著者
永井 紀彦 川口 浩二 吉村 豊 鷲尾 朝昭 谷川 亮一 青木 功
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_905-I_910, 2012

海洋構造物への外力条件として重要となる洋上風の乱れについて,大水深沖合観測点で波浪と洋上風の同時観測を実施しているGPS波浪計による観測データをとりまとめ,洋上風の乱れ強度の出現特性を検討した.すなわち,青森東岸沖、三重尾鷲沖、和歌山南西沖および高知西部沖の各GPS波浪計による観測データに関して,2008年における20分間単位の年間上位500観測の有義波高を記録した高波浪時を抽出し,洋上風の平均風速・乱れ強度および有義波高・周期との関係を整理した.各種波浪パラメータと洋上風の乱れ強度との相関性は必ずしも高くなかったが,強風時に乱れ強度が比較的大きな値を示す出現頻度は,北方向のフェッチが大きい観測点ほど,大きくなる傾向が見られた.
著者
橋本 典明 川口 浩二 河合 弘泰 松浦 邦明 市川 雅史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.176-180, 2003-10-10 (Released:2010-03-17)
参考文献数
5
被引用文献数
1

1951~2000年の50年間に日本付近に来襲した台風データに基づいて確率台風モデルを改良した. 本研究では, 台風位置 (緯度, 経度) の時間変化量の偏差を2次元ARモデルにより季節別にモデル化した. 一方, 台風中心気圧・最大風速半径に関しては, 1次元ARモデルにより季節別にモデル化した. このモデルを用いて, モンテカルロシミュレーションを行った結果, 台風経路の再現性が改善され, 台風中心気圧の平面分布は概ね実データのそれと一致した. また, 過去50年間に伊勢湾に接近した台風の最大気圧降下量も, 実データは概ねシミュレーションの標偏差内に入っていることから, 本研究で改良・構築した確率台風モデルは妥当なモデルであると考えられる.
著者
森 信人 Janssen Peter A.E.M. 川口 浩二 永井 紀彦
出版者
日本流体力学会
雑誌
日本流体力学会年会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, 2007

Quasi-resonant four-wave interactions may influence the statistical properties of deep water surface gravity waves such as a freak wave. The freak wave prediction method developed by Mori and Janssen (2006) based on the quasiresonant wave theory is compared with Europian Centre for Meidum Range Weather Forecasts wave analysis data. Mori and Janssen (2006) model shows low correlation of kurtosis with the observed wave data, although the observeda data show the significant correlation between H_<max> and kurtosis.
著者
吉岡 健 坂本 登 川口 浩二 永井 紀彦 仲井 圭二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_808-I_813, 2016 (Released:2016-08-30)
参考文献数
5

北九州市沖海域では現在,洋上風力発電設備の合理的な計画・設計に資することを目的とした実証研究が進められている.本稿では特に他海域(ナウファス各地点)との比較に主眼を置き,洋上風車の維持管理に重要となるアクセス性すなわち静穏度について,太平洋側と日本海側で季節によって大きな違いがあることを示す.続いて,支持構造物の耐波・耐風設計に重要となる両作用の同時生起性について,擾乱毎の有義波高と10分平均風速の相関係数を調べるとともに,両作用の簡易な組合せ方法を提案する.
著者
嶋田 進 大澤 輝夫 往岸 達也 菊島 義弘 小垣 哲也 川口 浩二 中村 聡志
出版者
一般社団法人 日本風力エネルギー学会
雑誌
風力エネルギー (ISSN:03876217)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.A_29-A_35, 2014

Vertical wind speed profiles near the coast were observed using a Doppler Light Detection and Ranging (LIDAR) system at the Hazaki Oceanographical Research Station (HORS) from September 17 to 26, 2013. In order to investigate the impact of atmospheric stability, wind profiles observed at HORS were compared with a log profile model (theoretical wind profile model), which did not consider atmospheric stability. The wind shear was smaller in the observed profiles when the wind came from sea to land, and larger when it came from land to sea. It was also found that the wind profiles included an obvious diurnal cycle when the wind came from land to sea. The results for this study indicate that atmospheric stability is a significant factor when determining the coastal wind profiles, not only when the wind comes from sea sectors, but also from land sectors.
著者
鮫島 和範 仲井 圭二 内藤 了二 川口 浩二 額田 恭史 橋本 典明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_527-I_532, 2018 (Released:2018-09-12)
参考文献数
7

副振動について,これまで余り注目されなかった周期と振幅との関係に関する解析を行い,平均周期が大きい地点ほど,無次元振幅の散らばりが小さいことが分かった.また,無次元周期の出現頻度が高い階級では,無次元振幅の平均値は周期や地点に依らず1に漸近する.仲井ら1)2)は,気象庁の振幅5 cm以上の観測資料を用いて,個々の副振動の出現特性を示す確率密度関数の形等により,全国の地点を3種類に分類した.本研究では,港湾局の5地点において観測されたデータを対象に確率密度関数を算出したところ,気象庁のA群の形とほぼ一致した.平均振幅が小さい地点について,5 cm以上のデータだけを用いて確率密度関数を計算すると,真の確率密度関数からずれるということを仲井ら2)は指摘していたが,このことが港湾局のデータにより確認できた.
著者
関 克己 河合 弘泰 川口 浩二 猪股 勉
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_965-I_970, 2012

全国港湾海洋波浪情報網(NOWPHAS)は,1970年に5地点で波浪観測を開始し,現在では20地点以上で30年以上のデータを蓄積している.このデータから気候変動の検出も試みられてきたが,地点毎の解析では統計的なバラツキが大きいこともあって気候変動指標との明確な相関性を捉えられなかった.そこで本研究では,日本海側を3海域,太平洋側を4海域にまとめ,季節毎に気候変動指標との相関性を調べた.その結果,(1)平均有義波高と最も相関性の高い気候変動指標は海水温である,(2)平均有義波周期は平均有義波高に比べて気候変動指標との相関が高く,特にNPIとの相関性は全海域を通じて高い,(3)最大有義波高と最大有義波周期は台風上陸個数との相関が最も高い,(4)高波擾乱回数は台風上陸個数やSOIとの相関が高い,ことが分かった.
著者
山田 浩章 松下 泰弘 井岡 良太 平野 辰昇 川口 浩二 猪股 勉
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_19-I_24, 2015
被引用文献数
1

GPS海洋ブイは,現在,国土交通省港湾局のナウファスの「GPS波浪計」として日本全国に18基設置され,沖合の大水深海域で波浪の定常観測を実施している.GPS海洋ブイは津波観測も可能であり,東日本大震災による大津波発生時には,岩手県釜石沖などに設置されていたGPS波浪計が津波を観測し,気象庁の津波警報の更新に利用されたが,津波をより早期に観測するには更に沖合にGPS海洋ブイを設置する必要がある.しかし,従来のGPS海洋ブイではGPS測位法と無線通信によるデータ伝送の制限から設置可能距離は沖合20km程度までであった.本稿では,更なる沖合観測のために開発した新型GPS海洋ブイの概要と実海域での実証実験の状況について報告する.
著者
橋本 典明 山城 賢 横田 雅紀 河合 弘泰 川口 浩二
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

大気・海洋間の運動量輸送を支配する海面抵抗係数の暴風時における特性を定量的に解析可能な方法として,数値モデルを介して複雑なシステムの内部構造を推定する立場から,データ同化技術(4次元変分法)を利用した新しい解析法を開発した。また,種々の条件で本方法の精度や適用性を検討した。その結果,本方法は,観測が極めて困難な暴風時の海面抵抗係数を,暴風域外で観測された波浪観測データから逆推定可能であることを示した。