- 著者
-
浦野 真弥
浦野 紘平
- 出版者
- 社団法人 環境科学会
- 雑誌
- 環境科学会誌 (ISSN:09150048)
- 巻号頁・発行日
- vol.28, no.5, pp.383-391, 2015-09-30 (Released:2016-08-01)
- 参考文献数
- 38
PCB含有安定器の処理が進んでいない原因等を検討するため,まず,届出数の経年変化情報を収集し,都道府県別の人口と届出数との関係を指数関数で近似し,7道県が周辺の他県に比べて届出数が推算値より特に少なく,九州・沖縄地区は全体に届出数が推算値より少ないこと等を明らかにした。その上で,中間貯蔵・環境安全事業(株)が示している安定器処理計画と処理費用を解析し,1個あたりの処理費が8.4万円程度となること,都道府県ごとの処理経費を推算し,全数処理には5,000億円以上の経費を要すること,さらに,東京都内の安定器保管数情報から,数億円から数十億円の処理経費を要する保管者が多いことなどを示した。また,(独)環境再生保全機構の公開情報等から,中小企業補助制度の継続が困難になる可能性が高いことを明らかにした。これらから,社会負担が極めて大きいために期限内の処理が難しくなり,長期保管による漏洩・紛失や不適正処理の増加が懸念されることを明らかにした。さらに,国が安全性を確保できる安定器の解体方法を示して型式によらない解体の認定制度を導入するか,低濃度PCB廃棄物の焼却無害化処理施設において,認定(許可)されたPCB処理量の範囲内での安定器の処理を認めることで,処理経費を1/20~1/3程度まで低減可能であることを示した。