著者
松原 英隆 浦野 紘平
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.281-287, 1998-05-10 (Released:2008-01-22)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

Reduction methods in trihalomethane formation potential (THMFP) were investigated for a treated sewage, fulvic acid in a treated sewage, fulvic acid in a leaf mold and humic acid in a leaf mold by oxidation with ozone, potassium permanganate (KMnO4), adsorption with activated carbon and their combination.The molecular weight distributions of the three humic substances were determined using a Sephadex G-25 or G-75 before and after the ozonation. The eluted solution was divided into four or three groups and for each THMFP per unit organic carbon was determined. THMFPs of the fulvic acid and the humic acid in leaf mold were reduced effectively by ozonation alone. On the other hand, THMFPs of the treated sewage and the fulvic acid in treated sewage were not reduced significantly by the oxidation with ozone or KMnO4, though THMFP was reduced considerably by the adsorption with activated carbon.The molecular weight of the fulvic acid and the humic acid in leaf mold fairly decreased by ozonation, and their THMFPs were reduced significantly since the decomposed lower molecular weight fractions had very small THMFPs per unit organic carbon. The molecular weights of the smaller fulvic acid in treated sewage were reduced more by ozonation, but the THMFP showed no significant decrease.
著者
糸山 景子 亀屋 隆志 浦野 紘平
出版者
特定非営利活動法人 化学生物総合管理学会
雑誌
化学生物総合管理 (ISSN:13499041)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.178-191, 2006 (Released:2007-02-27)
参考文献数
37

近年、環境中に存在する微量な化学物質の暴露により、神経系や免疫系の異常をはじめとする様々な健康影響がもたらされる可能性が指摘されており、これらは従来「化学物質過敏症」等と呼ばれ、現在は本態性環境非寛容症 (IEI) (以下、本症) という呼称が提唱されている。本症を訴えている人 (以下、有訴者) の基本的特徴および発症原因の情報を整理することを目的に、国内の有訴者488人を対象に郵送調査を行い、278名 (57.0%) から回答を得た。 有訴者は中高年の女性が多かった。発症 (有訴者が本症の始まりと考えた状態) 前には、過半数の有訴者は本症をよく知らなかったことから、本症に関する知識と発症とは関係がないと考えられた。また、約半数の有訴者が医師の診断を受け、本症と判断していた。有訴者はアレルギー症状がある人が明らかに多かった。発症原因には、建物の新築・改築等の他にも家庭用殺虫剤、職業暴露、大気汚染等、多種多様な原因が回答されていた。本症に対応するとして知られる病院・診療所がない地域に住む有訴者は診断を受けていない人が多く、適切な診断と早期の治療のために本症に対応する病院・診療所の全国への拡充が求められていた。
著者
浦野 紘平
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水質汚濁研究 (ISSN:03872025)
巻号頁・発行日
vol.11, no.10, pp.623-627, 1988-10-10 (Released:2009-09-10)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1
著者
浦野 真弥 浦野 紘平
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.383-391, 2015-09-30 (Released:2016-08-01)
参考文献数
38

PCB含有安定器の処理が進んでいない原因等を検討するため,まず,届出数の経年変化情報を収集し,都道府県別の人口と届出数との関係を指数関数で近似し,7道県が周辺の他県に比べて届出数が推算値より特に少なく,九州・沖縄地区は全体に届出数が推算値より少ないこと等を明らかにした。その上で,中間貯蔵・環境安全事業(株)が示している安定器処理計画と処理費用を解析し,1個あたりの処理費が8.4万円程度となること,都道府県ごとの処理経費を推算し,全数処理には5,000億円以上の経費を要すること,さらに,東京都内の安定器保管数情報から,数億円から数十億円の処理経費を要する保管者が多いことなどを示した。また,(独)環境再生保全機構の公開情報等から,中小企業補助制度の継続が困難になる可能性が高いことを明らかにした。これらから,社会負担が極めて大きいために期限内の処理が難しくなり,長期保管による漏洩・紛失や不適正処理の増加が懸念されることを明らかにした。さらに,国が安全性を確保できる安定器の解体方法を示して型式によらない解体の認定制度を導入するか,低濃度PCB廃棄物の焼却無害化処理施設において,認定(許可)されたPCB処理量の範囲内での安定器の処理を認めることで,処理経費を1/20~1/3程度まで低減可能であることを示した。
著者
浦野 紘平 室伏 謙一 半沢 智
出版者
日経BP社
雑誌
日経エコロジー = Nikkei ecology (ISSN:13449001)
巻号頁・発行日
no.212, pp.42-45, 2017-02

豊洲市場の地下水から汚染物質が検出され、移転が延期になった。土壌汚染による健康リスクはあるのだろうか。今回、リスクコミュニケーションのまずさも浮き彫りになった。この先、「安心・安全」な市場を運営するためには何が必要か。
著者
吉野 秀吉 浦野 紘平
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.11-18, 1994
被引用文献数
11 6

一般廃棄物焼却施設における焼却灰の遺伝子毒性の実態と特性を明らかにするため, 23施設の飛灰と10施設の残灰について, 前報の方法で変異原性物質を抽出してエームス試験を行った。<BR>23施設のうち8施設の飛灰から明確な変異原性が認められ, とくにTA98+S9の代謝フレームシフト型の突然変異が多く認められた。聴き取り調査による稼働状況との関係を検討したところ, ストーカ式で, 炉内滞留時間の短い施設の飛灰に変異原性の著しく高い場合が認められた。そこでストーカ式焼却炉において燃焼条件を変化させた場合の飛灰の変異原性の変化を調べたところ, 排ガス中のCO濃度が高く, 飛灰の熱灼減量が高くなると変異原性が高くなった。これらのことから飛灰中の変異原性物質は不完全燃焼した場合に生成しやすいことが明らかになった。なお, 飛灰を400℃, 30分間熱処理すると変異原性が消失することが確認された。また, 焼却灰を2規定の塩酸または水酸化ナトリウムで処理したところ, 変異原性物質の一部が分解された。塩酸処理ではカルシウム塩などが溶解して質量が大幅に減少したため, 抽出しやすくなり, 変異原性が高感度で検出できた。酸処理後, 変異原性の低い残灰についても10施設のうち3施設から明確な変異原性が認められた。
著者
谷川 昇 浦野 紘平
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.9, no.5, pp.181-187, 1998-07-31 (Released:2010-05-31)
参考文献数
36
被引用文献数
3 2 12

都市ごみ焼却施設において, 乾電池の水銀含有量の低減化と塩化水素 (HCl) と二酸化硫黄 (SO2) の処理技術等が水銀の排出におよぼす影響を明らかにし, 東京23区および日本全国における都市ごみ焼却施設から排ガスとして大気中に排出される水銀量等を考察した。HClとSO2の処理技術として電気集じん装置 (EP) と組み合わせた粉体噴射法を採用している都市ごみ焼却施設において, 乾電池の水銀含有量の低減化によって, 水銀排出濃度が約0.25mg/m3Nから約0.08mg/m3Nへ低下したこと, 高い水銀排出濃度の出現回数が激減したことが確認された。HClとSO2の処理技術によって水銀が除去され, その除去率はEPと組み合わせた粉体噴射法では約35%, 湿式法では約65%, キレート剤を吸収液に添加した湿式法では約90%, フィルタ法では約75%であった。東京23区では, 1986年から1996年の間に焼却ごみ量は約1.27倍に増加したが, 乾電池の水銀含有量の低減化と排ガス処理技術の採用によって, 水銀の排出量は約1/6に減少した。また, 1992年の日本全国における都市ごみ焼却に伴う大気環境への水銀の排出量は約17t/yと推算され, 排ガス処理技術による水銀の排出削減量は約9t/yと推算された。
著者
安井 至 茅野 充男 浦野 紘平 松尾 友矩 高月 紘 中杉 修身
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998

人間地球系の研究の過年度取りまとめ課題として、以下の活動を行った。1, 一般公開の報告会開催2, 参加者の記録冊子の作成3, 参加者の学術論文のインターネットへの掲載4, 一般向け成果報告としての一般図書の発行とその原稿収集まず、一般公開の報告会であるが、平成10年6月11日東京大学安田講堂において、講師7名による講演会として挙行した。一般にはダイレクトメールによる案内を行い、ピーク値で参加者700名を得た。参加者の記録冊子については、各人1ページを原則として、環境研究における重要事項であり、かつ、本研究領域の存在基盤をなす社会的要請について、各参加者がどのような貢献ができたかについて特に記述をしてもらった。参加者の学術論文については、まとめて一冊とするには余りにも大部であったため、また、一般社会への公開性の観点から、インターネット上に論文を掲載することにした。ただし、論文の版権などの問題もあって、テキストに戻して掲載することとした。そのため、スキャナーによるOCR技術を利用した。一般向け図書の発行は、当領域の社会的要請に応えるためには必須事項と考え、領域全体の目次に相当するものとして、「市民のための環境学入門」(丸善ライブラリー)が出版された。その後、各班の成果について順次発行が進んでおり、「エコロジーテスト」(ブルーバックス)、「環境と健康II」(へるす出版)がすでに刊行済みとなっており、さらに、丸善より、地球・環境・人間シリーズとして4冊が企画立案され、原稿を収集中となっている。