著者
小畑 大志 横川 正美 中川 敬夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.793-796, 2017 (Released:2017-12-20)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

〔目的〕低強度の呼気筋トレーニング(EMT)が,随意的咳嗽力の指標である咳嗽時最大呼気流量(CPF)に及ぼす即時効果を検討すること.〔対象と方法〕呼吸器,循環器の既往,喫煙歴のない健常男性21名を対象とした.背臥位にてEMTを実施し,その直後のCPFを測定した.EMTは最大呼気圧の15%の抵抗で,実施回数は10,20,30回の3条件とした.〔結果〕実施回数に関わらず,EMTを実施することで直後のCPFは向上した.10回と比較して20回および30回条件ではより強い疲労感がみられた.〔結語〕最大呼気圧の15%負荷にて10回EMTを行うことで,疲労感が少なく,かつCPFを増強させることが示唆された.
著者
辻 圭一 横川 正美 田中 正二 洲崎 俊夫 立野 勝彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.453-457, 2008 (Released:2008-07-28)
参考文献数
21

〔目的〕本研究では,車椅子を使用している片麻痺患者の座位姿勢中の座圧の特徴と,車椅子専用クッションが座圧に与える影響について検証した。〔対象〕対象は脳卒中片麻痺者9名で,歩行練習を実施している4名(片麻痺歩行群)と歩行練習を実施していない5名(片麻痺介助群)に分けた。また,麻痺がなく下肢筋力が低下した歩行困難な4名(筋力低下群)も調査した。〔方法〕被検者は標準型車椅子に‘クッション無し’と‘有り’の条件で各10分間座り,体圧分布測定装置で座圧を測定した。分析には座圧の体重補正値を用い,対応のあるt検定を用いた。〔結果〕クッション無しで非麻痺側と麻痺側を比較した結果,片麻痺歩行群では非麻痺側の座圧が有意に高かった。片麻痺介助群と筋力低下群にはそのような違いは生じなかった。クッション有りで片麻痺歩行群と介助群の非麻痺側と麻痺側を比較した結果,差は認められなかった。下肢筋力低下群の左右差もみられなかった。〔結語〕片麻痺者は障害の程度により座圧の特徴があることが示された。また,クッションの使用により,非麻痺側と麻痺側の座圧の偏りが解消することが示唆された。
著者
横川 正美 野本 あすか 佐々木 誠 三秋 泰一 井上 克己 洲崎 俊男 立野 勝彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.A0572, 2007

【目的】消化器系への血流分布や交感神経系の活動は、運動時と食後とでは対照的であり、食後の運動療法では時間帯や方法を考慮する必要がある。本研究では食後経過時間の違いが中等度運動時の代謝および心拍血圧反応に及ぼす影響を検討した。<BR>【方法】対象は研究内容について同意の得られた健常男性12名であった。運動は3分間のウォーミングアップの後、各自の60% peak Vo2強度の負荷量で15分間、自転車こぎ運動を行った。運動は食後30分後に行う「A条件」と、食後2時間後に行う「B条件」の2条件を設けた。2条件の測定順序はランダムとし、7~14日間の間隔を空けて別の日に測定した。対象者は測定前日夜より12時間以上の絶食とし、測定当日は午前中に食事摂取と運動行った。食事は市販されているカレーライス (500g、571kcal相当)を用いた。その主な栄養成分は糖質 114.5g、タンパク質 14.1g、脂質6.3gであった。食事の際の水分摂取は200-400mlの範囲であった。運動中は酸素摂取量、ガス交換比(R)、心拍数、酸素脈、収縮期血圧、拡張期血圧(DBP)、二重積を測定し、安静時、運動開始5分、10分、15分の値を算出した。統計学的分析は、Bonferroniの方法で条件内と条件間で各測定項目の平均値の比較を行った。<BR>【結果】条件内の比較では2条件ともに、DBP以外のすべての測定項目で運動中の値は安静時に比べて有意に増加していた(すべてp<0.001)。DBPは、A条件では安静時との間に有意差が認められた運動時間はなかった。運動開始15分は5分よりも有意に低く(p<0.05)、安静時よりも低値であった。B条件のDBPは運動開始5分が安静時よりも有意に高く(p<0.05)、5分以降は下降し、15分は10分よりも有意に低かった(p<0.05)。RはA条件では運動開始5分が1.086±0.052と最も高く、10分、15分と時間経過に従い低下し、すべての組み合わせで有意差が認められた(p<0.05)。B条件では運動開始5分が1.068±0.046と最も高く、10分、15分では5分よりも有意に低値を示した(いずれもp<0.001)が、10分と15分の間には有意差はなかった。条件間の比較では、Rの運動開始10分の時点にのみ有意差が認められ、B条件がA条件よりも低値であった(p<0.05)。<BR>【考察】今回の結果から、食後30分では運動初期に消化器系血管床の反応遅延や糖質代謝優位の影響により、食後2時間に比べて運動定常状態に至るまでに遅れが生じていることが示唆された。本研究では3分間のウォーミングアップを行ったが、食後十分な休憩をとらない時間に運動を行う場合、十分なウォーミングアップがより重要となると考えられた。
著者
橋本 直之 横川 正美 山崎 俊明 中川 敬夫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.AdPF1010, 2011

【目的】<BR> 高齢化の進行とともに認知症高齢者も増加し、その予防に対する取り組みが注目されている。歩行などの有酸素運動は認知機能を改善させるとの報告がある。一方、前頭前野は大脳後半部からの情報を把握、了解、統合、分析を伴う場所であり認知症と深く関係があるとされており、長期的な有酸素運動により前頭前野機能テストの改善が見られたなどの報告もされており、有酸素運動は脳機能向上に有用といえる。前頭前野が関与すると考えられている、運動および精神機能を評価する指標として、脳血流動態の測定があるが、脳血流は運動負荷により増加するとされて、運動強度の違いにより脳機能の向上に違いがある可能性がある。高齢者に対する運動療法では、軽負荷の運動プログラムの方が参加しやすく、運動強度の違いによる効果の違いを検証することは重要であると考える。そこで、本研究ではその予備的研究として若年健常者に対し、異なる運動強度で行った運動が高次脳機能にどの程度影響を及ぼすかについて比較&#8226;検討することとした。<BR>【方法】<BR>20歳代から30歳代の一般健常男性で研究内容に同意の得られた者30名(24.5±2.7 歳)を対象とした。最大運動能力測定(MVE)は自転車エルゴメーターを用い、症候限界性多段階運動負荷試験を行った。MVEは自覚症状の出現により駆動が困難となった時点、または運動の中止基準に該当する所見が出現した時点の負荷量とした。MVEの20%、40%、60%の負荷で運動を行う運動群とコントロール群の4群にランダムに振り分けた。運動群は15分間の自転車エルゴメーター駆動を行い、その前後にPaced auditory serial addition test(PASAT)およびPsychomotor Vigilance Task (PVT)を行った。コントロール群は自転車エルゴメーター上での安静座位を15分行い、その前後に運動群と同じテストを実施した。各群の前後のテスト成績の比較を二元配置分散分析で検討した後、多重比較検定を行った。有意水準は5%とした。<BR>【説明と同意】<BR>測定の趣旨&#8226;方法について口頭及び書面にて説明を行い、同意を得られた者を対象とした。本研究は所属する施設の医学倫理委員会の承認(承認番号257)を得て行った。<BR>【結果】<BR> 二元配置分散分析で交互作用を認めた項目はなかった。多重比較において、PASATでは20%、40%、60%MVEの各群で運動前と比べ運動後の方が、有意に点数が高かった(20%、40%:p<0.05、60%:P<0.01)。PASATの連続正解数では40%MVEでのみ有意な増加が見られた(p<0.05)。PVTの多重比較では、どの群においても運動前後で有意な変化を認めなかった。<BR>【考察】<BR>PASATの遂行時には前頭前野、左下頭頂小葉&#8226;左上、下側頭回が同時に、あるいはこのいずれかが関与していたと報告されており、テストにおける賦活領域は前&#8226;中大脳動脈の流域であると推察される。中大脳動脈は中等度運動時に脳血流が最大となる、あるいは低強度運動でも前頭機能の血流量が増大するという報告があり、今回の20%、40%、60%MVEの運動時にPASAT の点数が改善したことは、これらの報告と一致すると考える。今回一過性運動の効果の検証を行うため、運動の前後でテストを実施しており、慣れにより影響を受ける可能性が考えられた。コントロール群には増加傾向を認めたが、統計学的に有意な差を認めなかった。したがって、今回の結果より慣れによる点数の増加は否定できないが、運動による効果はあるものと考える。注意の要素としては(1)選択機能(2)覚醒ないし持続性注意(3)認知機能の制御があげられ、PASAT は注意の制御を評価するテストであり、PVTは注意の持続力&#8226;覚醒度を評価するテストである。今回の結果から一過性の運動は注意の制御により効果がある可能性が示唆された。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR>高齢者は軽負荷での運動の方が参加しやすいとされており、どの運動強度がより認知機能に効果を及ぼすかを検証することは重要である。本研究はその予備的研究としての意義を持つと考える。
著者
横川 正美 山田 正仁 菅野 圭子 柚木 颯偲 堂本 千晶 吉田 光宏 浜口 毅 高橋 和也 岩佐 和夫 駒井 清暢
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.E3P3233, 2009

【目的】認知症予防のための方法は種々報告されており、運動に関しては有酸素運動が効果的であるとされているが一定の見解には至っていない.本研究では地域住民を対象に有酸素運動を主体とした運動機能プログラムを実施し、その効果について同時期に行われた認知機能プログラムと比較検討した.<BR><BR>【方法】前年度に地域で実施された脳健診の受診者から、脳老化関連疾患の疑われる者および介入法参加に支障をきたすような身体疾患のある者を除き、臨床的認知症尺度(Clinical Dementia Rating; CDR)が0または0.5にあたる健常者または軽度認知障害者379名に本研究への参加を募った.参加への同意の得られた36名のうち、介入前後の評価を実施できた29名を本研究の対象とした.介入法はプログラムを2つ設け、参加者を無作為に振り分けた.一つは認知機能プログラム(n=12)で、認知症の前段階で低下しやすいと考えられている実行機能を重点的に高める内容として、A.ゲームやパズル、B.地域の地図作り、C.自助具技術の習得を行った.もう一つは有酸素運動を主体とした運動機能プログラム(n=17)で、A.体調確認、B.テレビ体操(ウォーミングアップ)、C.ウォーキング、D.柔軟体操(クールダウン)を行った.2つのプログラムはどちらも週1回約1時間で合計14回、4ヶ月間にわたって実施した.認知機能プログラムはAからCをそれぞれ4回程度ずつ費やして行い、運動機能プログラムはAからDを毎回行った.対象者には介入前後に認知機能検査としてファイブ・コグを施行した.<BR><BR>【結果】参加者の平均年齢は72.2±7.1歳、平均教育年数は10.4±2.3年であった.2つのプログラムの間で対象者の年齢、教育歴による差はみられなかった.参加者の年齢層や日常的な活動の幅を考慮して、運動プログラムでのウォーキングは10分より開始し、6回目より15分に延長した.実施期間中に体調不良を訴えた者はなかった.介入前後の認知機能検査において、認知機能プログラムでは「手がかり再生課題」が12.6±5.6点から17.0±5.7点へ、「動物名想起課題(言語流暢性課題)」が12.8±4.0点から16.4±2.9点へとそれぞれ有意に改善した(いずれもp<0.01).運動機能プログラムでは「手がかり再生課題」のみ、11.5±5.3点から16.2±5.3点へと有意に改善した(p<0.01).<BR><BR>【考察】認知機能検査において、両プログラムで「手がかり再生課題」が改善し、記憶機能の改善が示唆された.アルツハイマー病では初期に記憶機能が低下するとされている.記憶機能の改善が示唆された今回のプログラムはどちらも予防プログラムとして効果的であることが考えられた.その一方で運動機能プログラムでは認知機能プログラムで示された言語流暢性課題の改善は得られなかった.今後は運動内容の再考や、さらに対象者が今回のプログラムで獲得した体力を維持し、長期的に認知症予防に取り組めるような支援方法の検討が必要と考える.
著者
橋本 直之 横川 正美 山崎 俊明 中川 敬夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.377-381, 2013 (Released:2013-07-16)
参考文献数
23
被引用文献数
2 2

〔目的〕運動強度の違いが,脳血流と注意力に与える影響を検討すること.〔対象〕20~30歳代の健常男性30名.〔方法〕対象者を最高酸素摂取量に応じ20%群,40%群,60%群の各運動群と運動なしのコントロール群に振り分けた.近赤外分光装置にて,運動中の前頭葉領域の脳血流を測定し,運動前後にPaced Auditory Serial Addition Task(PASAT)とPsychomotor Vigilance Task(PVT)を行った.〔結果〕脳血流の変化量は,左右ともに60%群がコントロール群と20%群よりも有意に大きく,PASATの正解数は運動後に40%群と60%群で有意に増加した.〔結語〕60%群は前頭葉領域の血流を増加させるとともに注意機能を向上することが示唆された.
著者
横川 正美 菅野 圭子 柚木 颯偲 堂本 千晶 吉田 光宏 浜口 毅 柳瀬 大亮 岩佐 和夫 駒井 清暢 山田 正仁
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.E3O2227-E3O2227, 2010

【目的】昨年の日本理学療法学術大会において、地域住民を対象に認知症予防として実施した認知機能プログラムと運動機能プログラムの効果を調べたところ、前者のみならず、後者のプログラムでも記憶機能の改善が示唆されたことを報告した。本研究では、同様のプログラムを再度実施し、プログラムに参加していない対照群との比較を行った。<BR>【方法】一昨年度および前年度に地域で実施された脳健診の受診者から、明らかな脳疾患を有する者、および臨床的認知症尺度(Clinical Dementia Rating; CDR)が1以上のものを除いた806名に研究参加を募った。参加への同意が得られた37名のうち、介入前後の評価を実施できた31名を介入法の対象者とした。対照群として、本研究の趣旨を説明し協力の同意が得られたグループデイ参加者20名のうち、介入群と同時期に評価を実施できた13名を対象者とした。グループデイは概ね65歳以上で、週1回以上自主的に運営し活動するグループであり、本研究の介入法には参加していない。介入法では、参加者を無作為に2つのプログラムのうち、次のいずれかに振り分けた。一つは認知プログラム(n=17)で認知症の前段階で低下しやすいと考えられている実行機能を重点的に高める内容であり、具体的には旅行の計画立案と実施を行った。もう一つは運動プログラム(n=14)で認知機能に効果的とされる有酸素運動を主体としており、体調確認の後、準備運動、ウォーキング(10-15分)、柔軟体操を行った。2つのプログラムはどちらも週1回約1時間、合計8回実施した。介入法参加者と対照群には介入前後に認知機能検査としてファイブ・コグを施行した。<BR>【説明と同意】参加者に本研究の趣旨を説明し、書面にて同意を得た。本研究は所属する機関の医学倫理委員会の承認を得た。<BR>【結果】参加者の平均年齢は72.8±4.3歳、平均教育年数は10.0±2.0年であった。認知プログラム、運動プログラム、対照群の間で対象者の年齢、教育歴による差はみられなかった。ファイブ・コグの下位項目(運動、注意、記憶、視空間認知、言語流暢性、思考)の各評価得点について、2つのプログラムと対照群のうち、どれに参加したかという「プログラム」因子と、参加前か参加後かという「時間」因子による二元配置分散分析を行ったところ、交互作用が認められた項目はなかった。次に参加前、参加後の各評価得点をプログラム間で多重比較したところ、有意差が認められた項目はなかった。各プログラム内での多重比較では、認知プログラムにおいて、運動(22.4±5.6点→24.8±6.3点; p<0.05)と記憶(13.4±6.5点→17.1±6.1点; p<0.01)の得点が参加後、有意に改善した。運動プログラムにおいても同じく運動(19.4±6.5点→22.7±6.4点; p<0.01)と記憶(12.4±7.3点→15.6±5.7点; p<0.05)の得点が参加後、有意に改善した。対照群では、参加前後で有意に変化した項目はなかった。<BR>【考察】対照群では認知機能検査において有意な改善が認められた項目がなかったのに対し、認知プログラムと運動プログラムでは記憶の項目が改善した。2つのプログラムは昨年も同様の結果が得られている。プログラム間で改善した認知機能に差異がみられる傾向にあるが、どちらのプログラムも有効性が示唆されたことから予防事業で用いる場合に効果が期待できると考えられた。<BR>【理学療法学研究としての意義】運動療法を用いた認知症予防の方法を提案するためのエビデンスを蓄積する。
著者
山崎 俊明 横川 正美 立野 勝彦
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

リハビリテーション領域における重要な課題である廃用性筋萎縮の進行予防に焦点を絞り、筋萎縮進行中のストレッチ効果、および筋肥大効果が報告されているアドレナリン受容体作用薬(clenbuterol ; Cb)投与との併用効果を調べた。廃用性筋萎縮は、後肢懸垂法により作成し、2週間の実験期間を設定した。実験動物としてWistar系ラットを使い5群に分け、通常飼育群(CON)の他4群を実験群とした。実験群には後肢懸垂処置を行い、後肢懸垂群(HU)、1日1時間ストレッチ実施群(STR)、Cb投与群(Cb)およびストレッチとCb投与の併用群(STR+Cb)とした。分析は、形態評価および機能的評価を行った。タイプI線維断面積は、HU群はCON群の42%に減少したが、Cb群は81%、STR群は58%、STR+Cb群は74%であった。ストレッチ効果を認めたが、併用効果は認められなかった。筋線維タイプ構成比率は、Cb群で有意なタイプII線維比率の増加を認めたが、STR+Cb群では変化なく併用の有用性が示唆された。Cb群およびSTR+Cb群の筋収縮時間はCON群より有意に短縮し、HU群およびSTR群の収縮時間はCON群と差がないことから、Cb投与による悪影響として速筋化傾向が示唆された。単位断面積あたりの単収縮張力はSTR群がCON群と差がなく、しかもCb群より有意に大きい結果から筋伸張の効果が示唆された。実験群の筋原線維タンパク量(MP)は、CON群に比し有意に減少した。実験群間では、Cb群およびSTR+Cb群のMPがHU群およびSTR群より有意に大きく、Cb投与の効果が示唆された。以上の結果から、廃用性筋萎縮進行中のラットヒラメ筋に対する予防的介入方法として、Cb投与による断面積減少の抑制と、筋ストレッチによる伸張刺激の併用効果の有用性が示唆された。