著者
福岡 雅子 小泉 春洋 高月 紘
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.97-107, 2005-03-31 (Released:2010-05-31)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

プラスチック製容器包装の分別収集があり, 排出容器が指定袋でない大阪市および寝屋川市で, 家庭から排出されたごみ中のレジ袋を測定した結果, 枚数比で72~74%が何かを入れて捨てられたレジ袋 (二次利用袋) , 残りの26~28%は空袋であった。二次利用袋を, 排出容器 (持ち出し袋) と何かを入れて排出容器の中に捨てられたレジ袋 (小口まとめ袋) に分けると, ごみ中のレジ袋の12~14%が持ち出し袋であった。小口まとめ袋は, 排出容器 (親袋) に直接入れられるもの (子袋) だけでなく, 子袋に入れられる孫袋, さらにその中の袋・・・・・・がある。測定結果では, 親袋1袋あたり子袋4.2袋, 孫袋1.1袋, 曾孫袋0.2袋のレジ袋が用いられ, 約66%の小口まとめ袋に湿った厨芥が入れられていた。測定結果から, ごみ中のレジ袋の削減可能性を検討し, 使用抑制および薄肉化を進めた場合, 現状に比べて重量で55~57%のレジ袋が削減可能であると試算した。
著者
酒井 伸一 出口 晋吾 浦野 真弥 高月 紘 惠 和子
出版者
Japan Society for Environmental Chemistry
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.379-390, 1999-06-18 (Released:2010-05-31)
参考文献数
33
被引用文献数
5 5

ダイオキシン対策を考え, その効果を把握し, ダイオキシン類の環境動態を検討するためには過去からのダイオキシン類の蓄積状態や発生源の変遷を知ることは重要である。本研究では, 琵琶湖および大阪湾で採取した底質コアを用いてダイオキシン類の歴史トレンド解析を行った。その結果, 琵琶底質では19世紀半ばの底質層にダイオキシン類の存在が認められ, その後, 20世紀後半に濃度が大きく増加している。そして, 1980年前後に観察されたピークから現在は若干の減少あるいは横這いの傾向が続いていることが示された。異性体や同族体の変化や主成分分析から底質ダイオキシン類の主要な汚染源は燃焼由来のPCDDs/DFsに加え, 除草剤CNPやPCP中に含まれていたPCDDs/DFsの影響があると考えられた。
著者
楠部 孝誠 馬場 保徳 北野 俊 谷内 貴幸 高月 紘
出版者
石川県立大学
雑誌
石川県立大学研究紀要 = Bulletin of Ishikawa Prefectural University (ISSN:24347167)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.27-35, 2019-03

近年、プラスチックごみによる海洋汚染問題が地球規模の重要課題となっている。特に、海洋に流出したプラスチックは破片化することで海洋生態系に物理的、生理学的な影響を与えている。わが国でも2009 年に制定された海岸漂着物処理推進法が2018 年に改正され、マイクロプラスチック対策に乗り出したところである。筆者らは石川県沿岸におけるマイクロプラスチックの現状把握のため、2010 年と2016 年に8 つの海岸で調査を実施した。調査したすべての海岸でマイクロプラスチックが検出され、その中でも発泡プラスチック製品の破片がその多くを占めた。海岸漂着ごみとともにマイクロプラスチックに対する早急な対策が求められる。
著者
寺園 淳 酒井 伸一 高月 紘
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.192-210, 1999-05-10 (Released:2011-11-08)
参考文献数
24
被引用文献数
1

阪神・淡路大震災では, 地震発生後に被災地の広範囲で一般環境大気中のアスベスト濃度が上昇した。この原因を探るために, 被災した建築物の解体に伴うアスベスト飛散について, 実測を含めて実態を調査し, 拡散モデルを用いて飛散の影響を検討した。まず, 自治体の協力を得て吹付けアスベスト使用状況を詳細に調査し, S造建築物での多くの使用事例や吹付けアスベスト原則禁止後も使用されていた事例などを明らかにした。また, 一般環境濃度上昇の原因として, 吹付けアスベストの除去, 除去後の解体, 並びに非除去解体の現場におけるアスベスト飛散をそれぞれ調べたが, 周囲に最も飛散し影響が懸念されたのは非除去解体であった。更に, 被災地の推定アスベスト蓄積量および飛散量から, プルーム・パフモデルを用いて, 環境庁モニタリングの各測定点におけるアスベスト濃度上昇の寄与を試算した。その結果, アスベスト濃度の試算値と実測値の間には弱い正の相関関係がみられ, 試算から実測値のオーダーをほぼ説明できることが示唆されたとともに, アスベスト飛散現場から周辺環境の濃度推定に役立つ情報が提供された。最後に, 非除去解体によるアスベストの飛散を避けるために, 法規制とともに除去費用の負担軽減措置などの必要性を示した。
著者
福岡 雅子 小泉 春洋 高月 紘
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 = Journal of the Japan Society Waste Management Experts (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.418-428, 2004-09-30
参考文献数
11
被引用文献数
2

本研究は, 2000年度から完全施行された容器包装リサイクル法に対応して市町村で分別収集が導入されつつあるその他プラスチック製容器包装について, 既に分別収集を導入した自治体の事例から, モデル実施および全市実施を行った場合の収集量原単位や収集ごみ質等の変化を把握し, 分別収集の方法等による違いを検討した。<BR>その結果, 行政区域全体で導入した場合 (全市実施) は, 行政区域の一部でモデル的に導入した場合 (モデル実施) に比べて収集量原単位が大きくなる傾向があることが明らかとなった。原因として, モデル実施と全市実施における住民啓発方法や住民への協力要請内容の違いが, 収集量原単位に影響を与えていることが想定できた。寝屋川市におけるごみ質分析結果でも, 全市実施時にはモデル実施時に比べて住民の協力が高まり, プラボトル, パック・トレイ等については, 重量で7割以上が適正に分別排出されることが確認できた。
著者
高月 紘 酒井 伸一 水谷 聡
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物学会誌 (ISSN:09170855)
巻号頁・発行日
vol.6, no.5, pp.351-359, 1995-09-30
被引用文献数
5 9

災害に起因する廃棄物として, 解体廃棄物の発生原単位と, 一般廃棄物の組成の変化について検討した。原単位は重量と容量べースで求め, 鉄筋コンクリート, 木造家屋ともに, 重量ベースでは従来の報告値と近かったが, 容量ベースではかなり大きな値となった。これは, 災害復旧時には分別が不十分にならざるを得ず, 混合状態での積載になり荷台の空隙率が大きくなったためと推察される。一般廃棄物の組成調査では, 発泡プラスチック, PETボトル, 使い捨てカセットボンベなどの増加が見られ, 水道やガスのような生活基盤の欠如に起因する生活廃棄物の変化が顕著であった。またカセットボンベの約半数はガス抜きの穴が開けられておらず, 穴あけの徹底が求められるが, 排出量の顕著な増加を考えると, 事業者などによる別ルートの回収経路の確立も望まれる。
著者
安井 至 茅野 充男 浦野 紘平 松尾 友矩 高月 紘 中杉 修身
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998

人間地球系の研究の過年度取りまとめ課題として、以下の活動を行った。1, 一般公開の報告会開催2, 参加者の記録冊子の作成3, 参加者の学術論文のインターネットへの掲載4, 一般向け成果報告としての一般図書の発行とその原稿収集まず、一般公開の報告会であるが、平成10年6月11日東京大学安田講堂において、講師7名による講演会として挙行した。一般にはダイレクトメールによる案内を行い、ピーク値で参加者700名を得た。参加者の記録冊子については、各人1ページを原則として、環境研究における重要事項であり、かつ、本研究領域の存在基盤をなす社会的要請について、各参加者がどのような貢献ができたかについて特に記述をしてもらった。参加者の学術論文については、まとめて一冊とするには余りにも大部であったため、また、一般社会への公開性の観点から、インターネット上に論文を掲載することにした。ただし、論文の版権などの問題もあって、テキストに戻して掲載することとした。そのため、スキャナーによるOCR技術を利用した。一般向け図書の発行は、当領域の社会的要請に応えるためには必須事項と考え、領域全体の目次に相当するものとして、「市民のための環境学入門」(丸善ライブラリー)が出版された。その後、各班の成果について順次発行が進んでおり、「エコロジーテスト」(ブルーバックス)、「環境と健康II」(へるす出版)がすでに刊行済みとなっており、さらに、丸善より、地球・環境・人間シリーズとして4冊が企画立案され、原稿を収集中となっている。