著者
岩田 明彦 河合 潤
出版者
公益社団法人 日本分析化学会 X線分析研究懇談会
雑誌
X線分析の進歩 (ISSN:09117806)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.125-139, 2011-03-31 (Released:2023-11-29)
参考文献数
5

2種類の異なった色合いの合金からできた硬貨(バイカラー硬貨,Bi-colour coin)は,その色調や質感に似通ったものが多く,多くの硬貨が類似の合金を使用していると思われる.代表的なバイカラー硬貨であるユーロ硬貨は異なった国々で製造されているが,EUの統一された規格のもとに製造され当然その元素組成も規定されている.近年,ハンドヘルド型のエネルギー分散型蛍光X線装置(ED-XRF)の普及により,金属種や合金種の判別は容易に行えるようになったが,同じ種類の合金の産地判別などの試みは行われていない.今回,波長分散型蛍光X線分析法(WD-XRD)を用い,これらの類似したバイカラー硬貨と,統一された規格に従い異なった国で製造されたユーロ硬貨について,製造国の判別が可能であるかの検証を行った.
著者
三谷 祐史 細江 浩典 安井 敬三 林 優子 小坂 香織 古野 泰大 犬塚 加菜 河合 潤也
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに】リハビリテーション(以下リハ)病院入院時のFIMにおいて軽症群の自宅退院率が高いことは言われているが,軽症にも関わらずリハ病院から自宅退院できなかった症例について検討した報告は渉猟したがなかった。【目的】当院の脳卒中地域連携パス(以下連携パス)を調査し,軽症にも関わらずリハ病院から自宅退院できなかった要因について検討すること。【対象及び方法】対象は2011年4月から2015年3月に当院から,連携パスを用いてリハ転院し,リハ病院から連携パスを回収でき,かつ記載不備のなかった1189名のうち,リハ病院入院時FIM91以上の399例とした。それをFIM別に91-100(以下91群)101-110(以下101群),111-120(以下111群),121-126(以下121群)の4層に分け,さらにリハ病院からの転帰で自宅退院群(以下退院群)と非退院群に分け,それぞれの特徴を回収された連携パスを基に調査した。調査項目は,年齢,当院ならびにリハ病院の在院日数,リハ病院退院時FIM(以下退院時FIM),FIM利得,FIM効率とした。検定には分散分析を行い,多重比較にはTukey法を用いた。有意水準は5%未満とした。【結果】退院群/非退院群は343/56例で,それぞれ91群95/24,101群100/22,111群107/6,121群41/4であった。各項目の平均値は,91群,101群,111群,121群の順に,年齢(歳)が72.0/67.6,73.4/63.9,64.4/67.7,60.8/62.0。当院在院日数(日)が28.2/27.7,27.4/32.6,25.4/24.3,25.7/29.3。リハ病院在院日数(日)が64.8/67.9,52.9/62.4,48.9/55.8,38.3/61。退院時FIM(点)が110.2/107.6,116.2/113.9,121.3/119.5,123.6/124.5。FIM利得(点)が154/12.3,10.5/8.6,6.1/4.2,0.2/2.3。FIM効率(点)が0.27/0.19,0.22/0.19,0.14/0.11,0.03/0.04であった。同じ層内での退院群-非退院群間には全ての項目で有意差は見られなかった。退院群内では,当院在院日数に有意差は見られなかったが,91群121群間でそれ以外の全項目で有意差が見られ,91群111群間では年齢,当院在院日数以外の項目に有意差が見られた。その他,各群間で有意差が散見された。【考察】軽症患者の機能的転帰や予後については,概ねリハ病院入院FIMに準ずることが示唆された。軽症でも非自宅退院となった具体理由を見てみると,再発及び他院での治療を要する他疾患合併によるバリアンス例が全群で13例あった。それ以外では,91群,101群において,入院期間が60日上限の施設へと転出され,60日後に転院となった例が半数近くを占めていた。これらの症例は運動失調や失語症が残存する例,若年で職業復帰を目指す症例などが散見された。その他では,同居者なしや生保にて施設入所となった例,精神症状により転院となった例などが見られたが大きな傾向はつかめなかった。【結論】同程度のFIMであっても,合併症や症状,家庭環境などによって治療が長期化する傾向が見られ,転院先を考慮する必要があると考えられた。
著者
河合 潤
出版者
化学同人
雑誌
化学 (ISSN:04511964)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.23-25, 2007-05
著者
河合 潤子
出版者
椙山女学園大学
雑誌
椙山女学園大学研究論集 : 人文科学篇・社会科学篇・自然科学篇 = Journal of Sugiyama Jogakuen University. Humanities, Social sciences, Natural sciences (ISSN:24369632)
巻号頁・発行日
no.54, pp.63-74, 2023-03-01

1日3食を食べる習慣は,鎌倉時代から始まり,江戸時代後期には定着したと言われる。しかし,1回の食事が整っているわけではなく餅2個や饅頭,粥などの軽食ですませているため,現代の3食とはかなりかけ離れている。小腹がすいたら食べるという軽食感覚であったと考えられる1)。江戸では,参勤交代による単身赴任の武士が外で飲食をする機会も増え,味噌をはじめ様々な調味料や文化が開発,発展していったとされている。 そこで,本研究では,一般的に家庭で作られていた伝統的な調味料である味噌の中でも,塩分含量が少なく甘味の強い「江戸甘味噌」に注目した。江戸甘味噌の特徴,調製方法,さらに当時作られていた料理を当時の書物から時代背景を加味して取り入れた。しかし,いろいろな方法が記されていたため,現代の家庭でも可能な方法で調整した。調整した江戸甘味噌はくせの無い香りや旨味があり,特に独特の甘みには腸内環境にも好影響をもたらすイソマルトースが含まれていた。今後,健康への取り組み,食文化の継承保持からも江戸甘味噌普及に向けた取り組みは重要と考える。
著者
今宿 晋 大谷 一誓 河合 潤
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.100, no.7, pp.905-910, 2014 (Released:2014-06-30)
参考文献数
23
被引用文献数
1 2

We have recently realized an electron probe microanalyzer (EPMA) and cathodoluminescence (CL) spectrometer with a palm-top size chamber including the electron source and the sample stage using a pyroelectric crystal as the electron source. In the present study, we carried out microanalysis and elemental mapping using the portable EPMA and CL spectrometer. As for the portable EPMA, the electron beam bombarded a sample and the wall of the stainless steel chamber due to using a LiTaO3 single crystal with a cuboidal shape. The electron beam was focused on the sample by setting a metal needle on the pyroelectric crystal and covering the needle holder with an insulating material. The spot size of the focused electron beam was 300 μm. We succeeded in elemental analysis in micro-scale region using the focused electron beam. The portable EPMA can also detect light elements such as Mg, Al and Si by introducing the X-ray detector into sample chamber. The portable CL spectrometer can detect ppm order of rare-earth elements in a mineral ore. The portable CL spectrometer can also perform an elemental mapping of rare-earth elements by capturing a CL image with CMOS camera.
著者
河合 潤 山田 隆 藤村 一
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.183-186, 2004 (Released:2004-09-13)
参考文献数
16
被引用文献数
13 15 7

A potable X-ray fluorescence spectrometer composed of an electric battery X-ray generator and a silicon drift detector was made. Several kinds of samples, including toxic elements, such as lead and cadmium, were measured in air using this spectrometer. A possibility to analyze these toxic elements is discussed. It has been demonstrated that sufficient intensity for lead and cadmium was obtainable within 100 seconds to identify these elements.
著者
三浦 裕一 石川 正道 竹之内 武義 小林 礼人 大西 充 吉原 正一 桜井 誠人 本多 克也 松本 昌昭 河合 潤
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-100, 2005-03

1990 年代に行われた宇宙実験によって,ピストン効果は,臨界点近傍において普遍的に成立する臨界減速(critical slowing down)に桁違いの速さで熱を伝える効果をもち,結果的に熱輸送は臨界加速(critical speedingup)するメカニズムとして作用することが明確となった.その速さは音速によって規定され,対流,拡散,輻射とは異なる,第4 の熱輸送メカニズムとして認知されるに至った.宇宙実験と平行して発展したピストン効果の理論的検討は,ピストン波が加熱ヒーターの境界層で断熱膨張によって励起され,バルク流体中を高速に伝播することを明らかにした.このような研究の進展において,次の点がいまだ不十分であることが明らかとなった.(1)これまで行われたピストン波の観測は,高々ビデオ収録の時間分解能(1/30 秒)の範囲であり,音速(〜 100 m/s)から見積もられる進行速度と比較すると,実際に観測された現象は試料セル内を数100 往復した後の現象しか捉えていない.すなわち,ピストン波の素過程を直接見たとは言えず,平均化された間接的な効果しか見ていない.(2)実験的に実現された臨界温度への接近は,高々T - T_C 〜 30 mK であり十分臨界点に近いとは言えない.(3)小貫による精密な動的臨界現象理論によると,ピストン波に強い影響をもつ体積粘性係数(bulk viscosity)は,臨界温度T_C に十分近づいた場合に強く発散する.しかしながら,これまでのピストン効果の実験研究では,このような効果に関する観測事実は全く報告されていない.すなわち,理論と実験的事実とが食い違っている,あるいは実験が理論に追いついていない.そこで,我々の研究の目的は,上記の研究の不足を克服することを目的として,(1)音速で伝播するピストン波の素過程を直接観測する.(2)臨界温度への接近は,T - T_C 〜 1 mK を実現する.(3)ピストン波の直接観測により,ピストン波の熱輸送量をT - T_Cを関数として定量的に計測する.これによって,動的臨界現象理論が成り立つかどうかを検証する.このような高精度の実験を前提とした研究目的を実現するためには,微小重力環境を利用することは不可欠である.特に,理論と実験との食い違いを克服し,新規な動的臨界現象理論を実証するためには,重力効果による未知の効果を取り除き,不必要な可能性を排除することは極めて重要である.本研究では臨界流体を用いた欧州のフライト実験で観測されているピストン効果について,その素過程からの解明を目指した地上実験を実施してきた.我々が技術開発を進めた結果,多段の熱シールドからなる温度制御・測定系を構築し,常温において± 1 mK の精度で温度制御することが可能となり,マイクロ秒レベルのパルス加熱によって,臨界点近傍で相関距離に近い厚みの熱拡散層を励起できるようになった.さらに,マイケルソン干渉計とフォトマルを組み合わせた光学測定系を構築し,相対密度感度7 桁の精密測定によりマイクロ秒のオーダーでの高速現象の観測を可能にした.このような技術開発は,従来の実験技術を格段に上回るものであり,従来全く得ることができなかったピストン波の特性を定量的に測定することを可能とし,ピストン波の発信に伴うエネルギー輸送の効率計測,流体全体が音速で瞬時に均一に温度上昇する断熱昇温現象の観測,また,理論的にのみしか予想されていなかった臨界点に極めて近い領域における動的な輸送係数の発散を初めて観測するなど,極めて多くの知見を得ることに成功した.また,臨界点近傍のピストン効果ダイナミクスは重力に強く影響することも明らかにし,微小重力実験の有望性を実証した.このような技術開発の蓄積を踏まえ,ロケット実験を想定した実験装置の小型化およびリソースの軽減,臨界流体を扱う場合避けることのできない臨界タンパク光散乱によるSN 比の低下を回避するための宇宙用赤外干渉計の新規開発,試料充填時における臨界密度の設定誤差低減に関する試料取り扱い技術の向上,実験計画の作成など,宇宙実験実施に関わる中核技術の開発と運用構想を作成し,その有望性を評価した.