著者
佐藤 稔久 長谷川 国大 Wu Yanbin 木原 健 中野 公彦 楊 波 合田 美子 戸田 真志 松葉 龍一 新目 真紀 半田 純子 伊藤 誠 周 慧萍
出版者
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
雑誌
SIP成果報告書 (ISSN:27584089)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.1, pp.103-107, 2021 (Released:2023-03-31)
参考文献数
16

SIP第2期自動運転(システムとサービスの拡張)の“走行環境条件の逸脱や自動運転システムの機能低下における適切な運転引継のためのHMI等に関する研究開発”と“運転者や歩行者等が習得すべき知識とその効果的な教育方法に関する研究開発”の取り組みを概説する.前者では,自動運転から手動運転への運転交代前におけるドライバーの周辺監視状態の評価指標の検討や,HMIによるドライバーのシステム理解への効果の検討等に取り組んでいる.後者では,主な研究目的に基づき,(1)個人特性を踏まえた教育方法の提案,(2)動機づけ手法の提案,(3)部分教育を意識したモジュール化可能な完全教育教材の開発の3つの研究テーマを設定し研究を行っている.また,試作した教材を用いて,自動運転に関する一般的な知識を事前に提供することの効果についてドライビングシミュレータを用いた検証を行った.これらの成果をもとに,日独連携として自動運転と教育についてのワークショップを担当した.
著者
櫻井 孝 楊 波 高田 俊宏 横野 浩一
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.962-965, 2000-12-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
4
被引用文献数
4 5

アルツハイマー病脳ではグルコース代謝率の低下, 乳酸代謝率の上昇が知られている. そこで細胞外液のグルコース濃度を調節し, 或いは乳酸に置換した時の神経活動, シナプスの可塑性および神経の生存について検討を行なった. 神経活動は海馬の貫通線維を刺激して歯状回で記録される集合電位の振幅で評価した. 細胞外液のグルコースを除くと神経活動は非可逆性に抑制されたが, グルコースを乳酸に置換すると神経活動は一過性に抑制されたが自然に回復した. 一旦無グルコースから回復した海馬切片では乳酸による神経活動の抑制は見られなかった. シナプスの可塑性は長期増強現象の発現について検討した. 細胞外液に10mMグルコースが存在する時は高頻度刺激により約140%の長期増強現象を誘発したが, 乳酸では神経活動の増強は約110%に留まった. 次に海馬スライス培養系を用いて乳酸の神経生存に及ぼす作用を検討した. 培養24~48時間では Propidium iodide の取り込み, LDHの分泌は乳酸栄養での培養ではグルコース栄養での培養と同程度に抑制した. 以上の結果より神経細胞でグルコースの利用が障害された時, 乳酸は神経活動の維持に利用され, 神経細胞の生存にも寄与するが, シナプス可塑的現象 (長期増強現象) の発現には十分でないことが示された.