認め、再手術による内耳障害等、重篤な合併症を認めた症例は1耳もなかった。このことより、耳硬化症術後に難聴をきたした場合は、再手術により聴力改善が大きく期待され、原因精査の意味も含め、積極的に再手術を行うべきだと考えた。
著者
伊藤 壽一 中川 隆之 田浦 晶子 山本 典生 坂本 達則 北尻 真一郎 平海 晴一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

根本的治療方法のない感音難聴に対して、その主要な責任部位である内耳蝸牛の発生メカニズムを解明し、内耳再生医療の確立を目指す本研究では以下の事を達成することができた。1.再生のための操作対象となる蝸牛内幹細胞群の同定、2.内耳発生に重要な役割を果たす新規遺伝子候補の同定、3.NotchシグナルやIGF1の内耳再生医療への応用、4.ヒトiPS細胞の有毛細胞への誘導プロトコールの改良。本研究で得られたこれらの成果を適切に組み合わせることにより、内耳再生医療のヒトへの応用に近づくことができると考えられる。
著者
伊藤 壽一 中川 隆之 平海 晴一 山本 典生 坂本 達則 小島 憲 田浦 晶子 北尻 真一郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究によって内耳発生に重要な因子が内耳再生医療に有用であることを発見した。細胞増殖制御因子p27Kip1を生後マウス蝸牛で抑制すると、増殖能がないとされていた生後哺乳類の蝸牛支持細胞が増殖した。HGFやEP4アゴニストが内耳障害の予防や治療に有用であることを発見し、そのメカニズムを解明した。Notchシグナルが、内耳内の細胞運命決定だけでなく感覚上皮前駆細胞の分化タイミングの制御や維持を担うことを発見した。