著者
松田 郁生 森嶋 博 瀬尾 康久 相良 泰行
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.75-82, 1990
被引用文献数
2

食パン工場のオーブンから未利用のまま排出されている130~180℃の排ガスの再利用を検討するために, オーブンの熱および物質収支を計測した。そのデータからエクセルギを算出し, 排熱エネルギの質を明らかにした。排熱エネルギを吸収冷凍機の熱源として利用したエネルギリサイクリングを想定し, 冷凍能力を試算した。その結果, 冷却工程においてパンを冷却するのに必要な冷熱が得られることが分かった。
著者
柴田 真理朗 杉山 純一 蔦 瑞樹 藤田 かおり 杉山 武裕 粉川 美踏 荒木 徹也 鍋谷 浩志 相良 泰行
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.296-303, 2010-07-15 (Released:2010-09-01)
参考文献数
10
被引用文献数
3 1

すだち(気泡構造)からパンの食感を推定するために,粘弾性と気泡計測パラメータを計測し,それらの関係の定量化を行った.(1) すだちの構造把握に十分な数の気泡を含む大きさを持ち,合わせて試料間にバラツキが確保されるようにサンプリングするために,試料サイズの最適値を決定した.気泡パラメータの変動および実際の計測の安定性を考慮した結果,試料サイズの最適値は1辺20mmの立方体とした.(2) クリープ試験により得られた時間-歪曲線に4要素フォークト粘弾性モデルを適用し,4つの粘弾性係数(瞬間弾性,遅延弾性,遅延粘性および永久粘性)を得た.一方,イメージスキャナにより撮像したデータに,画像処理を利用した既往の研究8) の気泡検出法を適用し,平均気泡面積,平均気泡周囲長,単位面積当たりの気泡数,および気泡面積割合の4つの気泡パラメータを算出した.粘弾性係数および気泡パラメータの変動係数は7.5~49.2%であり,パン試料断面の部位によって不均一であることが明らかになった.(3) 粘弾性係数および気泡パラメータに相関分析を適用した結果,瞬間弾性,遅延弾性および永久粘性と気泡面積割合(画像全体に占める気泡面積の割合)に有意な相関がみられた(r>0.6, p<0.05).本実験で用いた試料においては計測した咀嚼面の気泡面積割合が大きいほど,「かたく」感じられることが示唆された.また,既往の研究と異なる方向の画像解析においても食感を推測できる可能を示せた.
著者
石川 智佳代 小野 昌孝 荒木 徹也 相良 泰行
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.123-130, 2002-09-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
7

ドライフラワの需要拡大のためには, 耐久消費財としてのドライフラワの作成とそれを応用した製品の開発が望まれる。このようなドライフラワを作成するためには, 生花と同様の形態と色彩の長期保持が望まれている。本研究では, ドライフラワ作成時における変形と変色を抑制し, さらに乾燥時間の短縮に最適な乾燥法を選択することを目的とし, リトルマーベル (バラ科バラ属) を供試材料とし, 従来から採用されてきた空気乾燥法に加えて, シリカゲル細粒充填層内に埋没させた材料を電熱ヒータで加熱して乾燥する方法, 凍結乾燥法および減圧マイクロ波乾燥法などを選び, その適用性を比較検討した。試料を固定した乾燥法では萎縮が少なく, その形態が保持された。また, 乾燥前後の花弁の色差は含水率の低下に伴い生じる萎縮により増大するが, 乾燥過程での萎縮の防止に有効な乾燥法を選択することにより抑制可能であることが分かった。色差発現の主要因はハンタ表色系におけるL*, b*値の減少によるものであることが確認された。ドライフラワの作成には形態, 色彩, 乾燥時間の面でヒータを併用したシリカゲル埋没乾燥法が最適であることが分かった。
著者
蔦 瑞樹 杉山 純一 相良 泰行
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.73-80, 2011-03-15 (Released:2011-04-21)
参考文献数
25
被引用文献数
3

A NIR spectral imaging apparatus was developed to obtain information on spectrally discriminated images and the location of material to be measured. The apparatus consisted mainly of a CCD camera, a liquid crystal tunable filter and a spectral illuminator, which consisted of a xenon lump as well as a grating spectrometer. The sample surface image could be captured at any wavelength from 400nm to 1100nm. To investigate the performance of the apparatus, it was employed in the measurement of sugar content distribution at the surface of a fresh green melon cut in half and in the detection of foreign materials among blueberries. The absorbance at 676nm was found to be highly correlated with the sugar content in fresh green melons. Next, the intensity of each pixel of the images was converted into sugar content. By assigning the sugar content to a linear color scale, the sugar distribution of the melon was visualized. The plant organs could be detected by the second derivative absorbance image at 680nm, which is an absorption band of chlorophyll. The second derivative absorbances for blueberries and plant organs were determined in the image. The positions of pixels judged as plant organs in the detection image were in good agreement with the actual locations where plant organs had been placed. The apparatus demonstrated that plant organs contaminating the raw blueberry materials could be detected using the proposed methodologies.
著者
相良 泰行
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.429-443, 2009-08 (Released:2011-03-05)
著者
相良 泰行
出版者
日本味と匂学会
雑誌
日本味と匂学会誌 = The Japanese journal of taste and smell research (ISSN:13404806)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.153-159, 2001-08-01
参考文献数
12
被引用文献数
8

食品に対する人の嗜好を理工学的手法で計測し、再現性や客観性の高い数量化された情報を得るシステムを「食品感性工学」として提唱する。このシステムの概要は「食情報に関わる感性のモデリングとこれを利用したプロダクトマネージメント」であり、その研究領域には食情報のセンシング、生体生理反応機序の解明、センシング情報の感性情報への変換、食にまつわる評価・判断および嗜好形成のモデリング、さらに、応用分野にはこれらに基づく新製品の開発・設計および販売戦略などが含まれる。本稿ではこのシステムの概要と視覚・味覚・嗅覚を模倣した各種センサーの計測・評価技術の最新情報を紹介する。