著者
伊藤 富造 本田 秀之 富永 健 巻出 義紘 八巻 竜太郎 中澤 高清 橋田 元 酒井 均 提 眞 蒲生 俊敬
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.49-61, 1989-12
被引用文献数
2

1988年5月21日に, 三陸大気球実験場でクライオジェニックサンプラーを用いて成層圏大気採取実験を行なった。高度19kmから30kmにわたる7高度で採取された大気の精密分析を行った結果, CFC-11,CFC-12,CFC-113,CCl_4,CH_3CCl_3,CO_2,CH_4,δ^<13>C, δ^<18>Oの高度分布が得られた。
著者
菅原 敏 橋田 元 石戸谷 重之 並木 道義 飯嶋 一征 森本 真司 青木 周司 本田 秀之 井筒 直樹 中澤 高清 山内 恭
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.77-87, 2005-02

第45次南極地域観測隊行動の一環として,南極昭和基地においてクライオジェニックサンプラー回収気球実験が実施された.実験は2回実施され,2003年12月26日と2004年1月5日にそれぞれ気球が放球され,高度10kmから30kmにおいて成層圏の大気サンプルを採取することに成功した.大気サンプルの採取が終了した後,観測器はパラシュートによって海氷上に着地し,無事にヘリコプターで回収された.日本に持帰った後にサンプル容器の内圧を計測したところ,採取された成層圏大気サンプルの量は,9〜18L(STP)であり,さまざまな大気成分の分析をするために十分な量のサンプルが得られていた.今後進められる分析の結果を,1998年の実験結果と比較することにより,南極成層圏における大気成分の長期変動などが明らかにされるものと期待される.
著者
山内 恭 和田 誠 塩原 匡貴 平沢 尚彦 森本 真司 原 圭一郎 橋田 元 山形 定
出版者
国立極地研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

両極におけるエアロゾルの航空機集中観測を通じ、極域のエアロゾルにとって、南極・北極ともに,大気の長距離輸送過程が支配的であることが明らかになり、気候影響の大きい黒色炭素の問題等も興味ある発展が期待される。1.16年度5〜6月に、ドイツ、アルフレッド・ウェーゲナー極地海洋研究所(AWI)と共同で、同航空機2機を使った「北極対流圏エアロゾル雲放射総合観測(ASTAR 2004)」を実施した。航空機による散乱係数,吸収係数とも汚染の度合いの高かった北極ヘイズの活発な時期であったASTAR 2000の3〜4月の結果に比べいずれも低めの値が示されたほか、黒色炭素粒子が硫酸液滴に取り込まれた内部混合粒子が卓越することが明らかにされた。また、地上では降水に伴うエアロゾルの除去過程が観測され、エアロゾルと雲の相互作用が類推された。2.18年12月から19年1月にかけて、引き続きAWIの航空機による南極域での「日独共同航空機大気観測(ANTSYO-II)」を実施した。大西洋セクターではノイマイヤー基地を中心に内陸のコーネン基地まで、合計22フライトを実施し、インド洋セクターの昭和基地側では大陸上S17拠点をベースに内陸、海洋上水平分布と鉛直分布を取得する観測飛行を合計15フライト実施した。エアロゾルの物理、光学、化学特性の3次元分布を得たと共に、温室効果気体の鉛直分布を得るための大気試料採取も行った。南極大陸沿岸域でも、西経側に位置するノイマイヤー基地周辺では、大気が南極半島側から輸送されることが多く、一方東経側に位置する昭和基地では、南大洋を越え南米大陸からの輸送が多いことが、エアロゾルの性質を特徴づけていること、さらに昭和基地近傍で内陸からの大気の中にも黒色炭素の多いエアロゾルが見られることが明らかになった。そのほか、昭和基地観測、海鷹丸観測と併せ、海洋起源物質の寄与の解明も期待される。
著者
原 圭一郎 林 政彦 塩原 匡貴 橋田 元 森本 真司
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

南極で出現するヘイズの物理的・化学的特性、空間分布、出現頻度に関する知見を得るために、昭和基地において、エアロゾル・ガスの同時観測を実施した。得られた観測データと過去のデータの再解析から、強風下で起きる海氷域からの海塩粒子放出がヘイズ現象の主要因であることが示された。ヘイズの出現頻度は7-9月に増加しており、海氷面積の季節変化との対応が確認された。ヘイズ層は主に地上近傍~2kmの高度で観測されることが多かったが、4kmまでエアロゾル層が広がった例も確認された。極夜明け時期(8-10月)のヘイズ現象時にオゾン濃度も確認されたことから、ヘイズ現象は大気化学過程と密接に関連していることが示唆された。