著者
深尾 昌一郎 浜津 享助
出版者
京都大学学術出版会
巻号頁・発行日
2005-03

第15回大川出版賞受賞(2006)。大学と工業界の共同による成果公開。
著者
高橋 劭 RUTLEDGE S. KEENAN T.D. 守田 治 中北 英一 木村 龍治 藤吉 康志 深尾 昌一郎
出版者
九州大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

本研究は、地球の気候変動に重要なアジア多島域の巨大積乱雲の組織化過程、降水機能についての国際共同プロジェクトに参加、研究を行うことを目的としている。観測は、オーストラリア・ダ-ウィン沖のMelville島で行ったが、この島は平坦で研究には理想的である。ここではモンスーン直前島全体を覆うような大きな雲システムの発達が知られているが、昼過ぎ海陸風の収束域に雲は発達し始め約1時間で雲頂が18kmにも達する雲、Hectorが東西方向に発達する。強い雨と1分間に数百回もの雷をもたらし面白い事に急に雲は南北に並びを変え、ゆっくり西に動く。このHector雲の組織化過程と降水についての研究のためオーストラリア気象局を中心に国際プロジェクトが組織化された。多くの大学・研究所が参加、オーストラリア側ではドップラーレーダ、エ-ロゾンデ、ウインドプロファイラー、ゾンデ観測が行われ、米国もウインドプロファイラーでの観測を行い、我々のグループはビデオゾンデを持って参加した。ビデオゾンデはHector雲内の降水粒子の分布の直接測定を行うもので、このプロジェクトでも大きな比重を持つものである。観測は常にドップラーレーダと緊密な連絡を取りながら行われた。平成7年夏、研究代表者はオーストラリア気象局のJasper氏とMelville島でのSite Surveyを行い、観測地、宿舎、輸送に伴う税関手続きなどについて調査を行った。平成7年10月、約1トンにも及ぶ観測資材を船で輸送、同年11月15日より1ヶ月間、大学院生4名と研究代表者がMelville島での観測を行った。観測は朝7時から夕方まで日曜なしで行われた。内陸の観測地までは宿泊地から車で40分であった。連日35℃を越す暑さで、幸いレンタルの観測室は冷房はあるが、外は蚊やブヨ、ヒルが多い湿地帯であった。気球格納庫を設置、すぐそばに気球飛揚のため水素ボンベを並べた。ヘリウムは高価なためこの予算では購入できなかった。昼過ぎHector雲が発達、真っ黒い雲列が東に現れ、ドンドンという雷の音とともに接近、一旦Hector内に入ると大変である。激しい雨と突風があり雷はすぐ近くに落ち続ける。一度はすぐ10m先に落雷、強電流が地面から流れ、すべての器械を破壊してしまった。日本に連絡を取り、パ-ツを輸送させ修理をしたが、4日間費やした。この激しい雨と雷の中、水素
著者
津田 敏隆 深尾 昌一郎 山本 衛 中村 卓司 山中 大学 足立 樹泰 橋口 浩之 藤岡 直人 堤 雅基 加藤 進 Harijono Sri Woro B. Sribimawati Tien Sitorus Baginda P. Yahya Rino B. Karmini Mimin Renggono Findy Parapat Bona L. Djojonegoro Wardiman Mardio Pramono Adikusumah Nurzaman Endi Hariadi Tatang Wiryosumarto Harsono
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.393-406, 1995-06-15
被引用文献数
20

日本とインドネシアの協力により1992年11月にジャカルタ近郊に赤道大気の観測所(6.4°S、106.7゜E)が開設され、流星レーダー(MWR)と境界層レーダー(BLR)が設置された。MWRにより高度75-100kmにおける水平風と温度変動が1時間と4kmの分解能で測定された。一方、BLRを用いて高度0.3-5kmの大気層の風速三成分を毎分100mの分解能で観測した。さらにBLRに音響発信器を併用したRASS(電波音響探査システム)技術により温度変動の微細構造をも測定した。これらのレーダーの運用は1992年11月のTOGA/COAREの強化観測期間に開始され、その後2年以上にわたって連続観測が続けられている。また、レーダー観測所から約100km東に位置するバンドン市のLAPAN(国立航空宇宙局、6.9°S、107.6゜E)において、1992年11月から1993年4月にかけて、ラジオゾンデを一日に4回放球し、高度約35kmまでの風速・温度変動を150mの高度分解能で測定した。その後、1993年10月から一日一回の定時観測(0GMT)も継続されている。この論文では観測所における研究活動の概要を紹介するとともに、観測結果の初期的な解析で分かった、TOGA/COARE期間中の熱帯惑星境界層の構造、対流圏内の積雲対流、ならびに赤道域中層大気における各種の大気波動の振る舞いについて速報する。
著者
深尾 昌一郎 橋口 浩之
出版者
福井工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

熱や物質の鉛直輸送に重要な寄与をするとされる大気乱流とその主要因であるケルビン・ヘルムホルツ(KH)不安定はそのスケールが小さいことから直接観測はこれまで困難であった。これをMUレーダーのイメージングモードによる超高分解能観測に加えて、多周波数帯レーダーとライダー観測を援用して、総合的に解析した。自由大気中におけるKH不安定の構造をかつてない高分解能映像観測で解析し、KHIと風速シアとの関係が明らかとなった。
著者
柴垣 佳明 山中 大学 清水 収司 上田 博 渡辺 明 前川 泰之 深尾 昌一郎
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.69-91, 2000-02-25
参考文献数
34
被引用文献数
4

1991年6月17日〜7月8日にMU(VHF帯)・気象(C・X・C / Ku帯)レーダーを用いた梅雨季対流圏の同時観測を行った。MU・C / Ku帯レーダーは風速の3成分と雨雲の鉛直分布をそれぞれ観測した。また、C・X帯レーダーはメソα, メソβスケールの雨雲の水平分布をそれぞれ調べた。この3週間の中で最も激しい降雨が観測された7月4〜5日の期間には、メソαスケール低気圧近傍でいくつかのメソβ, メソγスケールの雲システムが観測された。これらはi)温暖前線、ii)寒冷前線付近の対流雲およびiii)寒冷前線の北西側の層状雲として分類された。i)では、高度14km付近まで発達した降水雲内の顕著な上昇流は高度4〜5kmにおける前面・後面からの吹き込み成分の収束と中部対流圏の強い南風によって生成された。ii)では、寒冷前線の前面にガストフロントを持った狭いレインバンドがみられた。そのレインバンドの前方とその中では、メソγスケールのローター循環がそれぞれ発見された。iii)では、南東風(北西風)は高度9km付近まで延びた寒冷前線面の上側に沿って(その内部および真下で)上昇(下降)していた。その前線面下側には降雨を伴わない乾燥域が存在し、そこでは前線面に沿って下降した西風の一部が雲システムの後方へ吹き出していた。本研究では、晴天・降雨域の両方で観測された詳細な風速3成分を用いることで、上で述べたような特徴的なウインドフローをもったメソβ, メソγスケールの雲システムの鉛直構造を明らかにした。これらの構造は日本中部で観測されたメソαスケール低気圧近傍のクラウドクラスターの階層構造の中のより小さな雲システムとして示された。
著者
柴垣 佳明 山中 大学 橋口 浩之 渡辺 明 上田 博 前川 泰之 深尾 昌一郎
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.569-596, 1997-04-25
参考文献数
39
被引用文献数
4

1991年6月17日〜7月8日にMU・気象(C・X・Ku帯)レーダーを用いた梅雨季3週間連続観測を行った. MUレーダーの観測データから, 下部対流圏の降雨エコーの影響を完全に除去して, 信頼性の高い高分解能の3次元風速のデータセットを作成した. 梅雨前線は最初の約1週間(6月17〜24日)はMUレーダー観測所の南方にあり, その後一旦(6月25〜28日)は北方に移動した. 6月29日以後は中間規模低気圧の地上の中心がレーダー観測所近傍を次々と通過し, その際の水平風の変化は, 下層から圏界面ジェット高度にかけて高度とともに遅れて強まる傾向がみられた. 次に, 中間規模低気圧との相対的位置関係に基づいた数時間スケールの鉛直流と降水雲との対応を(i)低気圧を伴った梅雨前線の北側, (ii)地上の低気圧中心付近, (iii)低気圧からかなり離れた梅雨前線南側の3領域について調べた. (i,(ii)のケースでは, 上昇流領域は対流圏界面付近の層状性乱流下端高度(LSTT)と前線面高度に大きく依存し, その後者のケースの上昇流は温暖前線北側では発達した降水雲を伴い, 寒冷前線北側では中規模スケールの領域にわたって卓越しているが, 降雨を伴わないことが多かった. さらに, (iii)の期間ではいくつかの上昇流領域はLSTTを突き抜けていた. これらの中規模変動は, 積雲規模擾乱に対応する上昇流領域のピークを含んでおり, またそれらのいくつかは地上降雨と一致していた. 以上の観測事実に基づき, 梅雨前線近傍の鉛直流変動の階層構造の概念図を作成した. この特徴は, よく知られている中間規模低気圧, 中規模クラウドクラスター, 積雲規模降水雲から成るマルチスケール構造と部分的には一致しているが, 本観測で得られた結果は過去の研究で主に用いられている気象レーダー・気象衛星では観測できない晴天領域についてもカバーしている.
著者
荻野 慎也 山中 大学 深尾 昌一郎
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.407-413, 1995-06-15
被引用文献数
4

J-COARE白鳳九航海のレーウィンゾンデ観測(1992年11月1日〜12月4日)より得られた温度・風速データをもとに、低緯度帯(13.78°S〜24.50゜N)の下部成層圏(14〜22km)における重力波活動度の南北変化を調べた。高度14〜22kmのデータを用いて鉛直波数スペクトル解析を行ない、全期間の平均をとると、卓越鉛直波長は温度・東西風については4km、南北風については2.7kmであった。高度プロファイルおよびホドグラフ解析結果をみると、赤道をはさんで南北約10゜の範囲では、鉛直波長が4km程度の比較的振幅の大きな(5〜10m/s)波動構造が、東西風にはしばしば認められるが南北風にはほとんど認められないことから、4kmの成分には主にケルビン波が、2.7kmの成分には主に重力波が寄与しているものと考えられる。鉛直波長4.0km,2.7m,2.0mの各成分について、パワースペクトル密度を緯度の関数として整理し、中緯度帯と較べると低緯度域の方が重力波活動度は大きいという結果を得た。重力波の振幅は波の周期や背景のブラントバイサラ振動数に関係すると考えられるが、今回得られた南北分布はこれらのパラメタだけでは説明できず、赤道付近で活発な積雲対流が重力波の励起と密接に関わっていることを示唆している。
著者
山中 大学 前川 泰之 深尾 昌一郎 橋口 浩之
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究の目的は,中小規模(水平スケール10^1〜10^3km程度,時間スケール10^1〜10^3分程度)の大気擾乱のうち,最も大きな階層である中間規模温帯低気圧(梅雨・秋霖季の亜熱帯前線帯に卓越)や熱帯低気圧の力学的構造について,過去に蓄積されたMU・境界層・気象レーダー観測結果を総合的に解析するとともに,観測を継続的に実施することによって解明することであった.2年間における成果の概要は以下の通りである:1.梅雨・秋霖季中間規模温帯低気圧の研究1986年以来の梅雨季(6〜7月)・秋霖季(9〜10月)の対流圏〜下部成層圏領域におけるMUレーダー(VHF帯)による標準観測データ(風速3成分,成層度,乱流風速分散)を,雨滴エコーなどを入念に除去してデータベースとして整備した.特に1991年6月17日〜7月8日に行った梅雨季3週間連続観測については,同時に行ったラジオゾンデ・気象レーダー(X,C,Ku帯)・気象衛星・気象庁客観解析結果などとともに整理し,中間規模低気圧構造,地上低気圧中心に相対的な鉛直流変動(対流雲群)の水平分布(階層構造),個々の対流雲の構造と時間変化などのほか,下部対流圏の低気圧通過に伴う対流圏界面ジェット気流や下部成層圏慣性重力波,乱流の分布特性と強度(鉛直渦拡散係数)などの時間変化も得た.また1992年6〜7月に行なった境界層レーダー(UHF帯)・MUレーダー同時観測からは,中間規模低気圧の鉛直位相構造が対流圏下部(大気境界層)で逆転する例,中〜上部対流圏‘generating cell'の構造と降水粒子降下などを検出した.1995年6月上旬に実施した新たな観測では,約10年前に観測されたようなcold vortexの通過に遭遇し,今回は中心よりかなり南側の詳細な構造を得ることに成功した.3.台風およびその温帯低気圧化の研究秋霖季の観測結果のうち,強い台風の中心付近を観測した1991年9月19〜20日(台風9019号),1994年9月29〜30日(台風9426号)の2つのケースについて,MUレーダー水平風速を気象庁資料と組み合わせることにより,台風中心からの水平距離の関数としての接線・動径風速に換算し,全体的には典型的な熱帯低気圧の軸対称構造を確認したが,非対称構造や時間変化など温帯低気圧化も示唆された.特に台風9428号については,様々な中心通過経路および時刻について計算を繰り返して,15分程度の間隔で前後2回ある地上気圧低極の間の時刻に中心がレーダーのほぼ真上を通過したとの結論を得た.また角運動量,渦度,ヘリシティ(速度と渦度の内積)など準保存量の解析も行なった.さらに地上・気象レーダー・レ-ウィンゾンデ・衛星,関西電力堺火力発電所境界層レーダーなどの観測データも解析し,MUデータとの比較から,最盛期の熱帯低気圧の特徴であるwarm core構造を持つことを確認するとともに,中心部が竜巻に見られるような螺旋構造を持ち,そのため局所的に高気圧性回転しているように観測されることがわかった.1995〜96年には顕著な台風がMU観測所に接近することはなかったが,1996年7月17〜18日には台風9606号の中心付近を部分的に観測した通信総合研究所山川観測所(鹿児島県)境界線レーダーのデータを解析した.また過去にいくつか観測された台風崩れの梅雨・秋霖季中間規模低気圧についても,新たに解析を試みた.以上の研究を通じて,台風の中心付近や,梅雨前線帯の雲の階層構造に伴う3次元風速変動が初めて実測されたと言える.さらにVHF/UHF帯レーダーの中間規模低気圧・台風研究への有用性と具体的観測方法が確立され,メソ気象学の分野に新しい側面を切り開いたことも特筆すべきである.
著者
松田 庄司 橋口 浩之 深尾 昌一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.355, pp.95-98, 2005-10-13

分散アレーアンテナは, レーダにおいて複数のサブアレーを分散して配置し, これらの受信信号をデジタルビーム形成することにより高利得を得るアンテナ形態である.しかし, サブアレーの配置間隔が波長に比べて十分長い場合, 通常のビーム形成方法では多数のグレーティングローブが発生する.この対策として, 我々はノルム制約及び対角荷重によりロバスト性を付加したCaponビームフォーマを用いればグレーティングローブを抑圧でき, かつビーム幅の減少によるレーダーの捜索効率の低下を防ぐことができることを示した[2].本報告では, これらのビーム形成方法において, ステアリングベクトル誤差がメインビーム利得やグレーティングローブ抑圧度に及ぼす影響が小さく, このような誤差へのロバスト性を有することを示す.