著者
仲井 圭二 橋本 典明 額田 恭史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_136-I_140, 2014 (Released:2014-11-12)
参考文献数
7

Large seiches occurred in Kyushu and its peripheral areas in February and July, 2009. Nakai and Hashimoto(2011, 2012) reported that slight atmospheric pressure changes played very important roles for the seiches. Like the examples of 2009, seiches occur locally in limited areas in many cases. On the other hand, seiches occurred throughout Japan in November, 2004 and January, 2005. The authors analyzed the propagation direction and speed of slight atmospheric changes by F-K spectrum for these cases. Slight atmospheric changes propagated almost eastward and crossed the Japanese Islands quickly in 2009. But they propagated along the Japanese Islands to the northeast direction for a long time in 2004 and 2005. The propagation directions of slight atmospheric pressure changes affect the sea areas where seiches occur very much.
著者
竹田 聖二 井手 喜彦 児玉 充由 橋本 典明 山城 賢
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.I_907-I_912, 2021 (Released:2021-09-30)
参考文献数
9

地球温暖化に伴う台風の強大化等により高潮災害の激甚化が懸念されていることから,台風が来襲する数日前に高潮の規模及び発生時刻を予測するリアルタイム高潮予測の研究が行われている.しかし,台風時の気象予測は不確実性が大きく,気象外力に起因する高潮の正確な予測は難しい.不確実性を考慮した検討にはアンサンブル実験の実施が求められるが,膨大なケースの数値シミュレーションをリアルタイムで行うことは計算コストの観点から現実的ではない.そこで本研究では,ニューラルネットワークを用いて,台風予測の不確実性を考慮した確率論的リアルタイム高潮予測システムを開発した.本システムでは,生じうる高潮偏差を信頼区間とともに導出でき,自治体が住民に適切な行動及び対策を呼びかける際の新たな指針となり得る情報の提示が可能となる.
著者
松浦 邦明 鈴木 史朗 橋本 典明 本橋 昌志
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海洋開発論文集 (ISSN:09127348)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.85-90, 2006

We develop a real-time wave information and analysis system on the basis of a data assimilation technique, the optimum interpolation method, applied for wave observation data and forecasted data. The system can provide nowcast wave information for the sea area where there is no wave observation point. In the system, first, the initial estimate (nowcast) is computed in real-time with the observation data and forecasted information, and then the estimate is corrected after 12 hours with more accurate forecasted wave information. Finally, the corrected data is stored in the wave information database for analysis. We investigate the characteristics of the nowcast wave data and confirmed that the accuracy of the data is high enough for practical applications.
著者
橋本 典明 川口 浩二 河合 弘泰 松浦 邦明 市川 雅史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.176-180, 2003-10-10 (Released:2010-03-17)
参考文献数
5
被引用文献数
1

1951~2000年の50年間に日本付近に来襲した台風データに基づいて確率台風モデルを改良した. 本研究では, 台風位置 (緯度, 経度) の時間変化量の偏差を2次元ARモデルにより季節別にモデル化した. 一方, 台風中心気圧・最大風速半径に関しては, 1次元ARモデルにより季節別にモデル化した. このモデルを用いて, モンテカルロシミュレーションを行った結果, 台風経路の再現性が改善され, 台風中心気圧の平面分布は概ね実データのそれと一致した. また, 過去50年間に伊勢湾に接近した台風の最大気圧降下量も, 実データは概ねシミュレーションの標偏差内に入っていることから, 本研究で改良・構築した確率台風モデルは妥当なモデルであると考えられる.
著者
鮫島 和範 仲井 圭二 内藤 了二 川口 浩二 額田 恭史 橋本 典明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_527-I_532, 2018 (Released:2018-09-12)
参考文献数
7

副振動について,これまで余り注目されなかった周期と振幅との関係に関する解析を行い,平均周期が大きい地点ほど,無次元振幅の散らばりが小さいことが分かった.また,無次元周期の出現頻度が高い階級では,無次元振幅の平均値は周期や地点に依らず1に漸近する.仲井ら1)2)は,気象庁の振幅5 cm以上の観測資料を用いて,個々の副振動の出現特性を示す確率密度関数の形等により,全国の地点を3種類に分類した.本研究では,港湾局の5地点において観測されたデータを対象に確率密度関数を算出したところ,気象庁のA群の形とほぼ一致した.平均振幅が小さい地点について,5 cm以上のデータだけを用いて確率密度関数を計算すると,真の確率密度関数からずれるということを仲井ら2)は指摘していたが,このことが港湾局のデータにより確認できた.
著者
田辺 智子 山城 賢 島田 剛気 横田 雅紀 橋本 典明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.I_421-I_425, 2013 (Released:2013-11-12)
参考文献数
7
被引用文献数
1

Recently, due to global warming, there are growing concerns about possible tremendous storm surge disasters which might be caused by furious typhoons more than ever. Actually, however, even in the present climate conditions, there were some typhoons which might be able to cause severe disasters if it were in the worst case scenario, for example typhoon 1216. Fortunately, the typhoon 1216 didn't cause serious damage in the Ariake Sea since its track was away from Kyushu district. In this paper, we conducted several storm surge simulations with the parameters of the typhoon 1216 by assuming several different typhoon tracks including the worst track. The results show that the maximum storm tide would exceed the existing disaster prevention plan even in the present climate conditions if it had passed in the worst track.
著者
仲井 圭二 橋本 典明 額田 恭史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_318-I_323, 2016 (Released:2016-08-30)
参考文献数
3
被引用文献数
1

副振動は西日本での出現が話題になることが多いが,全国的に発生している現象である.しかし,全国での出現特性を調べ,その海域特性について検討された例は少ない.そこで,本研究では,気象庁の検潮所における観測資料を用いて,全国沿岸における副振動の出現特性を調べた. 副振動の出現回数の経年変化は,地点によって異なり,近傍の地点でも必ずしも良く似ているとは限らない.逆に距離が離れていたり,海域が異なったりする2地点でも,特性が似ている場合がある. 一方,出現回数の季節変化をみると,北海道や沖縄,内湾の一部を除き,全国的に非常に似た特性を示す.副振動の原因となる低気圧や台風の影響は,毎年局地的に変動するが,長期間を通してみると,全国的にほぼ同じであるということができる.
著者
村上 佳菜子 橋本 典明 木戸 尚治 平野 靖 間普 真吾 近藤 堅司 小澤 順
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

近年,Deep Learningを用いた医用画像の解析の手法が多く提案されており,その中でも画像認識に優れているCNNが用いられることが多い.CNNを用いてびまん性肺疾患を識別する際,陰影ごとに関心領域を切り出す必要がある.しかし,びまん性肺疾患の診断においては識別とともに検出が重要である.そこで本研究では,関心領域を設定せず,CT画像からびまん性肺疾患の領域を検出・抽出する方法を提案する.本研究では,U-NetとFCNを用いて6つの陰影パターンの領域抽出を試み,CNNと比較した.
著者
横田 雅紀 安部 雄太郎 山城 賢 橋本 典明 永井 紀彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海洋開発論文集
巻号頁・発行日
vol.24, pp.435-440, 2008

The current measurements have been carried out by NOWPHAS at several stations in the coastal area around Japan since 1996. In the data, temporal but simultaneous changes in residual currents were recognized at several stations in the Japan Sea side. The cause of this temporal change was deduced to be due to the strong currents caused by typhoon approach. In this study, attention was paid especially on the period of typhoon approach, and the occurrence characteristics of the strong currents in the offshore area was investigated based on the data of wind speed, the atmospheric pressure and the typhoon track provided by Japan Meteorological Agency.<BR>As a result, it was found that typhoon approach contributes to the generation of the offshore strong current in many cases. In addition to this, it was also found that the current velocity increases in the area where wind blows for a long time in the same direction. Furthermore, it was also observed that the strong current is likely to appear at more than two stations during the typhoon.
著者
河合 弘泰 橋本 典明 山城 賢
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.311-315, 2008
被引用文献数
1

While a typhoon is approaching, the necessity of disaster prevention works in ports is often judged from the highest storm water level in the storm surge simulation for several probable typhoon tracks. Since the actual water level seldom reaches the highest one predicted, the accumulation of such an experience causes carelessness in persons in charge of disaster prevention. The probability density distribution of the storm water level predicted is useful information for them to estimate the possibility of disaster in their ports. This study, therefore, simulated the storm surge in Seto Inland Sea for 109 typhoon tracks crossing or passing by the prediction circle of typhoon location and then discussed on the variation of the range and the accumulative probability density distribution of the storm water level with lead time until the typhoon arrival.
著者
田辺 智子 山城 賢 島田 剛気 横田 雅紀 木梨 行宏 橋本 典明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.I_1000-I_1005, 2013 (Released:2013-09-13)
参考文献数
6

有明海は,高潮の危険性が高い海域の一つであり,さらに将来的には温暖化による高潮リスクの増大が懸念されていることから,特に背後に低平地を有する湾奥部の沿岸では,高潮・高波に対する防災対策が重要である.本研究では有明海湾奥部の沿岸防災に資する知見を得ることを目的に,海岸堤防に沿った複数の地点で潮位観測を実施し,湾奥部の高潮の増幅特性等について検討した.加えて,非構造格子モデルFVCOMを用いて観測期間に来襲した台風1216号について高潮推算を行い,湾奥部の高潮増幅率をより詳細に検討した.台風1216号のように有明海の西側を台風が北上すると,湾奥部で高潮が大きく増幅される場合があることが,潮位観測および高潮推算結果より具体的に示された.
著者
橋本 典明 河合 弘泰 松浦 邦明
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1221-1225, 2005
被引用文献数
1

過去半世紀間において日本列島の南方海域では, 台風の平均中心気圧が低下してきた. また, 気象庁のRCM20で予測した100年後の気圧や風の日平均データから台風を抽出し, その属性を統計解析すると, 今後100年間に九州南部などでは平均中心気圧が低下する可能性があり, その一方で, 本州の東部や日本海における変化は少ないことが分かった. さらに, 地球温暖化の影響の一つとして, 台風属性の時間変化量の平均場が緯度・経度方向に平行移動すると仮定し, 確率台風モデルによって将来に発生する台風の属性を与えた. そして, そのような平均場の移動によって, 三大湾の周辺に来襲する台風の中心気圧や風速の極値が変化することを示した
著者
橋本 典明 山城 賢 横田 雅紀 河合 弘泰 川口 浩二
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

大気・海洋間の運動量輸送を支配する海面抵抗係数の暴風時における特性を定量的に解析可能な方法として,数値モデルを介して複雑なシステムの内部構造を推定する立場から,データ同化技術(4次元変分法)を利用した新しい解析法を開発した。また,種々の条件で本方法の精度や適用性を検討した。その結果,本方法は,観測が極めて困難な暴風時の海面抵抗係数を,暴風域外で観測された波浪観測データから逆推定可能であることを示した。