著者
横地 優子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

インド中世前期のシヴァ教研究は、この数十年の間に新資料の発見が相次ぎ大きく進展している。本研究者はそうした新資料の中から、一般信徒向けにシヴァ神話を初めて体系化した『スカンダプラーナ』の校訂研究を行う共同プロジェクトに参加してきたが、本研究課題ではその成果として第31~69章の校訂研究を第2B巻(共著)と第3巻(単著)として刊行し、成立年代等の基礎的研究をほぼ完了した。また、同文献に言及される北インドのシヴァ教聖地の現地調査を行い、文献成立時のシヴァ教の広がりを遺跡等の歴史資料で跡付けた。加えて、長編詩『カッピナ王の興隆』においてシヴァ教優位の下に仏教との共存が提唱されていることを解明した。
著者
水野 善文 藤井 守男 萩田 博 太田 信宏 坂田 貞二 臼田 雅之 石田 英明 宮本 久義 高橋 孝信 橋本 泰元 高橋 明 松村 耕光 横地 優子 山根 聡 萬宮 健策 長崎 広子 井坂 理穂
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

インドの多言語状況は、時代を通して地域的な多様性だけではなく社会的にも幾つかの層をなしていた。言語の差異を超えて愛好・伝承され続けてきた文学・文芸を対象に、古代から現代まで、多くの言語の各々を扱うことのできる総勢30名以上のインド研究者が共同して研究を進めた。その結果、民衆が自らの日常語による創作から発した抒情詩や説話、職業的吟遊詩人が担った叙事詩、それらをサンスクリット語で昇華させた宮廷詩人、さらには詩の美的表現法が現代の映画作りにも至っている、といったインドの人々の精神史の流れを解明できた。
著者
横地 優子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

インドでは3世紀以降の女神信仰をヒンドゥー教大伝統に融合する流れのなかで、雑多な個別の女神たちを統合する<女神>概念が生み出された。8~9世紀にはその極点として、宇宙の最高原理としての<至高女神>が成立したが、この<女神>は王権を支持基盤とする<戦闘女神>を核として、シヴァ教神話における<配偶女神>を統合し、宇宙に遍満するシヴァの力(シャクティ)という概念を教理的基盤とすることで成立しえたことを解明した。