著者
河田 恵昭 奥村 与志弘 越村 俊一 藤間 功司 永井 紀彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.261-265, 2004

2003年十勝沖地震津波は我が国の津波予警報システムの盲点を突いた. 気象庁は地震発生4時間後に警報を解除し, それに同調して沿岸部自治体は避難勧告を解除した. しかし, その後になってエッジ波が最大波に匹敵する波高を伴って来襲した. 本研究では, エッジ波の防災上の問題点に着目し, エッジ波の予測に必要な条件を求めた. また, 北海道太平洋岸で発生し得る巨大地震を想定し, 大陸棚上にエッジ波が発生する場合の津波予警報解除の基準を求めるための基礎資料を得た. 特に, 室蘭-浦河間と浦幌-花咲間の予報区では発震後6時間は津波警報・避難勧告の維持が必要であることが分かった.
著者
永井 紀彦 川口 浩二 吉村 豊 鷲尾 朝昭 谷川 亮一 青木 功
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_905-I_910, 2012

海洋構造物への外力条件として重要となる洋上風の乱れについて,大水深沖合観測点で波浪と洋上風の同時観測を実施しているGPS波浪計による観測データをとりまとめ,洋上風の乱れ強度の出現特性を検討した.すなわち,青森東岸沖、三重尾鷲沖、和歌山南西沖および高知西部沖の各GPS波浪計による観測データに関して,2008年における20分間単位の年間上位500観測の有義波高を記録した高波浪時を抽出し,洋上風の平均風速・乱れ強度および有義波高・周期との関係を整理した.各種波浪パラメータと洋上風の乱れ強度との相関性は必ずしも高くなかったが,強風時に乱れ強度が比較的大きな値を示す出現頻度は,北方向のフェッチが大きい観測点ほど,大きくなる傾向が見られた.
著者
水井 真治 笹 健児 日比野 忠史 永井 紀彦 清水 勝義 富田 孝史
出版者
広島商船高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

港湾計画においては構造強度や海洋環境など様々な観点から多面的に検討されるが,その中でも最も重要な指標の一つに港内静穏度,特に波浪や風による影響の検討がなされる.瀬戸内海など外洋に面していない海域の港湾の場合,波浪条件が静穏であることから外洋性港湾ほど詳細な安全性の検討がなされているとは言い難い.しかし,著者らは瀬戸内海における港湾において,強潮流時にも船舶が運用困難となる事例から潮流による運用困難な影響も詳細に検討する必要性を示した.当初は潮流による船体運動への影響評価として,静止した船舶が潮流を受けた場合に移動する距離を潮流条件ごとに比較検討した.しかし,実際には船体が桟橋に着桟する局面では舵とプロペラの力を用いて姿勢制御を行う操船方法であり,これらの影響を考慮した船体運動の数値解析法は検討できていない.潮流が卓越する中で運用せざるを得ない港湾の運用限界を定量的に評価するため,舵とプロペラによる操船制御の動作を考慮した船体運動の解析手法へ改良する必要があると考えられる.瀬戸内海の船舶運航者を対象に潮流下での運用の困難度をアンケート調査で把握し,港湾運用の現状を改めて整理した.これをもとに前報で対象とした潮流影響が顕著な離島航路のフェリー港湾まわりの潮流・水質調査を大潮日に数回実施した.さらに潮流中における着桟操船時の船体運動について,舵力,プロペラ推力,ポンツーン衝突時のエネルギー吸収などの影響を再現できる数値計算法の開発を実施し,再現精度を検証するとともに強潮流下における港湾での新たな運用限界の検討方法を提案した.この結果,実際の着桟局面での船体運動を定量的に評価することが可能となり,強潮流が卓越する港湾での運用の困難度を評価する一手法を確立することができた.
著者
笹 健児 久保 雅義 永井 紀彦 米山 治男 白石 悟 水井 真治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.1291-1295, 2004-10-08 (Released:2010-06-04)
参考文献数
7

外洋性港湾に船舶が入出港するときの安全性について, 前報では大型フェリーが着離岸するときにRollによって作業困難となる状況を定量化した. 本研究では, 港外から港内に至る入出港の全局面で発生する船体動揺を連続的に再現できる数値解析手法の構築を行った結果, 沖合観測波形, 港湾・船型データ, 操船データをもとに着離岸局面を含めた入出港時の船体動揺を実用上十分な精度で再現できることを検証した. さらに着離岸時の作業困難度を定量的に評価できる「着離岸困難度関数」を新たに定義しその有効性を検討した. さらに海域, 港湾, 船型が異なるケースにおいても船体動揺の現地観測を実施し, 入出港の困難さを支配する諸要因について考察した.
著者
岩崎 峯夫 永井 紀彦 清水 勝義 安立 重昭
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.1416-1420, 2006-10-10 (Released:2010-06-04)
参考文献数
4

検潮井戸がローパスフィルターとして機能するため, 周期数分から数十分程度の津波に対しては, その周波数応答特性を把握しないと津波高を過小評価することがある. しかし, 周波数応答特性を算定する実務的手法は, 確立されていない. また, 検潮井戸の導水管は, 土砂の堆積等によって目詰まりが進むため, 定期的な清掃を行い, 副標観測によって清掃の効果を検証をする. しかし, 副標観測は, 長時間を必要とする問題がある. このため, 検潮井戸を線形2次のローパスフィルターと仮定し, 模型実験でその線形性を確認し, ステップ応答測定により, 短時間で検潮井戸の周波数応答特性を計測するシステムを開発した.
著者
森 信人 Janssen Peter A.E.M. 川口 浩二 永井 紀彦
出版者
日本流体力学会
雑誌
日本流体力学会年会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, 2007

Quasi-resonant four-wave interactions may influence the statistical properties of deep water surface gravity waves such as a freak wave. The freak wave prediction method developed by Mori and Janssen (2006) based on the quasiresonant wave theory is compared with Europian Centre for Meidum Range Weather Forecasts wave analysis data. Mori and Janssen (2006) model shows low correlation of kurtosis with the observed wave data, although the observeda data show the significant correlation between H_<max> and kurtosis.
著者
永井 紀彦
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.457-470, 2002 (Released:2013-02-19)
参考文献数
13

This paper introduces characteristics of waves and tides as physical phenomena, and coastal observation system of waves and tides in Japan. Although waves and tides are both periodical sea-surface motion, as their periods are different, different methods are applied for their observation.NOWPHAS (Nationwide Ocean Wave information network for Ports and HArbourS), Japanese coastal wave observation system, are mainly consist of the sea-bed installed type wave gauges. Due to the development of the Doppler-type Wave Directional Meter (DWDM) and continuous tsunami and infra-gravity wave observation and analysis system, and due to the establishment of the Coastal Wave Center (Coastal Wave Information Department of the Coastal Development Institute of Technology), NOWPAHS made remarkable changes during the last decade.Tidal observation has been conducted mainly by using the Float-type Tide Gauges all over the Japanese coasts with installation of tide wells. Recently new simple tide observation methods without necessity of tide well construction are studied and developed such as the On-air-type acoustic tide gauge.
著者
吉岡 健 坂本 登 川口 浩二 永井 紀彦 仲井 圭二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_808-I_813, 2016 (Released:2016-08-30)
参考文献数
5

北九州市沖海域では現在,洋上風力発電設備の合理的な計画・設計に資することを目的とした実証研究が進められている.本稿では特に他海域(ナウファス各地点)との比較に主眼を置き,洋上風車の維持管理に重要となるアクセス性すなわち静穏度について,太平洋側と日本海側で季節によって大きな違いがあることを示す.続いて,支持構造物の耐波・耐風設計に重要となる両作用の同時生起性について,擾乱毎の有義波高と10分平均風速の相関係数を調べるとともに,両作用の簡易な組合せ方法を提案する.
著者
安田 公昭 本巣 芽美 深田 亮平 永井 紀彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_1-I_6, 2015
被引用文献数
1

本稿では,洋上ウィンドファーム事業を推進するため必要となる合意形成と行政手続きについて,岩船沖洋上風力発電事業を事例として,現状の課題を示し,課題解決のための提言を行った.当該事業と漁業との共生の将来像を明らかすることをめざして,合意形成のための研究会や市民および漁業者との話し合いの中で,事業者による売電収益の地元還元の具体的な方法を検討し,スキームをとりまとめた.予定海域に港湾法を活用する可能性を視野に入れ,事業者の選出までを村上市で責任を持って実施する体制を考案した.すなわち,村上市に推進委員会を設置することを条例で定め,同委員会のなかに評価委員会をおいた.評価委員会は,FSの手順書を作成し,その手順書に従って村上市は事業者を公募した.
著者
鈴木 高二朗 永井 紀彦 柳嶋 慎一 久高 将信 小川 路加
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海洋開発論文集 (ISSN:09127348)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.129-133, 2008 (Released:2010-08-25)
参考文献数
8

Ocean wind is larger and more suitable for wind farm than inland wind. Recently, ocean wind farm has been constructed in Europe using 5MW wind power facility. Japan is surrounded by ocean and seems to be suitable for construction of ocean wind farm. However, the amount of the shallow and low wave energy area for ocean wind farm is limited except semi-enclosed bay like Tokyo bay.When we see Tokyo bay, shallow area (shallow more than 15m) is located north of Futtsu Point in Chiba prefecture. Such a shallow area is near to urban area, so the construction cost seems to be lower. In this paper, feasibility study on the ocean wind farm north of futtsu point in Tokyo bay is done compared with the other coasts of Japan.
著者
安田 公昭 本巣 芽美 深田 亮平 永井 紀彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_1-I_6, 2015 (Released:2015-09-04)
参考文献数
5
被引用文献数
1

本稿では,洋上ウィンドファーム事業を推進するため必要となる合意形成と行政手続きについて,岩船沖洋上風力発電事業を事例として,現状の課題を示し,課題解決のための提言を行った.当該事業と漁業との共生の将来像を明らかすることをめざして,合意形成のための研究会や市民および漁業者との話し合いの中で,事業者による売電収益の地元還元の具体的な方法を検討し,スキームをとりまとめた.予定海域に港湾法を活用する可能性を視野に入れ,事業者の選出までを村上市で責任を持って実施する体制を考案した.すなわち,村上市に推進委員会を設置することを条例で定め,同委員会のなかに評価委員会をおいた.評価委員会は,FSの手順書を作成し,その手順書に従って村上市は事業者を公募した.
著者
横田 雅紀 安部 雄太郎 山城 賢 橋本 典明 永井 紀彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海洋開発論文集
巻号頁・発行日
vol.24, pp.435-440, 2008

The current measurements have been carried out by NOWPHAS at several stations in the coastal area around Japan since 1996. In the data, temporal but simultaneous changes in residual currents were recognized at several stations in the Japan Sea side. The cause of this temporal change was deduced to be due to the strong currents caused by typhoon approach. In this study, attention was paid especially on the period of typhoon approach, and the occurrence characteristics of the strong currents in the offshore area was investigated based on the data of wind speed, the atmospheric pressure and the typhoon track provided by Japan Meteorological Agency.<BR>As a result, it was found that typhoon approach contributes to the generation of the offshore strong current in many cases. In addition to this, it was also found that the current velocity increases in the area where wind blows for a long time in the same direction. Furthermore, it was also observed that the strong current is likely to appear at more than two stations during the typhoon.
著者
笹 健児 寺田 大介 永井 紀彦 河合 弘泰
出版者
公益社団法人 日本航海学会
雑誌
日本航海学会論文集 (ISSN:03887405)
巻号頁・発行日
vol.120, pp.99-106, 2009
被引用文献数
1

From viewpoint of a ship safety and a cargo management, the examination of a criterion of judge of ferry cancel is carried out, based on both observed ship motions when the ship encounters a typhoon and coastal wave data at that time. Ship motions are observed by using 5,000GT type ferry boat. And as the wave data, coastal waves that recorded with NOWOHAS instead of the encounter wave which can not be measured, are used. These data are analyzed by Spectral Analysis and the characteristics are analyzed in detail. Moreover, numerical reproductions of ship motions based on observed coastal waves are carried out, and a couple of future problems with respect to the decision of the criterion of judge of ferry cancel are considered.