著者
多田 充 金 恩一 藤井 英二郎
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.209-212, 1994-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

山容および表面の被覆の異なる山岳景観が人間に与える生理・心理的影響について比較するため, 樹木に覆われた山と急峻な谷川岳一ノ倉沢を対象に実験的に検討した。現地で被験者から脳波, 自律神経機能を測定し, 同時にアンケ-トを行った。その結果, 山では一ノ倉沢に比べて安全感と快適感が低かった。脳波のα波発生量は山では一ノ倉沢に比べて前頭部中央において相対的に高く, 脳の同部位の活動が異なることが示唆された。両対象は言語を介した評価, 感情のみならず, 身体的な反応にも異なる影響を与えていると考えられる。また性によって山岳景観の評価, 脳波や自律神経の反応が異なり, 男性はより分析的に, 女性はより感情的に捉えていた。
著者
古谷 勝則 油井 正昭 赤坂 信 多田 充 大畑 崇
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.21-41, 2001-03-31
被引用文献数
2

環境庁は1974年から一部の国立公園でマイカー規制を行っている.既に20年以上が経過しており,実施当初とは社会条件が変化し利用の多様化が進んでおり,マイカー規制の効果,問題点の改善を検討し,より良い制度を構築する必要がある.そこで本研究は日光国立公園尾瀬地区で実施されているマイカー規制を対象に,マイカー規制とその情報提供に関する現状を把握するとともに,問題点を明らかにし,今後の方向性を考察することを目的とした.研究の方法は文献・資料調査,関係機関へのヒアリング,マイカー利用者に対するアンケートを行った.これらの結果,次の知見を得た.(1)自動車利用者の集中は特定の時期の土,日,祭日に発生し,道路渋滯などの利用環境の悪化や,排気ガスなどの自然環境の悪化を引き起こしている.(2)マイカー規制の利用者への周知が不十分である.(3)道路渋滞,駐車場不足による不法駐車の改善に効果が見られるものの利用時期の分散には大きな効果は果たしていない.(4)公園管理者,利用者,地域の3者の協力の元で,利用者を平日利用へ分散させることが重要である.(5)平日利用分散の方策には駐車場料金,代替交通料金を土,日,祭日と平日で格差をつける.(6)公園管理者は,利用者と地域へのマイカー規制の情報提供を徹底するシステムを構築する必要がある.
著者
浅見 優之介 伊藤 弘大 堀江 亮太 多田 充徳
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2021 (ISSN:24243124)
巻号頁・発行日
pp.2P1-L01, 2021 (Released:2021-12-25)

In this study, we developed an EEG-based MR game based on the hypothesis that games can be made more interesting by reflecting the psychological state read from the EEG. The genre of the game was shooting. We designed the game in such a way that the size of the aim in the game is linked to the EEG feature value, and that focusing increases the EEG feature value and shrinking the aim increases the hit rate. The β/α ratio was used as the EEG feature, and we sought an effective way to introduce the β/α ratio into the game. By setting a threshold value using the average value of the β/α ratio of the subjects, and by performing a moving average process that divided the values above and below the threshold value, we were able to manipulate the size of the aim as desired with a probability of about 80%.
著者
江原 友登 多田 充
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.2, 2017-10-16

近年,乱数はゲームやオンライン抽選など様々な用途で使用され,私たちの生活にも多く関わっている.しかし,乱数として使われた値による結果が本当に乱数による結果なのかを私たちユーザー側が知る手段がなく,結果に納得できないこともある.示された結果がサーバー側の意思が働いていない,正当な手順で正しく作成された乱数によるものだとユーザーが確認できることが重要である.そこで,本論文ではブロックチェーンの特徴である透明性のあるデータ管理機能を利用した,透明性のある乱数生成方法について提案し,実装,検証を行うことを目的とする.
著者
多田 充徳 中村 俊康
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.11-17, 2014 (Released:2016-04-16)
参考文献数
23

手指の関節運動は複雑な筋腱ネットワークの相互作用から生み出されている.今までの解剖学的な研究により,それぞれの筋腱が個別に関与する関節運動については明らかになっている.しかし,複数の筋腱を同時に駆動した際に発生する相互作用と,それが関節運動に与える影響については未だに明らかにされていない.これを解明するには屍体標本と計測制御技術を併用した実験が有効である.本稿では,屍体標本を対象にセンサやアクチュエータを用いて手指の運動機能(モーメントアーム長,指先発揮力,そして関節運動のように手指の運動に関わる機能)を計測,モデル化した研究を概観する.また,筆者らが開発した筋腱駆動装置の構成,この装置とモーションキャプチャ装置を用いて屍体標本の示指関節運動を計測した結果,そして深指屈筋による関節運動に虫様筋の活動が与える影響を計測した結果を紹介する.
著者
小林 巧 家永 直人 杉浦 裕太 斎藤 英雄 宮田 なつき 多田 充徳
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.84, no.12, pp.996-1002, 2018-12-05 (Released:2018-12-05)
参考文献数
15
被引用文献数
2

This paper presents a method to measure foot shape from a 3D point cloud as input captured from multiple directions using a smartphone depth camera. Such a 3D point cloud could potentially include noise or omit parts of the foot due to occlusion. To deal with this occlusion problem, we propose to use a dataset of 3D foot shapes collected by a precise 3D shape scanner of foot shapes. According to the dataset of 3D foot shapes, we can generate a deformable model by performing a principal component analysis (PCA) on the dataset. Then we minimize the error of the shape represented by the deformable model and the 3D point cloud acquired by the smartphone camera, to recover a complete 3D shape of the entire foot with high accuracy. We test this method by comparing the 3D shape produced by our proposed method to the 3D shape precisely measured by the 3D scanner. Our proposed method can scan the foot shape with an error of about 1.13mm.
著者
多田 充裕
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、低出力レーザー照射の生物学的効果についてラットを用いたin vivo実験系を応用して実証することを目的とし、Type 2 collagenのブースター免疫による膝関節リュウマチの病態モデルを作成して半導体レーザー照射と自由電子レーザー(FEL)照射を行い、低出力レーザー照射による炎症抑制効果について検討を行った。実験動物はLewis系ラットを用い、初回感作としてウシII型コラーゲンを含むFreund's Adjuvant Incompleteのエマルジョンを背部に皮内投与し、初回感作の7日後に同エマルジョンを尾根部より皮内投与して関節炎を発症させた。低出力レーザー照射装置はGa-Al-As半導体レーザー照射装置(松下電器産業)を、FELは日本大学量子科学研究所電子線利用研究施設に設置されているものを用いた。レーザーの出力は2.2Wで総照射エネルギー密度は5J/cm^2であり、照射時間は500秒とした。動物は1群5匹として3群にわけ、第1群は無処置群、第2群はコラーゲン感作を行い数日おきにレーザー未照射で動物を固定するだけとしたレーザー未照射群、第3群はコラーゲン感作を行い数日おきにレーザー照射したレーザー照射群とした。実験期間中は、動物の一般状態を毎日観察し、週1回体重測定および関節部分の腫脹をノギスで測定し、頚静脈より血液を採取した。その結果、いずれの低出力レーザー照射によっても、実験的に引き起こされたラット後肢の腫脹を抑制することが認められた。また、炎症性サイトカインであるIL-1βおよびIL-6の血清中の濃度を測定したところ、レーザー未照射群に比較して照射群で有意に低下していた。これらの結果より、低出力レーザー照射によって腫脹抑制効果が得られたものと示唆され、低出力レーザー照射は副作用のない非侵襲的な抗炎症効果を期待しうる治療法であることが示唆された。
著者
河内 恵 多田 充
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.53, pp.7-13, 2004-05-12

異なる法を利用した多重署名方式は現在までに数多く提案されている.FDH構造をベースにした方式は見富らやShachamらによって提案され,PSS構造をベースにした方式は河内らや駒野らによって提案されている.FDHをベースにした方式は,前署名者の署名成分をハツシュ値の中に全て埋め込める利点が存在するが,乱数成分を用いない為帰着効率が悪い.その為鍵長を長く取らねばならないという欠点が存在する.一方,PSSをベースにした方式は,乱数成分の必要性から埋め込めない前署名者の署名成分が発生してしまうが,帰着効率が優れているため,鍵長を短く抑えられるという利点が存在する.現在,PSSをベースにした方式において,安全性を劣化させることなく効率性に秀でた方式は駒野らによる方式である.そこで我々は,PFDHをベースとした多重署名方式を提案する.本稿では,駒野らの方式と提案方式とを安全性及び効率性の観点から比較,そして考察を行い,何れの方式が優れているか議論を行う.
著者
湊 宏仁 多田 充 宮地 充子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.421, pp.67-74, 2000-11-06
参考文献数
2

サークルの新メンバー募集等で希望者が名前を記入出来る(署名する)ポスターを目にすることがあるが、このような署名に対して多重署名方式が有効であることはよく知られている。しかし、署名者が名前以外の情報も付加した場合では、効率的な署名方式は提案されていない。そこで、我々は、そのような付加情報を「署名者の意思」と呼び、この概念を包含できる、既存の多重署名方式を利用する原始的な方法と新たな署名方式を提案する。そして、我々の署名方式が効率的で、署名者の意思を考慮する署名方式に固有の偽造に対して安全であることを示す。尚、本提案は離散対数問題に基づく多くの多重署名方式に適応可能である。