著者
池上 良正 中村 生雄 井上 治代 岡田 真美子 佐藤 弘夫 兵藤 裕己 松尾 剛次 池上 良正 中村 生雄
出版者
駒澤大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

「供養の文化」を日本の民俗宗教の重要な特徴のひとつとして位置づけることによって、古代・中世から近現代にいたる、その歴史的変遷の一端を解明することができた。さらに、フィールドワークを通して、中国・韓国を含めた現代の東アジア地域における「供養の文化」の活性化や変貌の実態を明らかにした。
著者
池上 良正
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.193-217, 2012-09-30 (Released:2017-07-14)

日本語の「無縁供養」は、系譜上の祀り手を失った死者のほか、戦乱・事故・自然災害などの災禍によって非業の死をとげたと見なされた人々を追弔・慰撫する言葉として用いられている。広くは「苦しむ死者」を救済する代表的な言葉である。「死者供養」を東アジアで形成され民衆層に普及した、ユニークで動態的なひとつの「救済システム」として捉えるとき、そこには、(A)親孝行や先祖の孝養という側面と、(B)何らかの未練や怨念を残した死者(苦しむ死者)たちの救済という側面の二面性を指摘できるが、「無縁供養」に代表される(B)の「苦しむ死者の救済」は、このシステム全体を存続させる原動力を供給し続けてきたことが注目される。本稿ではこの「無縁供養」の構造と展開過程を考察する。そこに潜在していた「無遮」と「無主」との有機的な動態性は、救済システムとしての「死者供養」が広く民衆層に定着するさいの原動力になっていた、という見通しを示す。
著者
池上良正 [ほか] 編集
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
2003
著者
何 燕生 末木 文美士 佐藤 弘夫 池上 良正
出版者
郡山女子大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

栄西や道元、円爾などの入宋僧の精神世界について、実地調査に基づきながら、文献学および宗教学の視点から再検討し、中世宗教研究の新たな展開を図かろうとした。具体的には、まず入宋僧たちが当時訪れたとされている現在中国の杭州や寧波、天台山、普陀山などの地域の寺院におけるそれぞれの足跡を実際に調査し、経済成長と宗教復興が進む近年において、それらの遺跡が一体どのような現状におかれているかを確認した。次はそれらに対する分析を踏まえつつ、歴史的、宗教的コンテキストに即して総合的な理解を試みようとした。さらには、仏教学や日本思想史などの諸分野による関連研究とも連携し、可能な限り学際的に検討することを目指した。
著者
佐々木 伸一 渡邊 欣雄 池上 良正 黄 強 志賀 市子 河合 洋尚 曹 建南
出版者
京都外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、1990年代以降中国各地において顕著に見られる宗教復興の諸状況について人類学的なフィールド調査を行い、そこで得られた民族誌的資料をもとに、宗教を「象徴資本」として活用する国家や地方エリートの政策的側面と、それに対する宗教、とりわけ民俗宗教の職能者や信者たちとの複雑多岐にわたる相互作用によって構築される側面に焦点をあてつつ分析を行った。その結果、中国における宗教実践構築の諸相、及び宗教の象徴資本化の歴史性や政治性を明らかにした。