著者
長崎 広子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

ヒンディー文学史上のバクティ期を代表するヒンドゥー教の詩人(トゥルシーダースとスールダース)とイスラム教の詩人(ラヒームとラスカーン)の交流を考察し、それを聖者伝と文体から明らかにした。四人の詩人たちの文体、中でも韻律を分析することで、トゥルシーダースが他の三人が得意としたパド、バルヴァイ、サワイヤーの韻律を取り入れ、より洗練させた形で自ら著していたことが成果として得られた。それを裏付けるように、トゥルシーダースはこれら三人の詩人すべてと接点があったことが『上人伝要解』という聖者伝に詳細に記されていることが分かり、古ヒンディー語アワディー方言のこの作品を解説をつけ、日本語に翻訳した。
著者
水野 善文 藤井 守男 萩田 博 太田 信宏 坂田 貞二 臼田 雅之 石田 英明 宮本 久義 高橋 孝信 橋本 泰元 高橋 明 松村 耕光 横地 優子 山根 聡 萬宮 健策 長崎 広子 井坂 理穂
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

インドの多言語状況は、時代を通して地域的な多様性だけではなく社会的にも幾つかの層をなしていた。言語の差異を超えて愛好・伝承され続けてきた文学・文芸を対象に、古代から現代まで、多くの言語の各々を扱うことのできる総勢30名以上のインド研究者が共同して研究を進めた。その結果、民衆が自らの日常語による創作から発した抒情詩や説話、職業的吟遊詩人が担った叙事詩、それらをサンスクリット語で昇華させた宮廷詩人、さらには詩の美的表現法が現代の映画作りにも至っている、といったインドの人々の精神史の流れを解明できた。