著者
江頭 亨 高山 房子
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.120, no.4, pp.229-236, 2002-10-01
被引用文献数
4

種々の疾患の因子となる酸化ストレスの原因物質であるフリーラジカルの生体内での動態を知るには,不対電子の電子スピン共鳴を測定する電子スピン共鳴法(electron spin resonance, ESR法)が最適である.しかし,ESRでは直接フリーラジカルを測定出来ないので,寿命が短いフリーラジカルを捕捉するために,スピントラッピング法が開発された.トラップ剤がフリーラジカルとすばやく反応し,スピンアダクトを生成する.このスピンアダクトをESRで測定し,得られたスペクトルから捕捉したフリーラジカルを同定することが出来る.X-バンドESRを用いたin vitroの測定では,スピントラップ剤として5,5'-dimethyl-1-pyrroline-<i>N</i>-oxide(DMPO)やα-phenyl-<i>N</i>-<i>t</i>-butylnitrone(PBN)が用いられ,スーパーオキシドやヒドロキシルラジカルを捕捉し,特有のスペクトルを示す.この方法はラジカル消去物質(抗酸化物質)の検索にも利用されている.また,これらを酸化ストレス病態モデル動物に投与し,血中および臓器中のラジカルを検出することも可能である.一方,in vivoでは,L-バンドESRをもちいて,安定なラジカルであるニトロキシルラジカルをスピンプローブとして投与し,そのニトロキシルラジカルのシグナル強度の減衰から生体内ラジカルの動態,生体内抗酸化力などを検討している.この系を用いて生体内のフリーラジカルの発生や酸化ストレスを非侵襲的に丸ごとの動物で測定可能である.最近ではこのスピンプローブを用いて,酸化ストレス病態モデル動物の臓器別画像化にも成功しており,将来ヒトでもESR-CT(ESR-computer tomography)によってフリーラジカルの発生部位や発生量が画像化され,臨床応用も可能になるものと期待されている.<br>
著者
高野 和郎 坂田 暉英 福山 公基 太田 宏 前田 洋 李 雅弘 尾上 保夫 青木 隆一 高場 利博 岩堀 嘉和 松下 功 金子 和義 三富 静夫 唐沢 弘文 藤井 浩一 森本 和大 石井 淳一 上村 正吉 藤巻 悦夫 村田 恒雄 森 義明 菅谷 修一 西堀 実 薄井 武人 安藤 公信 清田 卓也 熊谷 日出丸 前田 正雄 鈴木 庸之 本多 儀一 門馬 満 藤本 昇 安藤 光彦 口石 将博 崔 相羽 高須 克弥 平井 啓 小池 勝 平塚 進 鈴木 武松 土持 喬 初鹿野 誠彦 津田 紘輔 諸岡 俊彦 藤井 陽三 清水 一功 八田 善夫 直江 史郎 坂木 洋 海老原 為博 太田 繁興 佐々木 彰 村山 義治 塚田 政明 清水 晃 山口 明志 江頭 亨 坂本 利正 渡辺 佐 加藤 水木 片桐 敬 吉田 文英 小島 昭輔 新谷 博一 鈴木 孝臣 金沢 英夫 落合 泰彦 堀坂 和敬 藤巻 忠夫 平木 誠一 橋本 敏夫 加藤 国之 石井 靖夫 菅 孝幸 赤坂 裕 今村 一男 甲斐 祥生 中西 欽也 太田 繁興 近藤 常郎 落合 元宏 松井 恒雄 依田 丞司 吉田 英機 丸山 邦夫 池内 隆夫 入江 邦夫 佐々木 彰 清水 晃 鈴木 周一 坂木 洋 塚田 政明 秋田 泰正 森 弘道 天野 長久 本多 平吉 山口 明志 坂本 利正 安達 浩行 草ケ谷 雅志 高野 和郎 中川 克宣 鶴岡 延熹 小野 充 阿万 修二 植原 哲 渋谷 徹 桑原 紘一郎 小黒 由里子 後藤 晋 島袋 良夫 安藤 彰彦 国枝 武幸 今西 耕一 小田切 光男 鄭 政男 佐川 文明 田代 浩二 大瀬戸 隆 菅沼 明人 町田 信夫 前田 尚武 小泉 和雄 鈴木 一 安藤 弘 山崎 健二 井出 宏嗣 福山 公基 木村 明夫 小林 祐一郎 狩野 充二 長嶺 安哉 木村 明夫
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.30, no.12, pp.820-825, 1970