著者
渡邉 仁
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.137, pp.1-30, 2020-12-23

本研究では,国内外の高校における学校適応研究の研究動向を掴み,今後の研究課題を指摘することを目的とした。具体的には,学校適応の実態把握,関連要因,学校適応が他の問題に及ぼす影響を検討した研究を概観した。その結果,学校タイプや学年によって生徒の学校適応の様相が異なり,学校適応の関連要因は多岐にわたっていることが示唆されていた。また,在学中の学校適応が卒業後にまで影響していることが指摘されていた。社会的背景に困難を抱える生徒が多い非進学校では,生徒は入学してすぐに学校適応問題に直面し,教師の働きかけによって適応することもあれば,留年や中退することもある。しかし,これまでの学校適応研究では教師側の視点や生徒の社会的背景,留年や中退等は検討されていない。したがって,今後は高校の多様性や学年差を考慮し,留年や中退も視野に入れ,教師側の視点や生徒の社会的背景をみる観点から検討する必要性が示唆された。
著者
坂本 昭裕 大友 あかね 佐藤 冬果 渡邉 仁
出版者
日本野外教育学会
雑誌
野外教育研究 (ISSN:13439634)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.1-17, 2022 (Released:2022-03-31)
参考文献数
41

This study determines the effects of an 18-day Outward Bound type camping therapy intervention on ego development and the self-concept in children with developmental disorders. The camping program, which was based on movement using mountain bikes, included activities such as river trekking, canoeing, rock climbing, cave exploration, and mountain climbing and was implemented yearly over a 6-year period. The participants were 23 adolescent children with developmental disorders (males: 21, females: 2, mean age=13.43±0.84). Kajita’s Self-Actualization Scale along with the Landscape Montage Technique were used for analysis. The results showed that from the four factors of the self-concept (achievement motivation, self-effort, self-confidence, and perceived self), the camp continued to have an effect on self-effort one month after completion. In addition, although achievement motivation increased immediately after the camp, it fell significantly one month later. Perceived self, which was the highest immediately after the camp, also fell significantly one month later. No significant change was observed for self-confidence. The effect size for these four factors before and after camping therapy was larger in this study than in previous research on typically developing children. Regarding the ego development stages for the children with developmental disorders who took part in the study, the egocentric stage “composition type” accounted for the majority (14 children, 57.5%) before the intervention, indicating a low composition type. However, after going through camping therapy, the composition type of 8 of these 14 children (35%) was found to have improved. From the Landscape Montage Technique analysis, there were some cases where integration increased and sociality improved, even among children in the low stages of ego development.
著者
大洞 智宏 渡邉 仁志 横井 秀一
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.260-263, 2013 (Released:2014-08-12)
参考文献数
15
被引用文献数
3 2

岐阜県西濃地域では,ナラ類の枯損による林冠ギャップ下であっても,植生の発達がみられない箇所が存在する。西濃地域は以前からニホンジカが生息し,生息密度も高いことから,シカの採食によって森林の更新が阻害されている可能性が考えられた。そこで,シカ柵を設置し,植生の変化を観察した。調査地は,岐阜県揖斐郡池田町のナラ枯れによって発生した林冠ギャップのうち4 カ所とした。シカ柵設置直後の各調査地の植被率合計は約6 ~23% であった。柵外の方形区では,シカの嗜好性の低いシダ類以外の植被率の増加はほとんどみられなかった。柵内の方形区では植被率合計は増加し(52~138%),特にキイチゴ類,ススキの増加が顕著であった。調査地4 では,表土流亡によって,実生の定着が妨げられている可能性が考えられた。高木性種は成長が比較的遅く,成長の早い低木生種などの下層に存在することが多いため,低木性種などが繁茂することにより,高木性種の侵入・生育が妨げられる可能性がある。これらのことから,この林分において,高木性種による速やかな更新を望む場合には,シカ柵を設置し,表土流亡の抑止や刈り出しなどの更新補助作業を実施する必要があると考えられた。
著者
渡邉 仁志 茂木 靖和 三村 晴彦 千村 知博
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.99, no.4, pp.145-149, 2017-08-01 (Released:2017-10-01)
参考文献数
21
被引用文献数
3

育苗時に施用した溶出期間の長い肥料(緩効性肥料)がヒノキ実生苗の初期成長に及ぼす影響を明らかにするため,植栽後2年間の成長と部位ごとの重量変化をコンテナ苗と裸苗とで比較した。コンテナ苗は緩効性肥料(溶出期間700日)を施用し,マルチキャビティコンテナで1年間育成した。植栽時のコンテナ苗は,裸苗より根元直径が小さく,樹高および比較苗高が大きかった。2年間の樹高および根元直径成長量や同期末サイズは,コンテナ苗の方が大きかった。比較苗高の低減はコンテナ苗で大きかった。苗木のT/R 比は苗種間で差がなかったが,部位(葉,幹,枝,根)ごとの乾燥重量の増加はコンテナ苗の方が大きかった。樹高や根元直径の相対成長率は,植栽1年目にはコンテナ苗が優れていたが,植栽2年目にはその優位性が低下した。これらのことから,育苗時に施用した緩効性肥料の影響は時間経過とともに低減するものの,ヒノキ実生苗の植栽後の初期成長の促進に有効であることが示唆された。
著者
渡邉 仁志 井川原 弘一 横井 秀一
出版者
森林立地学会
雑誌
森林立地 (ISSN:03888673)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.55-61, 2018-12-25 (Released:2019-02-02)
参考文献数
29

岐阜県南部のヒノキ人工林において,下層植生の植被率と優占種によって分類した従来の下層植生タイプ(シダ型,草本型,低木型,貧植生型)にササ型を追加し,これらの表土流亡の抑止効果を再序列化した。ササ型はシダ型に比べ高標高に出現し,光条件が悪化した林床にも出現する可能性が示された。表土流亡の危険性の間接的指標である土壌侵食危険度指数は,全植被率合計が高い林分で小さい傾向が認められた。一方,ササ型の林分では,全植被率合計が草本型や低木型と同程度であったが,土壌侵食危険度指数はそれらの林分より小さかった。ササ型は草本層の植被率合計が高く,葉層とリター層が重層的に地表面を被覆していることから,表土流亡が発生しにくいと推測される。したがって,ササ型をヒノキ人工林下の下層植生タイプとして独立させることは有効である。ササ型を加えると,土壌侵食危険度指数には小さい順にシダ型<ササ型<草本型≦低木型≦貧植生型の序列が認められた。この結果は,下層植生による表土移動量の評価手法の汎用性を高めることに貢献する。
著者
横井 秀一 井川原 弘一 渡邉 仁志
出版者
岐阜県森林研究所
雑誌
岐阜県森林研究所研究報告 (ISSN:1882840X)
巻号頁・発行日
no.38, pp.17-26, 2009-03
被引用文献数
1

間伐が遅れて過密状態になったヒノキ人工林は、下層植生が貧弱になる。下層植生が衰退すると、表土流亡の危険性が高くなる。このため、下層植生を発達させるためにも間伐が必要であるとされ、下層植生の発達を目的とした公共事業(例えば、保安林整備事業における本数調整伐)なども行われている。しかし、間伐が行われたヒノキ林で、必ず下層植生が発達するとは限らない。間伐されたヒノキ林に下層植生が発達しない理由として、中村は、間伐率が低いこと、間伐以前に無植生状態が長く続いていたこと、間伐間隔があきすぎていたことが考えられるとし、横井らは、下層植生が衰退したヒノキ林では埋土種子が少ないこと、下層植生の発達に対して間伐後の林内の明るさが十分でないことが考えられるとしている。ここで、その理由が間伐率の低さや林内の明るさ不足にあるとすれば、林内がより明るくなるような間伐を行えば、下層植生の発達が期待できることになる。間伐後の林内を明るくするには、間伐率を高くする(「強度な間伐」とする)ことの他に、間伐のときにところどころを小集団で伐採する(「群状間伐」とする)ことによって、部分的に明るい箇所をつくり出すという手法も考えられる。前者は林床全体に、後者は部分的にでも下層植生を発達させることで、表土流亡の危険性を低くすることができる可能性がある。本研究は、ヒノキ人工林における群状間伐と強度な間伐の、下層植生の発達に対する効果を検証する目的で実施した。本報告では、間伐後2年間の下層植生の変化を示し、下層植生の発達に対するこれらの間伐の効果を考察する。
著者
渡邉 仁 高柳 正盛
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.413, pp.50-52, 2009-06

1971年福島県生まれ。青山学院大学中退。22歳のとき商社に就職し、8年間美術品の版権ビジネスに携わる。2002年独立、東京・飯倉片町に会員制バー「ホームズバー48」を開店。外食業界に参入する。03年6月、東京レストランツファクトリーを設立。以後、準高級和食店「御曹司きよやす邸」「銀熊茶寮」などをオープン。09年ミドル・カジュアル価格帯店舗の展開を開始。
著者
吉松 梓 坂本 昭裕 渡邉 仁
出版者
駿河台大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究では、悩みを抱える思春期の青少年を対象に長期冒険キャンプを実践し、「身体」に着目してその意味を探ることを目的とした。研究1の質的分析の結果、「心と身体の関係性が変化する」プロセスとして「混沌とした心と身体」「心と身体のつながりや限界に気付く」「身体を入口として自分に向き合う」「自分の身体に自信を持つ」4段階が示された。また「心と身体の伴走者としてのスタッフ」「冒険プログラム特有の仲間関係を体験する」「原始的な自然の中でリアルな感情を抱く」など他者や環境との相互作用が影響していることが明らかになった。研究2の事例研究では、キャンプの体験が個性化の過程として意味があることが示唆された。