著者
津田 智史
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 = Bulletin of Miyagi University of Education
巻号頁・発行日
vol.52, pp.9-17, 2018-01-31

本稿は、ことばの教育としての国語教育を目指し、そのために何が必要であるかを明らかにするものである。ことばの教育のためには、なにより日本語学(理論面)と国語科教育(実践面)の協働が必要である。知識の精選が日本語学分野には求められ、国語科教育分野には、知識の理解と授業の工夫が求められる。殊に、文法教育においては、暗記に偏向しない授業の工夫検討が必要である。その点で、両分野共に、協働と意識改革の姿勢が必要となることを示す。
著者
松田 裕之 矢原 徹一 竹門 康弘 波田 善夫 長谷川 眞理子 日鷹 一雅 ホーテス シュテファン 角野 康郎 鎌田 麿人 神田 房行 加藤 真 國井 秀伸 向井 宏 村上 興正 中越 信和 中村 太士 中根 周歩 西廣 美穂 西廣 淳 佐藤 利幸 嶋田 正和 塩坂 比奈子 高村 典子 田村 典子 立川 賢一 椿 宜高 津田 智 鷲谷 いづみ
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.63-75, 2005-06-30
被引用文献数
20

【自然再生事業の対象】自然再生事業にあたっては, 可能な限り, 生態系を構成する以下のすべての要素を対象にすべきである. 1生物種と生育, 生息場所 2群集構造と種間関係 3生態系の機能 4生態系の繋がり 5人と自然との持続的なかかわり 【基本認識の明確化】自然再生事業を計画するにあたっては, 具体的な事業に着手する前に, 以下の項目についてよく検討し, 基本認識を共有すべきである. 6生物相と生態系の現状を科学的に把握し, 事業の必要性を検討する 7放置したときの将来を予測し, 事業の根拠を吟味する 8時間的, 空間的な広がりや風土を考慮して, 保全, 再生すべき生態系の姿を明らかにする 9自然の遷移をどの程度止めるべきかを検討する 【自然再生事業を進めるうえでの原則】自然再生事業を進めるうえでは, 以下の諸原則を遵守すべきである. 10地域の生物を保全する(地域性保全の原則) 11種の多様性を保全する(種多様性保全の原則) 12種の遺伝的変異性の保全に十分に配慮する(変異性保全の原則) 13自然の回復力を活かし, 人為的改変は必要最小限にとどめる(回復力活用の原則) 14事業に関わる多分野の研究者が協働する(諸分野協働の原則) 15伝統的な技術や文化を尊重する(伝統尊重の原則) 16目標の実現可能性を重視する(実現可能性の原則) 【順応的管理の指針】自然再生事業においては, 不確実性に対処するため, 以下の順応的管理などの手法を活用すべきである. 17事業の透明性を確保し, 第3者による評価を行う 18不可逆的な影響に備えて予防原則を用いる 19将来成否が評価できる具体的な目標を定める 20将来予測の不確実性の程度を示す 21管理計画に用いた仮説をモニタリングで検証し, 状態変化に応じて方策を変える 22用いた仮説の誤りが判明した場合, 中止を含めて速やかに是正する 【合意形成と連携の指針】自然再生事業は, 以下のような手続きと体制によって進めるべきである. 23科学者が適切な役割を果たす 24自然再生事業を担う次世代を育てる 25地域の多様な主体の間で相互に信頼関係を築き, 合意をはかる 26より広範な環境を守る取り組みとの連携をはかる
著者
安島 美穂 津田 智 平塚 明
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.15-21, 2000
被引用文献数
3

&nbsp;&nbsp;1.岩手県釜石市東前地区のスギ林で1987年4月22日に発生した山火事跡地の焼失半年後と焼失1年半後,および対照地で埋土種子集団を調査し,山火事後の埋土種子集団の変化を明らかにした. <BR>&nbsp;&nbsp;2.対照地の埋土種子密度は1862.4粒/m^2で,スギが圧倒的に多く,そのほかタチツボスミレ,ヨウシュヤマゴボウなど30種が検出された. <BR>&nbsp;&nbsp;3.焼失当年の土壌サンプルからは8種, 1280.0粒/m^2の種子が検出されたが,粒数の85.3%はツユクサが占め,スギの種子は検出されなかった. <BR>&nbsp;&nbsp;4.焼失翌年の埋土種子集団は,密度は前年と同様だったが,種数は20種に増加した. <BR>&nbsp;&nbsp;5.焼失翌年には,焼失当年に著しく増加したツユクサが減少し,焼失以前に比較的多数含まれていたスギなどの種が増加の傾向を示した. <BR>&nbsp;&nbsp;6.火事後2年目の埋土種子集団には,撹乱直後に成立した群落構成種により生産された種子とともに,周辺の非撹乱地から散布された種子が参入することが明らかになった.